東京近代水道125年史
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48期間で全ての管路を耐震継手化することは不可能であった。そこで、耐震継手化を大幅に前倒しして進めるため、平成22(2010)年以降は「水道管路の耐震継手化緊急10カ年事業」、平成25(2013)年以降は「水道管路の耐震継手化10カ年事業」に基づき取組を加速化させてきた。【写真2-11 耐震継手管】 なお、送配水管だけでなく給水管についても耐震性の強化を図ることとしており、平成10(1998)年度以降、口径75㎜以上の大口径給水管にダクタイル鋳鉄管、耐震継手管(SⅡ形及びN形)を採用することとした。 さらに、既述のとおり、平成12(2000)年度からは水道フレッシュ診断に併せて鉛製給水管の布設状況の調査、ステンレス鋼管への布設替えを行い、平成18(2006)年度末にはおおむね解消した。 こうした取組は、震災対策という観点だけでなく、材質の劣化や腐食等による漏水を防止するという観点からも重要なものである。ダクタイル鋳鉄管やステンレス鋼管への取替が進むにつれて漏水率は低下し、平成10(1998)年には約8%であった漏水率は、平成24(2012)年には2%まで低下し、現在では3%台で推移している。(3)給水拠点の整備 当局は、知事部局との間で、東京都震災対策条例に基づき「給水施設の設置及び管理に関する協定」、「給水施設の維持管理指針」及び「応急給水用資器材の配備及び維持管理に関する協定」を締結しており、これらの協定に基づき、応急給水槽の建設及び維持管理、応急給水用資器材の整備などに係る経費については、一般会計から繰入れを行っている。3 応急対策面の対応 応急対策は、災害が発生した場合の職員の活動体制や東京都政策連携団体(以下「政策連携団体」という。)、民間事業者、近隣の水道事業体等との連携体制の確保等を通じて、一刻も早く平常給水への回復及び可能な限りの飲料水の確保を図ることを目的とする活動である。(1)応急復旧体制の見直し 平成17(2005)年2月に国の中央防災会議が「首都直下地震の被害想定」を、同年9月にこれを基にした「首都直下地震対策大綱」を発表したが、これらで示された被害想定は、平成9(1997)年に都が策定した被害想定を大きく上回るものであった。また水道施設に関しては、首都中枢機関への供給に関わる路線は発災後3日以内、その他は発災後30日以内という復旧目標も提示 震災時における飲料水の確保のための対策では、学校等の避難所としての機能を強化することを目的に、庁内で震災対策を所管する総務局との協議により、新たに小規模応急給水槽(100㎥)を、給水拠点から2㎞以上離れている空白地域へ優先整備することを決めた。なお、応急給水槽については、平成14(2002)年策定の事業計画の事業期間中に必要な水量が確保できたことから、総務局との協議の上建設を終了することとした。 これと並行して、応急給水活動をより安全かつ確実に行うため、応急給水用資器材の配備や更新等を通じた給水拠点(現在は「災害時給水ステーション」と呼称)の整備を総務局より受託し、進めてきた(写真2-12)。【写真2-12 応急給水拠点】

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