東京近代水道125年史
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2. 政策連携団体活用戦略の中では、(株)PUCとTSS(株)が令和2(2020)年4月に統合予定であることを受け、政策連携団体一覧には統合後の東京水道株式会社の名称を記載している。3.「東京都政策連携団体活用戦略」78(3)政策連携団体への改称 令和元(2019)年5月には、所管局による改革の取組として、団体の今後の役割や担うべき業務領域を所管局が再整理し、政策実現に向けた団体活用の考え方を示す「東京都政策連携団体活用戦略」(以下「政策連携団体活用戦略」という。)を策定・公表した。 政策連携団体活用戦略では、まずこれまでの監理団体との関係性を現在の都政との関連性の観点から再整理し、一定の基準を満たす団体を「事業協力団体」、そしてその中でも特に関連性の高い団体を「政策連携団体」と再定義した。 その上で、役割の高度化、新たなミッションの付与、「官・団体・民」の役割分担を踏まえた既存活用等の見直しの3つの観点から団体の役割を整理した上で、「都庁グループ」の機能強化と政策推進力の向上を図るため、団体ごとの活用戦略を示した。 政策連携団体活用戦略の策定を受け、東京都監理団体経営改革プランは初年度の進捗状況を確認した上で、同月「東京都政策連携団体経営改革プラン」(以下「政策連携団体経営改革プラン」という。)と改称され、これに基づき団体の自律的な改革を進めていくこととされた。2 当局における団体改革の取組(1)グループ経営と団体改革 こうした都庁全体での改革の動きを受け、グループ経営を立ち上げた当局及び各団体でも団体の経営改革に向けた分析と検討を進め、監理団体経営改革プランに(株)PUCとTSS(株)の経営戦略を計上した。 両団体に共通する事項として、一体的事業運営体制下の委託拡大により、社員数は固有社員を中心に増加傾向にあり、売上高も増加していた。 一方、経験豊富な都派遣職員や都OBの数は減少しており、受託業務量が増加する中での人材確保・育成にも課題があることが明らかとなった。 また、売上の多くは当局からの受託業務による収入であり、今後局事業の動向やそれに伴う需要の変動によって、会社の売上も大きな影響を受けやすい構造にあることも明らかとなった。 こうした現状を踏まえて、課題解決に向けた戦略として、各団体の固有社員の一層の増加、人材育成の強化を図るとともに、自主事業による収益拡大を通じた経営の自律性向上を図ることとした。 以上のような両団体共通の課題に加え、(株)PUCであればお客さまセンター業務の更なる効率化、TSS(株)であれば工事事故防止と安全対策の強化など、団体固有の課題に対しても改善策を提示した。(2)政策連携団体の統合 令和元(2019)年5月の政策連携団体活用戦略を受け、(株)PUCとTSS(株)の2団体が政策連携団体、東京都市開発株式会社と水道マッピングシステム株式会社の2団体が事業協力団体に位置付けられた2。 監理団体経営改革プランでは、(株)PUCとTSS(株)は、連携しつつも各団体が独自の経営戦略を策定していた。しかし、団体への業務委託が進む中、東京水道が将来にわたって必要不可欠なサービスを提供し続けるためには、団体は一層のサービス向上と経営の効率化を図る必要があった。 こうした問題意識の下、これまで営業系((株)PUC)と技術系(TSS(株))で分割されていた団体を一つに統合し、水道業務を包括的に担うことができる体制を構築することが公に表明された3。 団体の統合は、平成31(2019)年1月の都政改革本部会議において議題として取り上げられ、団体統合に係る検討を進めるため、局、TSS(株)、(株)PUCの三者で統合準備委員会を発足した。 そして同委員会の下に各種ワーキンググループを設置し、企業統治体制や人事給与制度、契約制度などに係る検討を進めた。3 新会社の設立 (1)存続会社の問題 統合準備委員会の検討の中で課題となった事項の一つが、(株)PUCとTSS(株)のいずれを存続会社とすべきか、という点であった。

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