東京近代水道125年史
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8.「PFI事業導入の手引き 基礎編 Q1PFIとは, 内閣府ホームページhttps://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/tebiki/kiso/kiso01_01.html」532 目標管理の強化(1)事業目標の数値化 水道局の事業運営は、これまでも議会における予算、決算の審議などを通じて評価が行われてきたが、目標の達成度や経営の効率性などといった総合的な観点からの評価が不十分な面があった。 こうした状況を改善するために導入された手法の一つが、事業目標の数値化である。これは一定期間ごとに事業目標の達成度を評価するため、評価の必要な項目と目標数値を設定し、管理するというものである。 「水道事業経営プラン2000」では、経営から施設整備に至るまで広範囲な目標を数値化しており、経営面では職員一人当たりの給水件数や有収水量、自己資本構成比率など、施設面では安定水源確保率や漏水率など、合計で12の項目について目標を設定した。 「東京水道経営プラン2004」では、経営及び施設に加えて、新たに環境に関する事項が加えられ、複層林の構成率や自然エネルギーによる発電容量、浄水場発生土の有効利用率といった数値目標を設定した。 当局ではその後も、平成17(2005)年に社団法人日本水道協会(現在は「公益社団法人日本水道協会」という。以下「日本水道協会」という。)が策定した137項目の業務資料からなる「水道事業ガイドライン」等の活用を通じて管理の徹底を図ることとしており、現在に至るまで継続して取り組んでいる。(2)事業評価制度の導入 また平成13(2001)年度からは、当局独自の事業評価制度を構築及び導入し、①経営計画に掲げた施策の達成状況の把握とその評価、②大規模水道施設整備事業の評価、③進行管理・自己点検の再構築、の3つを事業評価制度の柱として、達成状況の評価を行っている(図2-3)。 このうち①については、先述の事業目標数値化とリンクしており、目標の達成状況を定量的に評価するほか、プランで掲げた主要施策について、具体的な事業内容の達成状況を評価し、公表するものである。 また②は、大規模施設の新設事業で施設能力の増強や高水準な施設整備を目的とする事業を対象とし、評3 PFIの導入(1)導入の背景 PFIは、公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという手法で、1990年代前半に英国で生み出された8。 当局では、局による施設整備事業費の縮減や民間の力を活用した事業運営の効率化といった観点からPFIに着目しており、国による法整備前であったが、平成10(1998)年8月ごろから検討に着手し、同年11月に導入方針を策定し公表した。(2)金町浄水場におけるPFI導入 国内初となるPFIを利用した公共施設整備事業の対象として当局が選定したのは、金町浄水場における常用発電設備の建設である。 これは、PFI導入による経費削減効果はもちろん、当局の電力及び蒸気の需要量が十分にあるため事業性が確保されていること、比較的小規模な事業であるため当局として事業のコントロールが容易であると考えられること等を踏まえて決定されたものである。 また、金町浄水場では老朽化した排水処理所の更新価主体として局内に事業評価委員会を設置した上で、事前評価だけでなく工事着手後5年を経過した事業の再評価も行うこととした。平成16(2004)年度には、大規模更新事業も評価対象とすること、平成17(2005)年度には評価に当たり第三者の意見を聴取すること等変更が加えられている。図2-3 事業評価制度のイメージ

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