63(2)事務委託解消の推移 事務委託の解消は、平成15(2003)年7月に解消の意思表示をした武蔵村山市、多摩市及び瑞穂町から進められた。武蔵村山市と瑞穂町については同年9月に、多摩市とは10月に業務移行計画を策定し、武蔵村山市と多摩市は業務移行計画策定と同月に事務委託廃止の基本協定を締結、12月の都議会及び市議会の議決を経て、平成16(2004)年4月から業務移行を開始した。また、瑞穂町は、平成16(2004)年7月に基本協定を締結し、平成17(2005)年4月より、業務移行を開始した。 これ以降、統合各市町との間で移行計画の策定、具体的な業務移行に係る協議が進められ、平成18(2006)年3月までには各市町の移行計画策定が完了し、移行に関する基本協定の締結は平成22(2010)年6月の三鷹市及び稲城市をもって完了した。 具体的な業務の移行は先述の3区分に応じて行われ、徴収系業務は平成23(2011)年4月に、給水装置系・施設管理系の両業務は平成24(2012)年4月に都への業務移行が完了した(表2-6)。 この一連の取組により、長年にわたる課題であった多摩地区水道事業の事務委託制度は、完全に解消されることとなった。2 事務委託解消後の業務執行体制の構築(1)監理団体を活用した人員の確保 事務委託期間中は、各市町の水道部署が窓口となりお客さまの対応を行うとともに、施設の整備や維持管理等を行ってきた。経営改善基本計画策定直前の平成14(2002)年度の時点で、各市町には約1,100人の水道職員が在籍して業務を行っていたが、事務委託解消及び業務移行後、当局でこれらの業務をいかに担っていくかは大きな課題であった。 移行後の業務の執行について、平成15(2003)年6月の経営改善基本計画では、民間委託により民間の知識や経験等を積極的に導入することで、柔軟性、効率性といった民間経営のメリットを生かすこととしていた。 当局は業務の移行に当たり、公共性を確保しつつ確実かつ効率的に業務を執行するため、監理団体である(株)PUCとTSS(株)に一連の業務を委託するとともに、定型的な業務等民間に委ねられる業務については、可能な限り民間事業者に委託することとした。 この考え方の下、TSS(株)には管路や施設の維持及び運転管理、給水装置系の業務を、(株)PUCには料金の徴収等お客さまサービス関係の業務を、民間企業にはメータ検針業務などを委託した。またこれらの企業でも、新規採用や都OB人材を活用しながら、都への業務移行に合わせて業務を受け入れる体制を段階的に構築してきた。 当局、監理団体及び民間事業者が連携したこの事業運営モデルは、平成18(2006)年の「東京都水道局における一体的事業運営体制の構築について」により更に明確化された。(2)お客さまサービスの向上 一方、お客さまサービスという観点では、市町域を超えた多摩地区全体を対象とする体制やシステムの構築がなされていないという課題があった。 このため、各市町が担っていたお客さま対応窓口に代わるものとして、平成16(2004)年4月以降多摩地区の12か所にサービスステーションを順次設置していった。ここでは、料金支払や給水装置工事の申請受付など徴収系業務と給水装置系業務を取り扱っており、前者は(株)PUCが、後者はTSS(株)が受託し、両社で運営する体制とした。 また、こうしたサービスステーションを統括するとともに、給・配水所、管路等の水道施設の運転管理業務や維持管理業務を行う組織として、立川、多摩、八王子及びあきる野の4か所に給水管理事務所又は給水事務所を設置した。 さらに、水道の使用開始及び中止等各種申込み、問合せ対応を行う窓口として、平成18(2006)年11月に多摩お客さまセンターを開設した。開設準備とセンターの運営は(株)PUCに委託され、平成19(2007)年4月からは多摩地区の都営水道地域全体に対象を拡大した。 その他、多摩水道料金等ネットワークシステムの導入、口座振替制度や払込方式の拡充など、区部と同様のサービス水準が保たれるよう各種の制度及び施策を展開していった。
元のページ ../index.html#65