○懲戒処分の指針

平成15年4月16日

15水職監第9号

第1 目的

この指針は、職員が、地方公務員として遵守すべき義務に違反した場合の責任を明確にするとともに、職員の非違行為を未然に防止する目的から定めるものである。

第2 懲戒処分の意義

懲戒処分は、職員の義務違反に対して、組織内の規律と公務遂行の秩序を維持するために、その道義的責任を問う行政処分である。

第3 懲戒処分の種類

任命権者は、地方公務員法第29条第1項の規定に基づき、職員が法令等に違反した場合、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠った場合又は全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

第4 基本事項

本指針においては、非違行為の代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げている。

具体的な量定の決定に当たっては、非違行為の態様、被害の大きさ及び司法の動向など社会的重大性の程度、非違行為を行った職員の職責、過失の大きさ及び職務への影響などの信用失墜の度合い、日常の勤務態度及び常習性など非違行為を行った職員固有の事情等のほか、適宜、非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定にかかわらず免職等の処分をすることもあり得る。

なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

また、過去に非違行為を行い懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び同様の非違行為を行った場合は、量定を加重するとともに、非違行為を行った職員が、管理監督者の職にある場合には、懲戒処分の対象となるだけでなく、降任などの分限処分をすることもあり得る。

第5 標準例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由がなく過去1年間に3日以上9日以内の間勤務を欠いた職員は、停職、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由がなく過去1年間に10日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由がなく引き続きおおむね3週間以上の間勤務を欠いた職員は、免職とする。

(2) 遅参・早退

勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員については、当該遅参等の時間数等を勘案の上、(1)の例によるものとする。

(3) 休暇等の虚偽申請

病気休暇、特別休暇及び職免等について虚偽の申請をした職員は、停職又は減給とする。

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序びん乱

上司、同僚等職員に対する暴行、暴言等により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

(6) 公文書偽造、私文書偽造等

公文書若しくは私文書を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造された文書を行使した職員は、免職又は停職とする。

(7) 不適切な事務処理

故意又は重大な過失により適切な事務処理を怠り、又は虚偽の事務処理を行い、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職又は減給とする。

(8) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、停職又は減給とする。

(9) 収賄及び供応等

ア 賄賂を収受した職員は免職とする。

イ 職務に利害関係のある者から利益や便益の供与(社会通念上許される範囲のものを除く。)を受けた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

(10) 入札談合等に関与する行為

都が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。

(11) 営利企業等の従事

許可なく営利企業等に従事した職員は、停職、減給又は戒告とする。

(12) 争議行為

地方公営企業等の労働関係に関する法律第11条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、唆し、若しくはあおった職員は、停職又は戒告とする。

(13) 秘密漏えい

故意に職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。

(14) 個人の秘密情報の目的外収集

その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

(15) 個人情報の盗難、紛失又は流出

過失により個人情報を盗まれ、紛失し、又は流出させ、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(16) 個人情報の不当利用

職務上知ることのできた個人情報を自己の利益のために利用する等、不当な目的で使用した職員は、免職、停職又は減給とする。

(17) コンピュータの不適正利用(インターネットへの不正アクセス、わいせつ文書・図画の閲覧、電子データの損壊、不正プログラム等の利用、ウイルス感染など)

職場のコンピュータを職務外の目的で使用した職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、公務の運営に支障を生じさせた職員は、免職とする。

(18) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)

ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司、部下等のその地位を利用した関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙、電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執ように繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患にり患したときは、当該職員は免職又は停職とする。

ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を行ったことにより相手が強度の心的ストレスによる精神疾患にり患したときは、当該職員は停職又は減給とする。

(19) パワー・ハラスメント(職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的又は身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなもの)

ア パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。

ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。

2 公金公物取扱い関係

(1) 横領

公金又は公物を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

公金又は公物を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

人を欺いて公金又は公物を交付させた職員は、免職とする。

(4) 盗難

重大な過失により公金又は公物の盗難に遭った職員は、減給又は戒告とする。

(5) 紛失

公金又は公物を紛失した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 公物損壊

故意に職場において公物を損壊した職員は、停職又は減給とする。

(7) 出火・爆発

過失により公物の出火、爆発を引き起こした職員は、減給又は戒告とする。

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、停職又は減給とする。

(9) 公金公物処理不適正

自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした職員は、停職又は減給とする。

3 公務外非行関係

(1) 殺人

人を殺した職員は、免職とする。

(2) 放火

放火をした職員は、免職とする。

(3) 傷害

人の身体を傷害した職員は、免職又は停職とする。

(4) 暴行・けんか

暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、停職又は減給とする。

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した職員は、停職又は減給とする。

(6) 横領・占有離脱物横領

ア 自己の占有する他人の物(公金及び公物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。

イ 遺失物等、占有を離れた他人の物を横領した職員は、停職又は減給とする。

(7) 窃盗・強盗

ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。

(8) 詐欺・恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

(9) 賭博

ア 賭博をした職員は、停職、減給又は戒告とする。

イ 常習として賭博をした職員は、免職又は停職とする。

(10) 麻薬、覚せい剤等の所持又は使用

麻薬、覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。

(11) 危険ドラッグの所持又は使用

危険ドラッグ(医薬品医療機器等法又は東京都薬物の濫用防止に関する条例により指定されている薬物)を所持又は使用した職員は、免職又は停職とする。

(12) めいていによる粗野な言動等

めいていして、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、停職、減給又は戒告とする。

(13) わいせつ行為等

ア 強制わいせつ

暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした職員は、免職とする。

イ 淫行

18歳未満の者に対して、淫行をした職員は、免職又は停職とする。

ウ 児童買春

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職とする。

エ 痴漢行為

公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、免職又は停職とする。

オ その他のわいせつな行為

法律、条例等に違反して盗撮、のぞき、児童ポルノの所持・提供等、その他のわいせつな行為を行った職員は、免職又は停職とする。

(14) ストーカー行為

ストーカー行為をした職員は、免職又は停職とする。

4 交通事故・交通法規違反関係

(1) 飲酒運転での交通事故

ア 酒酔い運転又は酒気帯び運転で人を死亡させ、又は傷害を負わせた職員は、免職とする。

イ 酒酔い運転で物を損壊した職員は、免職とする。

ウ 酒気帯び運転で物を損壊した職員は、免職又は停職とする。この場合において、危険防止を怠る等の措置義務違反をした職員は免職とする。

(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)

ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

(3) 交通法規違反

ア 酒酔い運転をした職員は、免職とする。

イ 酒気帯び運転をした職員は、免職又は停職とする。

ウ 飲酒運転になるおそれがあることを知りながら、酒酔い運転又は酒気帯び運転をした者に車両又は酒類を提供した職員は、免職又は停職とする。

エ 飲酒運転であることを知りながら、酒酔い運転又は酒気帯び運転をした者の車両に同乗した職員は、免職又は停職とする。

オ 無免許運転、著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、免職又は停職とする。

5 監督責任関係

(1) 指導監督不適正

部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

(2) 非行の隠ぺい、黙認

部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

第6 内部通報及び告発関係

1 非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、いかなる不利益も受けないものとする。

2 非違行為の事実を、自ら発覚前に申し出た職員に対しては、懲戒処分の量定を軽減できるものとする。

3 職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う。

第7 職員の懲戒処分等の公表基準

水道局長が地方公務員法に基づき、職員に対して次の懲戒処分等を行った場合は下記の基準により公表する。

1 公表基準

(1) 地方公務員法に基づく懲戒処分(免職、停職、減給又は戒告)

(2) 管理監督者の職にある者の非違行為について、懲戒処分と併せて行った分限降任処分

(3) (1)及び(2)以外で、特に都民の関心の大きい事案又は社会に及ぼす影響の著しい事案

2 公表の例外

被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合等においては、公表内容の一部又は全部を公表しないことができる。

3 公表する内容

個人が識別されないことを基本として、原則として次のとおりとする。

(1) 発生年月日

(2) 職層

(3) 所属局名

(4) 年齢及び性別

(5) 事件概要

(6) 処分内容

(7) 処分年月日

ただし、免職を行った場合又は争議行為等、社会に及ぼす影響が大きい事案は、所属、職名、氏名等の個人情報を公表する場合がある。

4 公表時期及び方法

(1) 懲戒処分を行った後に、速やかに公表する。

(2) 公表は資料提供等により行う。

懲戒処分の指針

平成15年4月16日 水職監第9号

(令和2年5月29日施行)

体系情報
第1章 則/第4節
沿革情報
平成15年4月16日 水職監第9号
平成19年12月16日 水職人第138号
平成20年5月28日 水職人第23号
平成27年3月27日 水職監第185号
平成28年3月17日 水職監第144号
令和2年5月29日 水職監第21号