4.一般財団法人日本情報経済社会推進協会, プライバシーマーク制度について 概要と目的 https://privacymark.jp/system/about/outline_and_purpose.html79 平成30(2018)年8月時点の社員数を比較すると、(株)PUCが1,033名であるのに対してTSS(株)は1,547名と、後者の方が多数の社員を抱えていた。 また、売上高を平成29(2017)年度決算ベースで比較してみても、(株)PUCが約120億円であるのに対して、TSS(株)は約160億円と、多くの売上を計上していた。 一方、設立時期としては昭和62(1987)年設立のTSS(株)(設立時は水道総合サービス株式会社)に対して、前身である財団法人公営事業電子計算センターが昭和41(1966)年に設立された(株)PUCの方が長い歴史を持っていた。 また、(株)PUCに特有のものとして、個人情報取扱いに係る適切な保護措置を講じている証明である「プライバシーマーク」の使用が認められているという要素があった。 「プライバシーマーク」とは、通商産業省(現在は経済産業省という。)の指導の下、財団法人日本情報処理開発協会(現在は一般財団法人日本情報経済社会推進協会という。)が平成10(1998)年に創設した制度で、事業者が個人情報の取扱いを適切に行う体制等を整備していることを評価し、その証として「プライバシーマーク」の使用を認めるというものである4。 こうした要素を踏まえて存続会社を検討してきたが、統合成立後遅滞なく局の業務を受託・執行するには「プライバシーマーク」の保有が必要であり、TSS(株)を存続会社とした場合には認証の再取得が必要となることが判明した。 団体としてより長い歴史を有していること、そして統合後の円滑な局業務の受託という点を重視し、(株)PUCを存続会社として統合する方向で結論を見た。(2)新会社の設置形態 統合に当たってもう一つ課題となったのが、新会社の設置形態である。 これまで(株)PUCとTSS(株)は、ともに監査役設置会社という形態の下、監査役を通じたガバナンスを行ってきた。 しかし、平成31(2019)年2月に東京都総務局がTSS(株)への特別監察を実施する等、グループ内でのコンプライアンスとガバナンスが大きなテーマとなったことを受け、新会社にはより厳格なガバナンス制度を導入する方向で検討を進めてきた。 この結果、新会社は、都庁グループでも初めてとなる監査等委員会設置会社という設置形態を採ることとなった。これは監査役設置会社と異なり、監査等委員である取締役のうちの過半数を社外取締役としなければならず、第三者の視点が入ることによるコンプライアンス・ガバナンスの強化が期待できる形態であった。 形態確定後の具体的検討の過程で、3名の監査等委員全員を独立社外取締役とし、更に3名中2名を都庁初の公募により決定することとした。これにより、設置形態と併せて、第三者によるガバナンス等強化の効果を更に向上させた。(3)新会社の誕生 以上のような課題を整理しつつ、約1年間という短い間での調整・検討を経て、令和2(2020)年2月には両団体の合併契約調印式を執り行い、同年4月には新会社・東京水道株式会社(以下「東京水道(株)」という。)が誕生した。 なお、新会社の名称については、(株)PUCとTSS(株)の社員から原案を募集し、社員投票により候補を決めることとした。計380件の原案を社員アンケートや投票を通じて絞り込んだ結果、「東京水道株式会社 Tokyo Water」に決定した。 また、新会社のロゴについては、コンペ方式により広く募ることとし、水の清涼感と共に会社名称を取り込んだものに決定した(図3-7)。図3-7 東京水道(株)のロゴ
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