東京近代水道125年史
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87【写真3-8 IWA開会式】(2)開催に向けた準備活動  開催都市が東京に決定したことを受け、平成26(2014)年2月には「2018年国際水協会(IWA)世界会議・展示会開催準備委員会」を設立、IWAとの協議や広報活動などを進め、平成27(2015)年9月には、開催準備及び会議運営を行う組織として、東京都知事を会長とし、関係各省及び国内の水関係団体で構成される開催国委員会を設立した。 東京会議の直近となるブリスベンでのIWA世界会議・展示会では、日本水道協会の呼びかけのもと15団体による共同出展(ジャパン・パビリオン)を行い、「Japan Quality, Japan’s Experience-Stability & Resilience-」をテーマにパネルの展示やプレゼンテーション、DVDの上映等を行った。また、次回東京大会に向けたPRブースを設置し、東京の魅力についての積極的な情報発信も行った。(3)IWA世界会議・展示会  東京会議は平成30(2018)年9月16日から21日の計6日間、東京ビッグサイトにて開催された。皇太子同妃両殿下(当時)の御臨席を仰ぎ、関係省庁の大臣級も出席、全体では過去最多となる98か国9,815人が参加した。 東京都知事や水の専門家等による基調講演、985編の論文発表、32か国252団体の出展による展示会、インフラ施設をめぐるテクニカルツアー等を行い、各国関係者との人的ネットワークが形成されるとともに、上下水道に関する世界の先進的な取組や技術等が共有された(写真3-8)。 また、各国招待客のレセプションでは、日本の伝統文化に関する催しを行うとともに、DSによる東京の水のPRも実施することで、当局がこれまで培ってきた技術力、経験、その成果を世界にアピールする機会となった。第4項 健全な財政運営 1 平成16(2004)年料金改定後の財政運営の概況 平成16(2004)年の料金改定以降も、当局は事務事業の効率化や経費の削減、資産の有効活用といった経営努力を続けてきた。その結果、消費税増税を受けた料金の改定を除き、平成17(2005)年以降料金水準を維持してきた。 また、この間企業債の発行抑制を通じた残高抑制に努めたことで、企業債残高は平成26(2014)年度末時点で2,520億円と、過去最高となった昭和59(1984)年度と比較して約7割の減少となった(図3-10)。さらに、給水収益に占める元利償還金の割合も減少し、平成26(2014)年度には12%と、過去最高となった昭和43(1968)年度と比較して約8割の減少となった(図3-11)。 このように、当局は経営努力と財政上の工夫を通じて健全な財政基盤を確立してきた。 しかし、既述のように東京の人口は今後減少に転じる見込みであり、これに伴い給水収益も減少することが想定されている。一方で大規模浄水場の更新等施設整備に要する経費の増加が見込まれる等、今後の当局の財政運営は一層厳しさを増していくことが想定された。2 長期財政収支の見通し 長期戦略構想の策定に当たり作成した長期財政収支の見通しでは、給水収益は40年後の令和42(2060)年には2,617億円と、令和2(2020)年度と比較して約12%減少すると推計した。 一方、施設や管路更新については平準化して実施するという前提で推計を行ったものの、2020年代には多額の建設改良費支出が見込まれ、これを賄う企業債の残高も増加すると推計した。さらに、企業債元利償還金の漸増と給水収益の漸減に伴い、給水収益に対する企業債元利償還金の割合も上昇していくことが見込ま

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