東京近代水道125年史
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7777営」へと進化・発展させ、局及び監理団体がいわば一つの「事業体」として、統一的な経営戦略の下、相互に強みを発揮し有機的な連携を図りながら経営を担っていくことで、事業運営基盤の一層の強化を図ることとした。 そしてグループ経営の今後の方向性や具体的な取組を示すものとして、同年7月に「東京水道グループ経営基本方針」(以下「グループ経営基本方針」という。)を策定した(図3-6)。 グループ経営基本方針では、まず経営の方針として①当局・監理団体が共に目指すべき理念等を共有、②東京水道グループとしての的確な経営判断の促進、③業務運営の更なる質の向上、④東京水道グループ内の連携強化の4点を掲げた。 その上で、方針を実現するための具体的取組として、これまで実施済のものに加え、新たにグループ経営戦略会議や執行調整会議、コンプライアンス推進会議といった会議体の設置、現職都職員の取締役兼任の増員、議決権比率の見直し等を挙げた。図3-6 グループ経営(イメージ図)第2項 東京水道株式会社の設立1 都政改革の進展と団体改革(1)「3つのシティ」と2020改革プラン 平成28(2016)年の小池都知事就任以降、都は、安全・安心・元気な「セーフシティ」、誰もがいきいきと活躍できる「ダイバーシティ」及び世界に開かれ成長を続ける「スマートシティ」の「3つのシティ」の実現を政策目標として掲げた。 一方、都を取り巻く状況を見ると、東京の人口は平成37(2025)年をピークに減少に転じる見込みであり、都は、都税収入の減少リスクや都庁のマンパワー不足への懸念を抱えていた。 また、既に超高齢社会に突入している上、平成37(2025)年には、団塊の世代が後期高齢者となることから、社会保障関係費が毎年増加していくことが見込まれた。 さらに、道路や橋、公共施設などの社会資本ストックは、昭和40年代と平成初期に建設されたものが多く、それぞれ大規模更新期を迎えて老朽化対策が急務となっており、維持更新経費の増加も見込まれた。 このような状況下において、「3つのシティ」を実現するためには、これまでの都の仕事のあり方を見直して生産性を向上させるとともに、都庁の機能強化を図る必要があった。 このため、「都民ファースト」、「賢い支出(ワイズ・スペンディング)」、そして「情報公開」を改革の3原則に据えて、知事を本部長とする都政改革本部の下、「しごと改革」、「見える化改革」、「仕組み改革」の3つの改革から成る「2020改革」をスタートした。(2)2020改革プランにおける監理団体改革 平成30(2018)年3月に公表された2020改革プランにおいて、「仕組み改革」の一環として取り上げられているのが監理団体改革である。 プランでは、改革の主体として監理団体自身、所管局、総務局の3者が挙げられ、それぞれに改革の方向性と取組目標が示された。例えば監理団体に対しては、経営改革プランの策定と毎年度の進捗管理による自律的な改革の促進が、所管局に対しては、今後の団体活用の考え方等を取りまとめ、団体を所管する局等による改革を推進することが挙げられた。 同年6月には、監理団体による改革の一環として「東京都監理団体経営改革プラン」(以下「監理団体経営改革プラン」という。)が策定・公表された。この中では、全33の監理団体について、平成32(2020)年までの経営改革の取組が示されており、団体ごとに、現状分析・評価と経営課題の明確化、課題解決に向けた経営戦略も策定された。

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