6. ISO 14001とは、環境マネジメントシステムの要求事項を規定しており、Plan-Do-Check-Act(PDCA)という概念に基づいて、環境マネジメントのレベルを継続的に改善していく仕組みである。それぞれの組織は、この要求事項に沿った環境マネジメントシステムを構築し、規格への適合を自己宣言するほか、外部機関による認証・登録を求めることが可能とされている。 (https://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/04-iso14001.html)45成12(2000)年4月に「東京都水道局環境基本理念」(以下「基本理念」という。)を定めた。 この中で、「水を育む地球環境を守ることは、人類共通の課題」とした上で、当局は「安全でおいしい水を安定的に供給するという事業活動を通して、豊かな地球環境を次世代に引き継いでいくために努力」すると表明した。 この基本理念は、当局の環境への寄与の意思を明確にするとともに、今日に至るまで、当局の環境施策全体を束ねる指針となっている。(2)経営プランにおける主要施策化 また平成12(2000)年4月の「水道事業経営プラン2000」において、当局は施設整備や生活に密着したサービスの推進と並び、「地球環境の重視」を主要施策として掲げ、「地球規模での環境悪化が進んでいる状況を重視し、地方公営企業としての経営バランスなども踏まえながら、これまで以上に創意工夫を重ね環境対策を一層推進していく」と表明した。 この目的を実現するための具体的施策として、常用発電設備や水力発電設備の整備によるエネルギーの有効活用、浄水場や工事現場での発生土の有効利用、水道水源林及び東村山浄水場をモデルサイトとしたISO 14001の認証取得といった事項を掲げた6。また、先述の環境会計も引き続き実施し、対策経費と効果の総合的把握を進めることとした。 こうした環境に係る取組の結果については、毎年度発行の環境報告書により明らかにすることとし、平成12(2000)年11月に初の報告書を刊行した。報告書では、各種環境施策の概要と目標の達成状況、環境会計を通じた費用対効果の分析結果などを示した。3 環境マネジメントシステムの構築(1)環境計画の策定 「水道事業経営プラン2000」の下、常用発電設備等の導入を通じたエネルギー効率化により、平成14(2002)年度で約1万3,000トンのCO₂を削減したほか、浄水場発生土の園芸用土への有効利用など、資源リサイクルに係る取組も進めてきた。 また、平成13(2001)年2月には、水道水源林と東村山浄水場という2つのモデルサイトで、ISO 14001の認証を取得した。浄水場では全国で5か所目、水道水源林としては全国初の取得であり、認証に向けた取組の過程で、当局は環境マネジメントに関するノウハウを取得し蓄積することができた。 しかし、高度浄水施設の導入促進等により、今後も当局のエネルギー使用量が増加する見込みであることから、これまで以上に環境への積極的な取組が求められた。 そこで、環境保全の取組を体系化し、さらに実効性を高めていくため、ISO 14001の考え方を取り入れた局独自の環境マネジメントシステムとして、平成16(2004)年1月に「東京都水道局環境計画」(以下「環境計画」という。)を策定した。 環境計画は、計画期間をおおむね3~5年間とし、環境基本理念に基づく環境基本方針を定めた上で、当局の様々な環境保全施策を体系化し、達成目標を示すものである。平成16(2004)年1月に策定された第一期環境計画では、水資源の保全、水づくりに伴う地球環境への配慮など、6つの環境基本方針を示した上で、それを具体化する65項目の取組事項を設定した。 なお、取組事項の効果的実施のため、PDCAサイクルを採用して効果の検証と見直しを行うとともに、環境報告書等を通じて都民等に適切に情報提供を行い、その意見を可能な限り施策に反映させていくこととした。 なお、環境計画に関連する文書として、当局は平成27(2015)年2月に「東京水道エネルギー効率化10年プラン」を策定した。 これは平成26(2014)年12月の「東京都長期ビジョン」策定を受け、後述する当局基幹施設の一斉更新を機会ととらえ、エネルギー効率の高い水道システムを築き上げることを目的として、計画期間を10か年に設定し、2つの目標と11の施策を示したものである。
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