89れた。 こうした要因はあるものの、政策連携団体への業務移転やスマートメータ導入等による営業費用の減少も見込まれており、今回の見通しでは、令和42(2060)年度までの推計期間を通じて、「累積資金収支を5か年ごとに均衡させる」、「給水収益に対する企業債元利償還金の割合は20%以下」という2つの数値目標を達成しており、企業債の発行余力の活用や経営努力により、料金水準を維持した健全な財政運営ができると結論付けた(表3-4)。 但し、社会経済情勢の変化による給水収益の想定外の減少や大規模災害の発生など、現時点では見込めないリスクも存在しており、こうしたリスクが顕在化した場合には、料金水準や料金体系を含め、財政のあり方を改めて検討する必要があることとした。3 経営プラン2021とその後の財政運営 令和3(2021)年3月には、長期戦略構想で掲げた目指すべき将来の姿を実現するため、令和3(2021)年度から7(2025)年度までの事業計画と財政計画を定めた経営プラン2021を策定・公表した。 経営プラン2021では、今後5年間の財政収支の見通しについて、事務事業の効率化や既定経費の節減、資産の有効活用等により150億円の経費縮減・収入確保を図ることで、現行の料金水準を維持するという目標を掲げた。 さらに、経営プラン2021の計画期間以降の財政収支見通しについても、同様に累積収支は均衡できると見通した。 しかし、令和2(2020)年に本格化した新型コロナウイルス感染症の流行は、料金収入の減少という形で当局の財政運営に影響を及ぼした。令和2(2020)年度は、ステイホームや経済活動停滞の影響により、主に一般家庭で使用される単価の安い小口径の使用水量が増えた一方で、オフィスビルや商業施設等で使用される単価の高い中口径以上の使用水量が減ったことにより、料金収入が減少した。 また、令和3(2021)年度は、経済活動等の再開により、中口径以上の使用水量が増加し、小口径の使用水量が減少する等、新型コロナウイルス感染症流行以前の収入構造に戻りつつあったが、料金収入は経営プラン2021の計画値よりも減少した。 さらに、新型コロナウイルス感染症流行に伴う以上のような影響に加え、令和4(2022)年にはロシア-ウクライナ情勢を受けてエネルギー価格、原材料費が高騰するなど、当局事業を取り巻く環境はかつて経験したことのない局面にある。 こうした状況においても、当局は、実情を踏まえた予算執行や業務効率化による既定経費の縮減、企業債の適切な活用等により、引き続き安定的な事業運営に努めていく。
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