7.施工が困難な箇所などに残存している経年管(K)の解消(ゼロ)を目指して更新する計画47【写真2-9 山口貯水池(工事完了後)】 続いて村山下貯水池の耐震強化工事が平成15(2003)年2月に始まり、21(2009)年4月に完成式を行った(写真2-10)。 なお、村山上貯水池堤体については、既存堤体の一部を撤去した上で、強化した盛土を施工する抑え盛土工法により耐震性を向上させる工事を施工している。(1)施設の耐震性強化 阪神・淡路大震災を契機に、様々な土木構造物の設計基準の見直しが図られ、水道施設についても、重要施設にはより高い耐震性が求められるようになった。これを受けて進められた耐震強化に係る取組の中でも特に大きなものが、村山・山口貯水池の堤体強化工事である。 震災で堰えんてい堤崩壊も発生していたことを受けて改めて村山・山口貯水池の耐震性を診断したところ、堤体としての安定性に問題はないものの、堤頂部に沈下が生じ、堤体に損傷を受ける可能性があると判明した。 両貯水池は、堤体直下まで市街化が進行していたこと、また自然流下で浄水場に原水を供給できることから地震時や大規模停電時の安定供給を確保する上で重要な役割を担っていること等を踏まえ、当局は両貯水池を優先的に耐震化を図るべき施設と位置づけ、堤体強化工事に着手した。 工事は、有効貯水容量の多い山口貯水池から進められ、平成10(1998)年1月に着手し、平成14(2002)年11月に完成式を行った(写真2-9)。【写真2-10 村山下貯水池(工事完了後)】 この他、浄水施設関連では、平成16(2004)年に策定した「水道施設耐震化基本方針」において「給水確保施設」として設定された6浄水場(金町、三郷、朝霞、三園、東村山及び小作)を優先的に整備していくこととし、特にろ過池や配水池を最優先施設と位置づけ、耐震化を進めてきた。 また、送配水施設関連では、水管橋の耐震診断及び補強工事、給水所の耐震補強工事等を実施してきた。(2)管路の耐震化 施設の耐震性強化に関するもう一つの重要な事業は、管路の耐震性強化である。 区部では昭和48(1973)年度から、多摩地区では昭和53(1978)年度から、外部衝撃に弱く、破損により漏水や濁り水の原因となる普通・高級鋳鉄管(経年管)を、粘り強く強度の高いダクタイル鋳鉄管に更新する取組を進めてきた。 しかし、埋設物が輻ふくそう輳する場所では、取替工事がなかなか進まなかったため、平成14(2002)年には、残存している経年管(ケイネンカン)をなくす(ゼロ)事業として、「K0(ケイゼロ)プロジェクト」7を立ち上げ、取替えを更に推進してきた。 阪神・淡路大震災での離脱防止機能の有効性を踏まえ、当局では、平成10(1998)年度より、送配水管路については耐震継手管(S形、SⅡ形、NS形等)を全面的に採用し、震災対策上重要な路線から優先順位を付け、取替えを進めていった(写真2-11)。 しかし、都内に布設されている管路の延長は地球約3分の2周に相当する約2万7千㎞と非常に長く、短
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