5.「平成11年度版環境白書」環境白書の刊行に当たって,平成11年6月(https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h11/10924.html)44クト・イノベーション・アワード「東アジア地域栄誉賞」(平成26(2014)年)、緑化推進運動功労者内閣総理大臣賞(平成30(2018)年)を受賞する等、国内外から高い評価を受けている。【写真2-8 森林隊の作業の様子】 また、平成22(2010)年度からは、民有林の管理への関与に加え、手入れができず、所有者が手放す意向を示している民有林を購入する事業を実施した。 平成26(2014)年度末までに1,146haの民有林を購入したが、依然として荒廃した民有林が多く存在していることから、その後も継続して民有林の購入を進めている。第2項 環境施策1 環境保全への寄与 (1)「環境の世紀」と水道事業 環境庁(現在は環境省という。)が発行した「平成11年度版環境白書」5の巻頭では、「経済社会のあらゆる活動主体が明確な目的意識をもって環境保全を自らの活動に組み込んでいくことにより、新たな可能性を秘めた『環境の世紀』を実現させなければならない」として、来る21世紀を「環境の世紀」と位置付けた上で、環境合理性及び環境効率性に基づく取組を呼びかけている。 水道事業は、地球が育んだ貴重かつ限りある水資源を原料として水道水をつくり、お客さまに届ける事業であることから、従前より地球環境と極めて深い関わりを有している。その意味で、地球環境の保全への取組は、将来にわたる水道事業の持続性にも資する重要な意義を有している。(2)企業経営との両立 水道事業を営む当局は、先述のように地球環境と密接な関係を有すると同時に、事業運営に伴い多くのエネルギーを消費している主体でもある。 東京都の場合、取水地点と給水区域が離れていることや給水区域が広範であること、地形的に大部分の区域がポンプによる加圧給水となっていること等から、電力消費量は東京都全体の年間使用量の約1%を占めるまでになっている。 また、浄水処理過程で発生する泥(スラッジ)を効率的に脱水する加温処理を行うため、熱エネルギーの需要も高まっている。 加えて、前節で記載した高度浄水処理施設の導入促進により、こうしたエネルギー使用量は更に漸増する見込みとなっている。 多量のエネルギー消費者であるとともに、地球環境と水資源により事業を営む当局は、環境対策を推進する責務を有している。しかし同時に、当局は公営企業であることから、環境対策の費用対効果や効率性を考慮した上で、事業経営に悪影響を及ぼさない責任も有している。 こうした問題意識から、当局は平成11(1999)年12月、国に先駆けて、環境対策に要する経費とその効果を金額という形で把握する手段である「環境会計」のモデル導入をプレス発表した。2 基本理念を中心とした施策展開 (1)環境基本理念の策定 環境会計の導入は、保全活動の効果を定量的な手段で「見える化」したことで、環境保全と企業経営との両立に資する取組となった。 しかし、施策の効果は定量的に明確になったものの、当局がこれまで行ってきた環境保全活動全体を貫く思想や目的はこの段階では明確化されておらず、当局による環境保全への寄与は個別の取組にとどまっていた。 そこで、当局が環境施策を展開する指針として、平
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