65全ての業務を当局に移行した。 また、平成22(2010)年4月には、奥多摩町の水道事業も都営水道に統合された。 この結果、これまで各市町が個別に管理してきた予算、組織、人員、施設等を当局が一体的に管理することとなり、重複業務の解消や弾力的な予算・人員配置の運用が可能となったことで、お客さまの多様な要望に迅速かつ的確に応える体制を構築することができた。2 多摩地区水道の抱える課題 一方、事務委託解消を契機に本格的に取り組むべき課題がある。元々多摩地区の水道施設の多くは、市町営水道時代に整備されてきたことから、依然として市町域を超える管網整備が十分でなく、また老朽化が進む小規模水道の集合体的な状態にあった。 多摩地区における安定給水を確かなものとするには、バックアップ機能確保を目的とした送配水管路網の充実及び強化、市町域を超えた配水区域の再編、浄水所や給水所といった小規模施設の再構築、施設の耐震化といった取組が必要であった。 また、事務委託解消の過程で新たに顕在化した課題として、水道事業と関わりのある下水道事業や消防行政との連携、災害発生時の円滑な応急給水の遂行など、各市町との新たな連携及び協力体制を構築していくことなどがあった。3 事務委託解消後の経営改善の取組 こうした課題に対応するため、事務委託解消前の平成22(2010)年8月、解消後を見据えた多摩地区水道事業の経営改善計画として「多摩水道改革計画(2010-2014)」を、事務委託解消後の平成25(2013)年5月には「多摩水道改革計画2013」を策定し公表した。 これらの計画では、安定給水の確保という観点から多摩丘陵幹線及び多摩南北幹線の整備によるネットワーク形成、老朽化した小規模施設の改修、貯水槽水道対策と直結給水化の推進、東日本大震災の教訓を踏まえた施設の災害対応力強化等に係る事業が取り上げられた。 また、市町との連携強化に関しては、平成24(2012)年2月に多摩地区26市町と水道局で構成する「多摩水道連絡会」を新設し、災害対策や重要施策の推進に向けた意見交換及び調整を行うこととした。 加えて、市町防災会議への参画や応急給水に必要な資器材の貸与、市町や地域住民との合同訓練の実施など、災害対応面での連携強化に向けた取組も進めることとした。 そしてこうした多摩水道の経営改善の取組は、その後平成29(2017)年3月に策定された「多摩水道運営プラン2017」にも引き継がれ、今日の多摩地区水道事業の運営の元となっている。
元のページ ../index.html#67