○地方公営企業法の一部を改正する法律等の施行について

昭和三八年一一月二八日

自治乙企発第七号

各都道府県知事、各六大市町、都道府県又は六大市の加入する一部事務組合管理者あて 自治事務次官通達

今般、地方公営企業法の一部を改正する法律(昭和三十八年法律第百十二号。以下「改正法」という。別紙第一)が六月二十四日に公布され、これに伴つて地方公営企業法施行令及び地方財政法施行令の一部を改正する政令(昭和三十八年政令第三百四十五号。以下「改正令」という。別紙第二)が十月十四日に、地方公営企業法施行規則の一部を改正する省令(昭和三十八年自治省令第三十二号。以下「改正規則」という。別紙第三)が十一月二十八日にそれぞれ公布された。これらの改正の要旨及び運営上留意すべき事項は、下記のとおりであるので、十分御了知のうえその施行に遺憾のないよう措置されたい。

なお、改正の趣旨が管下市町村に対しても十分徹底するようよろしく御指導をお願いする。

おつて、昭和二十七年九月二十九日自乙発第二百四十五号自治庁次長通達「地方公営企業法及び同法施行に関する命令の実施についての依命通達」の一部を別紙第四により改正するから、その運営について十分留意されたい。

第一 地方公営企業法の適用を受ける企業の範囲に関する事項

1 地方公共団体の経営する企業のうち政令で定める事業で、常時雇用される職員の数(以下「職員数」という。)が百人以上のものに、改正法による改正後の地方公営企業法(以下「法」という。)の規定のうち独立採算に関する規定(第十七条の二)を除く財務に関する規定(第三条から第六条まで、第十七条、第十八条から第三十五条まで、第四十条から第四十一条まで及び附則第二項から附則第四項までの規定をいい、以下「財務規定等の一部」という。)を適用するものとしたこと(法第二条第三項)

政令で定める事業は、次の事業(以下「指定事業」という。)であること(改正令による改正後の地方公営企業法施行令(以下「令」という。)第一条)

(1) 簡易水道事業

(2) 港湾整備事業(埋立事業並びに荷役機械、上屋、倉庫、貯木場及び船舶の離着岸を補助するための船舶を使用させる事業に限る。)

(3) 病院事業

(4) 市場事業

(5) と畜場事業

(6) 観光施設事業

(7) 宅地造成事業

(8) 公共下水道事業

2 指定事業は、原則として、水道法(昭和三十二年法律第一七七号)、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)、中央卸売市場法(大正十二年法律第三十二号)、と畜場法(昭和二十八年法律第百十四号)及び下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)にいうそれぞれの施設の建設及び運営に係る事業をいうものであること。なお、市場事業にあつては、中央卸売市場法にいう市場のほかいわゆる公設市場を含み、観光施設事業とは国民宿舎、ユースホステル、観光のためにする有料道路その他各種の旅客誘致施設を、宅地造成事業とは、内陸工業用地、住宅用地等宅地の造成に係る事業をいうものであること。ただし、以上にいう事業に該当するものであつても、主として一般行政上の目的から経営しているもの、例えば病院事業における大学附属病院、独立の伝染病院等は含まないものであること。

なお、法第二条第三項に規定する「職員数百人」は原則として事業の種類ごとに一括して算定すべきものであるが、事業の性質にかんがみ、病院事業にあつては病院ごとに、港湾整備事業にあつては埋立事業とその他の施設利用事業に区分して算定するものであること。

3 今回の改正により、法の適用の一方法として「財務規定等の一部」を適用する方法を設けた趣旨は、前掲の指定事業は法第二条第一項の表の上欄に掲げる事業(以下「法定事業」という。)と比較すると一般に収益性に劣るものがあり、通常の場合、独立採算による経営が困難であると認められるものがあるからであること。したがつて、財務規定等の一部の適用を行なう趣旨は、指定事業についてその財政運営上の原則について変更を求めるものではなく、これらの事業の財務会計制度を官公庁会計方式から法の定める企業会計方式に切替え、もつぱら事業の経理内容を明らかにすることを目的とするものであること。

4 指定事業を経営する地方公共団体は、条例で定めるところにより、当該事業に法第二条第二項に規定する財務規定等(以下「財務規定等」という。)又は法の規定の全部を適用することもできるものとしているが(法第二条第四項並びに令第一条の二第三項及び第四項)、病院事業等事業の性質上独立採算になじまないものについては、財務規定等又は法の規定の全部の適用についてはとくに慎重に検討すべきものであること。

5 指定事業に法の規定を適用し、又は適用しなくなる場合における手続は、次のとおりであること。

(1) 職員数が百人未満の事業のうち、法の規定の全部、財務規定等又は規定等の一部を適用していないものにおいて、その職員数が百人以上となつた場合には、六月をこえない範囲内において、財務規定等の一部を適用する日を定めなければならないものであること(令第二条第四項)

(2) 職員数が百人未満の事業のうち、法の規定の全部又は財務規定等を適用しているものにおいて、その職員数が百人以上となつた場合には、当該条例は、財務規定等の一部を除く法の規定又は法第十七条の二の規定を適用することを定めた条例とみなすものであること(令第二条第五項)

(3) 職員数が百人以上の事業のうち、財務規定等の一部を除く法の規定又は法第十七条の二の規定を適用していないものにおいて、その職員数が百人未満となつた場合には、条例で六月をこえない範囲内において、財務規定等の一部を適用しないこととする日を定めなければならないものであること。この場合において、なお、引き続き財務規定等の一部を適用しようとするときは、条例でその旨を定めなければならないものであること(令第五条第五項)

(4) 職員数が百人以上の事業のうち、財務規定等の一部を除く法の規定又は法第十七条の二の規定を適用しているものにおいて、その職員数が百人未満となつた場合には、条例で六月をこえない範囲内において、法の規定の全部又は財務規定等を適用しないこととする日を定めなければならないものであること。この場合において、なお、引き続き法の規定の全部、財務規定等又は財務規定等の一部を適用しようとするときは、条例でその旨及びその適用すべき日を定めなければならないものであること(令第五条第六項)

第二 組織に関する事項

一の地方公共団体が二以上の地方公営企業を経営し、それぞれの企業に管理者を置いている場合において、事務の種類又は性質上いずれか一の管理者においてその事務を処理させることが適当であると認められるときがあるので、管理者はあらかじめ当該地方公共団体の長の同意を得てその権限に属する事務の一部を、他の管理者に委任することができることとしたものであること(法第十三条の二)。通常委任される事務としては、メーターの検針料金の調定及び収納、施設の建設改良工事に係る設計監督等の事務が考えられるものであること。なお、本規定により委任するにあたつては、委任に係る事務の処理方法及び経費の負担方法等についてあらかじめ定めておくことが必要であること。

第三 財務に関する事項

1 地方公営企業の特別会計と一般会計又は他の特別会計との間の経理の明確化に関する事項

(1) 従来、地方公営企業の特別会計と一般会計又は他の特別会計(以下「一般会計等」という。)相互の間における収入、支出は出資を除き、すべて繰入れ、繰出しという名称で行なわれ、その目的が明らかにされていなかつたので、繰入れを目的別に区分することにより、補助及び長期の貸付けに関する規定を設け、会計間の経理の明確化を図つたものであること。

(2) 法の規定の全部又は財務規定等の適用を受ける地方公営企業にあつては、本来独立採算の原則により経営されるべきであり、その経営にあたつて一般会計等からの補助金を期待すべきものではないが、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合に限つて、一般会計等から補助金を交付することができるものとしたこと(法第十七条の二第二項)。したがつて、「その他特別の理由により必要がある場合」とは、一般行政上の必要から地方公営企業をして行なわせる事務であつてその経費を当該地方公営企業のみに負担させることが適当でないと認められる場合等真にやむを得ない場合に限定されるべきものであること。

(3) 従来、長期貸付金に相当する繰入金は、災害の復旧その他特別の理由により必要ある場合に限つて繰り入れることができるものとされ、実情に即さなかつたので、このような制限をとり除き、必要に応じ、一般会計等から地方公営企業の特別会計に長期の貸付けをすることができるものとしたこと(法第十八条の二)

2 予算に関する事項

(1) 予算記載事項

従来、予算記載事項としていたもののほか、新たに継続費、債務負担行為、企業債、予定支出の各項の経費の金額の流用、一般会計等からの補助金及びたな卸資産購入限度額を予算の記載事項として掲記するとともに、一般会計等からの繰入金の額及び繰入れをする会計並びにその他予算の実施に関し必要な事項を予算記載事項から削除したものであること(令第十七条第一項)

(2) 予算の附属書類

予算の附属書類として議会に提出すべきもののうち、当該事業年度の予定損益計算書を除き、新たに給与費の内訳を明らかにした給与費明細書、継続費についての支払義務発生状況等に関する調書及び債務負担行為についての支払義務発生状況等に関する調を加えたものであること(改正規則による改正後の地方公営企業法施行規則(以下「規則」という。)第十条)

(3) 予算の執行

予算は、従来、当該予算に添えて提出する予定の実施計画に定める区分に従い実施するものとしていたのを、予算で定められた予定支出(款項)の範囲内で、管理者は、地方公営企業の適切な経営管理を確保するため必要な計画を定め、これに従つて予算を執行したものとしたものであること(令第十八条第一項)

3 出納に関する事項

(1) 住民の利便を考慮し、あわせて出納に関する事務処理の合理化を行なうため、地方公営企業の収入及び支出の方法並びに金融機関について必要な規定の整備を図つたものであること。

(2) 収入に関する事項

(ア) 地方公営企業の収入については、証紙による収入の方法によるものを除くほか、出納取扱金融機関又は収納取扱金融機関を定めている地方公営企業においては、口座振替の方法による納付又は証券をもつてする納付の制度を設け、その手続、証券の範囲等を定めたものであること(令第二十一条の二及び第二十一条の三)。ただし、前記の金融機関を定めていない地方公営企業においては、その収入について、証券の取立及びその取り立てた金銭による納付の委託を受けることができるものとしたこと(令第二十一条の四)

(イ) 料金以外の使用料、手数料、賃貸料及び貸付金の元利償還金については、その収入が確実かつ経済的に確保できる場合及び住民の便益の増進に寄与すると認められる場合に限り、徴収又は収納の事務を私人に委託することができる制度を設けたこと(令第十六条の三)

なお、法第二十一条第三項の規定による料金徴収事務の委任について、その委任した場合の告示及び公表の義務、委任を受けた者が行なう事務の取扱いについて規定を設けるとともに、委任を受けた者に対する検査手続の簡素化を図つたものであること(令第十六条の二)

(3) 支出に関する事項

(ア) 地方公営企業の支出について、資金前渡、概算払、前金払、繰替払の方法により支出することができる経費を具体的に列挙したが、このほか、経費の性質上これらの方法により支出しなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で管理規程で定めるものについても同様の取扱いができるものであること(令第二十一条の五から第二十一条の八まで)

なお、これらの経費を管理規程で定めるに当つては、経費の性質上真に事務の取扱いに支障を及ぼすようなものに限定するとともに、他の地方公営企業の管理規程で定める経費及び当該地方公共団体の規則で定める経費と均衡を欠くことがないよう留意すべきであること。

(イ) 出納取扱金融機関を定めている地方公営企業においては、隔地払及び口座振替の方法により支出することができるものとし、その手続を定めたものであること(令第二十一条の九及び第二十一条の十)

(ウ) 資金前渡することができる経費、貸付金及び払戻金については、その支出事務を私人に委託することができるものとしたこと(令第二十一条の十一)

(エ) 支出は、管理者が自ら現金で支払をしてするものとしているが、このほか、出納取扱金融機関を定めている地方公営企業にあつては、当該出納取扱金融機関を支払人とする小切手を振り出し(職員に支給する給与に係る支出については、小切手を振り出すことはできない。)、又は公金振替書を当該出納取扱金融機関に交付してするものとしたものであること。

ただし、地方自治法第二百三十五条の規定により、金融機関を指定していない地方公共団体の経営する地方公営企業にあつては、小切手の振出しによらず、出納取扱金融機関をして現金で支払をさせることができるものであること(令第二十一条の十二)

なお、小切手を振出して支出するものとしている場合であつても、債権者の申し出がある場合には、小切手の振り出しによらず、出納取扱金融機関をして現金で支払をさせることができるものであること。

(4) 出納取扱金融機関及び収納取扱金融機関に関する事項

(ア) 管理者は、法第二十七条第二項の規定により、当該地方公共団体の長が指定した金融機関に地方公営企業の業務に係る現金の出納事務の一部を取り扱わせる場合には、収納及び支払の事務の一部を扱わせ、又は収納の事務の一部を取り扱わせることができるものとし、収納及び支払の事務の一部を取り扱う金融機関を出納取扱金融機関と、収納の事務の一部を取り扱う金融機関を収納取扱金融機関と称するものとしたこと。

なお、出納取扱金融機関の数は必ずしも一に限定されていないが、支払を行なう金融機関が二以上ある場合において、事務の処理が煩雑になることが予想されるので、出納取扱金融機関を二以上定めることは極力避けることが適当であると考えられるものであること。

また、やむを得ない事情により出納取扱金融機関を二以上定める場合においては、管理者は当該二以上の出納金融機関のうち一の出納取扱金融機関を総括出納取扱金融機関として定めなければならないものであること。

出納取扱金融機関又は収納取扱金融機関を定めるに当つては金融機関の本支店を一括して定めることができるものであること。これらの金融機関を定めるにあたつては、取り扱わせる事務の内容を明確に定め、地方公営企業とそれぞれの金融機関との間において直接に契約を結ぶものであり、これらの金融機関は地方公営企業に対し、個々に責任を負うものであること(令第二十二条の二から第二十二条の四まで。)

(イ) 出納取扱金融機関及び収納取扱金融機関は、納入通知書その他納入に関する書類に基づかなければ地方公営企業の収入の収納をすることができず、また管理者の振り出した小切手又は管理者の通知もなければ地方公営企業の支出の支払をすることができないものであること。また、これらの金融機関において地方公営企業の収入を出納した場合又はその払込みを受けた場合は、それらの金融機関にある地方公営企業の預金口座に自動的に振り込み、その後、収納取扱金融機関にあつては、管理者の定めるところにより、出納取扱金融機関にある当該地方公営企業の預金の預金口座に振り替えなければならないものであること(令第二十二条の四)

(5) 現金取扱員の設置に関する事項

従来、地方公営企業の業務に係る出納その他の会計事務をつかさどらせるため、企業出納員及び現金取扱員を必ず設置するものとしていたが、電気事業、宅地造成事業等事業の種類によつては、必ずしも現金取扱員を必要としないものもあるので、その設置を任意としたものであること(法第二十八条第一項ただし書)

4 決算に関する事項

従来、決算の認定を受けるため議会に提出しなければならない書類は、決算、証書類、事業報告書及び政令で定めるその他の書類としていたが、証書類は議会に提出することは要しないものとし、事業報告書及び政令で定めるその他の書類は決算の附属書類として議会に提出するのみで、認定を受けることは要しないものとしたこと(法第三十条)

5 その他財務に関する事項

(1) 減価償却に関する事項

(ア) 地方公営企業の有形固定資産の減価償却については、従来のすべてについて定額法又は定率法のいずれかの方法によつて行なうものとしていたが、有形固定資産の種類に応じて定額法及び定率法を併用することができるものとしたこと(規則第七条第一項)

(イ) 地方公営企業の有形固定資産のうち資本的支出に充てるために交付された補助金及び負担金等をもつて取得した部分については減価償却をしないことができるものとしたこと(規則第八条第四項)

(ウ) 地方公営企業の設備の近代化を促進するため、有形固定資産の耐用年数について、資産分類を細分、合理化するとともに、一部の機械及び装置の耐用年数の短縮を行なつたこと(規則別表第二号)

(2) 資本剰余金の取崩しに関する事項

資本的支出に充てるために交付された補助金等資本剰余金に整理すべき資金をもつて取得した有形固定資産については減価償却をしないことができるものとした結果、これらの資産が滅失し、又はこれを譲渡し、撤去し、若しくは廃棄した場合において損失を生じたときは、当該補助金等の額に相当する資本剰余金の額を取り崩してその損失をうめることができるものとしたこと(令第二十四条の二)

第四 関係法律の規定の整備に関する事項

今回の改正に伴い、地方財政法及び同法施行令、地方財政再建促進特別措置法、地方公営企業労働関係法並びに自治省組織令の規定について所要の整理を行なつたものであること(改正法附則第三項から附則第五項まで並びに改正令第二条及び附則第六項)

第五 法令の施行期日及び施行の際の経過措置

施行期日

(1) 改正法、改正令及び改正規則は、次に掲げるものを除いて、昭和三十九年四月一日から施行されるものであること。

(ア) 改正法…第十三条の二(事務の委任)の規定及び第二十八条(企業出納員及び現金取扱員)の改正規定並びに附則第二項(政令への委任)の規定は、公布の日(昭和三十八年六月二十四日)から施行されたものであること。

(イ) 改正令…第十七条(予算)及び第十八条(予算の執行)の改正規定は昭和三十九年一月一日から、附則第二項から、附則第五項(適用及び経過措置)までの規定は公布の日から、施行されるものであること。

(ウ) 改正規則…予算に関する改正規定は、昭和三十九年一月一日から施行されるものであること。

(2) 今回の改正法令の適用に関して次に掲げるものは、昭和三十九年度の予算及び決算から適用されるものであること。

(ア) 改正法…法第十七条から第十八条の二まで(特別会計、独立採算、出資及び長期貸付金)及び第三十条(決算)第二項から第五項までの規定

(イ) 改正令…令第十七条(予算)第十八条(予算の執行)、第十八条の二(継続費)第二項及び第三項、第二十四条の二(資本剰余金の取崩し)、第二十四条の三(欠損の処理)及び第二十五条(自己資本金への組入れ)第三項の規定

(ウ) 改正規則…予算及び決算に関する規定

改正法の施行の際新たに財務規定等の一部が適用される事業に係る経過措置

(1) 一般的事項

改正法施行の際、新たに財務規定等の一部が適用される企業の予算及び決算並びに資産再評価その他当該企業の経営に関し必要な経過措置については、令第四条(会計年度及び事業年度の特例)、第七条(事務引継)、第八条(条例制定等の事前行為)及び附則第五項から第十項まで(資産の再評価)の規定が準用されるものであること(改正令附則第四項及び第五項)

(2) 財務に関する事項

(ア) 地方公共団体の経営する企業について、改正法の施行により財務規定等の一部が新たに適用される場合の最初の事業年度は、昭和三十九年四月一日に始まり昭和四十年三月三十一日に終るものとし、法の適用の日の前日の属する会計年度は、当該企業に関する限り同日をもつて終了し、その出納はその日をもつて閉鎖し、その決算は従前の例によつて行なうものであること(令第十四条第一項及び改正令附則第四項)

(イ) 従前の例により決算が行われる場合において、法の適用の日の前日の属する会計年度の歳入が歳出に不足するときは、歳入不足額として決算に計上し、歳入歳出差引残額があるときはその額を法の適用を受ける企業の特別会計へ引継いだ旨を記載するものであること。なお、地方自治法第二百二十七条の規定による一時借入金があり資金不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限度として借り換えることができるものであり、この借り換えた一時借入金は法の適用の日の属する事業年度内に借入金以外の収入をもつて償還しなければならないものであること(令第四条第一項から第三項まで及び改正令附則第四項)

(ウ) 法の適用の日の前日の属する会計年度以前の会計年度に発生した債権又は債務に係る未収金又は未払金がある場合においては、法の適用の日の属する事業年度の債権又は債務として整理するものであること(令第四条第四項及び改正令附則第四項)、この場合において、当該未収金又は未払金は、法の適用の日現在において作成する開始貸借対照表の資産(未払金)又は負債(未払金)として整理するものであること。なお、同未収金及び未払金は、法適用の日の属する事業年度の資本的収入及び支出事項として、施行規則別表第五号中に第三条の二を設けて記載するものであること。

(エ) 企業の資産の適正な減価償却を行なうため、昭和三十九年四月一日現在において資産の再評価を行なわなければならないものであること。ただし、昭和三十九年四月一日前において、資産再評価法(昭和二十五年法律第百号)の規定に準じて資産の再評価を行なつている場合においては、当該地方公共団体の議会の議決を経て、法で定める再評価を行なつたものとみなすことができるものであること(法附則第三項、令附則第五項から附則第十項まで及び改正令附則第五項)

(3) 事務引継に関する事項

地方公共団体の経営する企業について、改正法の施行により、財務規定等の一部が新たに適用される場合においては、出納その他の会計事務について出納長又は収入役から長への事務の引継が必要であるが、この場合における事務の引継は昭和三十九年四月十日までにしなければならないものであること。ただし、法第三十四条の二ただし書の規定により出納長又は収入役に出納その他の会計事務の全部又は一部を行なわせることとした場合においては、その出納長又は収入役が行なうこととなる事務については、その引継の必要はないものであること(令第七条及び改正令附則第四項)

(4) その他の経過措置

(ア) 地方公共団体の経営する企業について、改正法の施行により財務規定等の一部が新たに適用される場合においては、当該地方公共団体の長は、その適用について必要な手続を昭和三十九年四月一日前にすることができるものであり、その手続の主なものは次のとおりであること(令第八条及び改正令附則第四項)

(Ⅰ) 基本計画についての議会の議決(法第四条)

(Ⅱ) 会計事務の処理の特例に関する規則(会計規程に相当するもの)の制定

(Ⅲ) 二以上の事業を通じて一の特別会計を設ける場合におけるその旨の議会の議決(法第十七条ただし書)

(Ⅳ) 料金徴収事務を委任する場合における自治大臣又は都道府県知事の承認(法第二十一条第三項及び令第十六条の二第二項)

(Ⅴ) 予算の調製及び議会の議決(法第二十四条第一項)

(Ⅵ) 出納取扱金融機関及び収納取扱金融機関の指定及び告示(令第二十二条の二)

(Ⅶ) 業務に係る現金を預け入れる金融機関の指定及び長が自ら保管する現金の限度額の決定(法第二十七条第二項)

(Ⅷ) 法第三十四条本文に定める契約の方法以外の契約の方法に関する条例の制定(法第三十四条ただし書)

(Ⅸ) 会計及び決算の事務の全部又は一部を出納長又は収入役に行なわせる場合におけるその旨の条例の制定(法第三十四条の二ただし書)

(Ⅹ) 業務状況を説明する書類に関する条例の制定(法第四十条)

(ⅩⅠ) 資産について再評価を行なつたものとみなす場合におけるその旨の議会の議決(令附則第九項)

改正法の施行の際すでに法の規定が適用されている事業に係る経過措置

(1) 改正法の施行の際、現に指定事業でその職員数が百人以上のものについて、改正令による改正前の地方公営企業法施行令(以下「旧令」という。)第一条第二項の規定により財務規定等又は法の規定の全部を適用することを定めている条例は、令第一条の二第三項の規定により法第十七条の二の規定又は財務規定等の一部を除く法の規定をそれぞれ適用することを定めた条例とみなすものであること。

(2) (1)の場合を除くほか、改正法の施行の際、現に地方公共団体の経営する企業について旧令第一条第二項の規定により法の規定の全部又は財務規定等を適用することを定めている条例は、令第一条の二第四項の規定により法の規定の全部又は財務規定等を適用することを定めた条例とみなすものであること。

(3) 改正法による改正前の地方公営企業法第十八条第一項の規定による繰入金は、昭和三十九年三月三十一日までに同条第二項ただし書の規定により繰りもどしを要しない旨の議会の議決を得ない場合は、法第十八条の二第一項の規定による貸付けに相当する金額とみなすものであること(改正令附則第三項)

別紙 (省略)

地方公営企業法の一部を改正する法律等の施行について

昭和38年11月28日 自治乙企発第7号

(昭和38年11月28日施行)

体系情報
(附) 水道事業及び工業用水道事業関係法令/第1 地方公営企業関係法令
沿革情報
昭和38年11月28日 自治乙企発第7号