東京近代水道125年史
75/206

73(1)水源・取水・導水施設 これまで確保してきた水源に関しては、首都東京の安定給水を継続するため、水道需要への対応はもとより、将来の気候変動による影響も踏まえ、安定化を図るとともに、最大限活用していくこととした。前章第2節第1項でも記載した、課題を抱える水源については、厳しい渇水時にも給水を確保できるよう水源の安定化を図るため、国などの関係機関との調整を続けていくとした。 また、水源施設のうち小河内貯水池については築造から60年以上が経過しており、将来にわたる運用のため、点検に基づく補修やしゅん渫せつなどに加え、より適正な施設管理や効率的な運用を可能とする設備の更新なども含めた計画を策定し、総合的な予防保全事業を進めていくとした。 導水施設については、災害・事故時に加え、既設管の更新工事時のバックアップ機能を確保するため二重化を進めていくこととし、第二朝霞東村山線や東村山境線(仮称)、第二三園導水管(仮称)といった施設を対象に掲げ、2021年版プラン終了年度時点では二重化整備率88%を目指すこととした(図3-3)。 また、二重化が完了した施設については、布設からの経過年数や耐震継手化状況などを考慮し、健全度調査による劣化状況を踏まえ、計画的に更新していくこととした。(2)浄水施設 浄水施設については、予防保全型管理による施設の長寿命化や更新の平準化を図り、年間事業費を抑制しつつ、約90年で計画的に推進することとした。 また、浄水場内の施設は複数の系列に分割している図3-3 導水施設の二重化図3-4 浄水場の更新工事ことから、系列ごとに更新工事を行うとともに、事前に代替となる浄水場を整備することで、更新に伴う能力の低下を補うこととした(図3-4)。 さらに、更新工事と併せて施設の覆蓋化を図ることで、異物や降灰の混入を防ぎ、安全面、衛生面での信頼性向上を図ることとした。(3)送配水・給水施設 送水管については、継続してネットワーク化を進めることでバックアップ機能を確保することとし、2021年版プラン終了時点での送水管ネットワーク整備率を93%と設定した(図3-5)。図3-5 送水管のネットワーク化・更新 また、送水機能への支障を最小限にするため、布設からの経過年数や耐震継手化状況などを考慮しながら、老朽化した管路を計画的に更新していくこととした。 さらに、給水所についても、給水所の新設・拡充を通じた配水区域の再編、予防保全型管理を通じた長寿命化と計画的な更新を進めていくこととし、2021年版プラン終了時点での安定給水確保率を89%と設定した。

元のページ  ../index.html#75

このブックを見る