東京近代水道125年史
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54(3)朝霞・三園浄水場におけるPFI導入 金町浄水場での導入経験を踏まえ、平成12(2000)年4月の「水道事業経営プラン2000」では、新しい事業経営システムの一例としてPFIが取り上げられ、適用分野の拡大を含めた導入計画を策定、順次導入することとした。 また、朝霞浄水場における常用発電設備の整備は、経営プランにおいてPFI対象事業として推進されていた。 ただ、金町浄水場への導入時とは異なり、前年9月には「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(以下「PFI法」という。)が施行され、都全体でも平成12(2000)年12月に「東京構想2000」、を予定しており、その更新時期と整合を図る必要があったことから、国による法整備前にモデル事業として実施することになった。 我が国では前例の無い取組であり、事業を進めるに当たり事業者の募集、選定、審査等様々な段階で過去に例のない課題に対応する必要性があったことから、民間シンクタンクとの間で専門的見地からの助言を内容とするアドバイザリー契約を締結した。そして、このアドバイザリー契約の下で弁護士や技術士等と連携しながら、契約に伴うリスクの洗い出しと対応策の検討を行った。 最終的には、最終合格者が設立した特別目的会社である金町浄水場エネルギーサービス株式会社との間で、20年間の電力購入等に係る契約を締結し、平成12(2000)年10月より施設が稼働した(写真2-13)。この契約は令和2(2020)年10月に契約期間満了となったが、当初想定どおりの効果を発揮することができた。【写真2-13 整備された常用発電設備】「東京都におけるPFI基本方針」が策定され、事業手法として導入する際の考え方や手順が示されていた。 そこで、三園浄水場及び朝霞浄水場への導入に当たっては、PFI法に定められた手続きに従い、平成12(2000)年10月に実施方針を公表し、平成13(2001)年10月、特別目的会社である朝霞・三園ユーティリティサービス株式会社との間で契約を締結した。 事業の内容は、朝霞及び三園両浄水場における常用発電設備の建設・運営及び発生土の有効利用に加え、朝霞浄水場における次亜塩素酸ナトリウム製造施設の建設・運営という3つからなっており、平成17(2005)年4月より供給が開始された(運用期間は供給開始から20年間。整備された各種設備は写真2-14を参照)。【写真2-14 整備された各種設備】4 その他 以上のような取組のほかに、費目ではなく活動を基準として原価計算を行い、施策の有効性や業務改善の方向性をコスト面から明らかにする「ABC分析」の導入、第2節第2項で採り上げた「環境会計」の導入といった試みも、新しい事業経営システム導入の一つを構成している。

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