東京近代水道125年史
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68 本章は、主に平成26(2014)年から令和4(2022)年の間に行われた当局の事業及び施策とともに、今後の当局の経営方針について記載している。 平成25(2013)年までの間に、高度浄水処理の導入や直結給水化といった事業を通じて、「安全でおいしい水」という質の追求は一定の成果を挙げた。 また、経営面においても、東京都監理団体(以下、「監理団体」という。なお、現在は東京都政策連携団体という。)との一体的事業運営体制の構築や新しい経営管理手法の導入などを通じて事業運営の効率化を図るとともに、長年の懸案であった多摩地区水道の事務委託を解消することができた。 一方、地震や風水害といった自然災害の脅威が深刻化するとともに、かねてから懸念されていた基幹施設の更新時期も迫っており、将来の安定給水をいかに確保するかという課題が目の前にある。 さらに、令和7(2025)年以降は東京都の人口も減少に転じる見込みであり、水道需要と料金収入が減少する人口減少時代において、いかに健全な事業運営を継続するかという課題にも直面している。 本章ではまず、第1節で当局の長期的な経営構想と施設の再構築について、「東京水道施設整備マスタープラン」と「持続可能な東京水道の実現に向けて 東京水道長期戦略構想2020」に基づいて記載している。続く第2節では、経営面の重要な事項である東京都政策連携団体(以下「政策連携団体」という。)の統合と東京水道株式会社の設立、グループとしての経営方針を記載している。そして最後の第3節では、DXを活用したお客さまサービスの向上や国内外の水道事業体との連携、人口減少時代の財政運営などの新しい試みについて記載している。第1項 マスタープランの策定と「東京モデル」の構築 1 東京水道施設整備マスタープラン  前章第2節に記載した「東京水道施設再構築基本構想」(以下「基本構想」という。)は基本的な考え方を提示したものであり、それを現実のものとしていくためには、社会経済情勢や時々の財政状況を踏まえつつ、一定期間ごとに優先順位と整備目標を定めて事業を推進していく必要がある。 そこで、基本構想で示した考え方を具体化するとともに、10年後の整備目標と優先順位を踏まえた具体的な取組内容をまとめ、平成26(2014)年4月に「東京水道施設整備マスタープラン」(以下「2014年版プラン」という。)として策定・公表した(写真3-1)。【写真3-1 東京水道施設整備マスタープラン】2 東京水道の直面する現状  2014年版プランでは、施設整備の目標や優先順位を定めるに当たって現状分析を行い、直面する課題を以下3つに大別した。第1節 強きょうじん靭で持続可能な水道システムの構築第三章 東京を支える強きょうじん靭で持続可能な東京水道に向けて【Chapter 3】Toward a strong and sustainable Tokyo Waterworks System that supports Tokyo

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