東京近代水道125年史
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74(4)その他 この他、省エネルギー型ポンプ設備の導入によるエネルギー消費量の削減や排水処理設備の規模の見直し、気候変動に伴う原水水質の変化に応じた適切な浄水処理、長期不使用給水管への対応、直結給水方式への切り替え促進及び貯水槽水道の適正管理といった事項についても、計画的に取り組んでいくこととした。2 様々な脅威への備え 「様々な脅威への備え」では、震災、大規模停電、風水害、火山噴火に伴う降灰等を対象とした対策事業として7つの取組を掲げた。(1)耐震対策 施設の耐震化のうち、貯水池に関しては、阪神・淡路大震災以後進められてきた村山・山口貯水池の堤体強化工事のうち、残る村山上貯水池の堤体強化工事を令和5(2023)年度末までに完了させることとした(写真3-4)。【写真3-4 村山上貯水池堤体強化工事】 また、浄水施設についてはプラン終了時点での耐震化率を69%、配水池については98%と設定し、これを達成するため各種事業を進めることとした。 さらに配水管、給水管についても、耐震継手化やダクタイル鋳鉄管・ステンレス管への更新を通じて耐震化を進めることとしており、プラン終了時点での配水管の耐震継手率を61%、私道内給水管の耐震化率を67%まで向上させることとした。 加えて、震災などによる大規模停電時も高度浄水施設が稼働できるよう、自家用発電設備の整備を進めるとともに、72時間運転可能な燃料を可能な限り確保することとした。(2)風水害・降灰対策 風水害対策としては、河川氾濫により水管橋や添架管が被害を受けた事例があることから、損傷、流出の被害を未然に防止するため、水管橋等の地中化を図ることとした。 火山噴火に伴う降灰対策としては、日量100万㎥以上の施設能力を有する大規模浄水場(東村山、金町、三郷及び朝霞)については、水質基準を超過しないレベルの影響であるとともに、高度浄水処理により、さらに低減可能であることから、既存の施設で対応することとした。また、長沢浄水場については、沈殿池への直接降灰時には水質基準超過のリスクが有るため、沈殿池への降灰対策(シート型の覆蓋)を実施することとした。3 新技術を活用した水道システムの構築 「新技術を活用した水道システムの構築」では、今後進める水道システムの更新を、システムの抜本的改良・構築の好機と捉え、デジタル技術やAIを活用した維持管理の効率化、施設のリモート管理などを目指していくこととした。 まず、今後更新を迎える浄水場では、最新の技術動向を把握し、環境に配慮したより効果的な技術を導入していくこととし、併せて既存の浄水場についても新技術の導入を推進することとした。 具体的な活用例としては、AIによる薬品注入の運転管理サポートや、ドローンによる施設の監視・点検、デジタル技術を活用した浄水場のリモート管理などを挙げた。 また、学識経験者と連携した新技術の調査実験や、デジタル技術を活用した研修による人材育成など、様々な取組を通じて維持管理の効率化を図ることとした。第1項 「一体的事業運営」から「東京水道グループ」への発展1 一体的事業運営体制下の委託拡大 (1)一体的事業運営体制下の業務委託 前章第3節に記載したように、一体的事業運営体制の構築により当局と2つの監理団体(株式会社PUC、東京水道サービス株式会社)、そして民間事業者の役割分第2節 東京水道グループの一体的経営

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