東京近代水道125年史
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60図2-9 21世紀の多摩地区水道3 多摩地区水道経営改善基本計画の策定(1)21世紀の多摩地区水道 行革プランでの見直し表明に先行して、当局は平成10(1998)年8月に事務委託制度の見直しと経営改善に係る市町向け説明会を開催したほか、同年10月には各市町の実情を把握するため、事務委託制度見直しに係る事前調査を実施した。 こうして得られた意見や情報を基に、受託市町で構成される東京都水道事業受託市町連絡協議会や各市町の首長訪問を実施し、事務委託制度に関する問題点や今後の多摩地区水道のあり方に関する当局の考えを説明した。 平成13(2001)年11月には、「多摩地区水道経営プラン21」(以下「経営プラン21」という。)及び「移行にあたっての基本的な考え方」の案を受託市町に提示し、意見を求めた。ここで出された意見を反映し、平成15(2003)年3月に経営プラン21が最終決定された。 経営プラン21の最大の特徴は、市町への事務委託を解消し、当局が23区と一体的に多摩地区の水道事業を運営すること、そして事務の移行は平成15(2003)年度から10か年以内に行うことを正式に表明した点である。 また事務委託の廃止を円滑に進めるため、委託廃止に伴う市町職員の減員、業務の民間委託化に関しては、個別の事情に配慮して、市町ごとに年次を明示した移行計画を策定することとした。 合わせて当局側の体制整備も図り、お客さまサービスや安定給水の確保に十分配慮した上で、民間委託を可能な限り拡大することも明記した。(2)多摩地区水道経営改善基本計画の策定 経営プラン21では、執行体制の効率化に加え、お客さまサービス向上のため、①サービス水準の向上、②給水の安定性の向上、③多摩水道総合受付センター(水道の使用開始及び中止、名義変更等の各種手続を、電話・FAX・インターネット等により、365日24時間ノンストップで受け付ける窓口)の設置という3つの項目を掲げた(図2-9)。 こうした方針を具体化し、各施策や事務委託制度解消の道筋などを示す目的で、当局は平成15(2003)年6月に「多摩地区水道経営改善基本計画」(以下「経営改善基本計画」という。)を策定・公表した。 経営改善基本計画では、今後の多摩地区水道のあり方として①お客さまサービスの向上、②給水安定性の向上、③効率的な事業運営の3点を定め、それぞれに係る施策を体系的に示した(図2-10)。 ①に関しては、先述の多摩水道総合受付センター(後のお客さまセンター)設置のほか、水道お客さま窓口(後 なお、こうした抜本的な経営改善を一層推進するため、平成14(2002)年4月には多摩水道対策本部を多摩水道改革推進本部に改組し、事務委託解消後の広域的運用体制の整備に着手した(写真2-15)。【写真2-15 現在の多摩水道改革推進本部庁舎】

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