3. 皇太子殿下(当時)は、平成18(2006)年7月にも朝霞浄水場と本郷庁舎を御視察されており、高度浄水施設や水運用センター、水質センターを御覧になられた。また平成20(2008)年の御視察の際は、5月15日に研修・開発センターと砧浄水場、5月22日に水道水源林と、二度にわたり御視察された。4.シカによる食害の内容については林野庁ホームページを参照(https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/tyouju.html)整備前整備後43浄化するといった貴重な機能を有している。 管理開始から100周年を迎えた平成13(2001)年12月には三笠宮寛仁親王殿下が、平成20(2008)年には、当時の皇太子殿下が水道水源林を御視察された3。 120年以上の歴史を有する水源林を引き続き良好な状態に保つことは、新規の水源施設開発と同様に、都民に安定して水道水を供給する上で重要な取組である。(2)水道水源林の管理 当局の保有する水道水源林の管理は、大きく①植栽や下刈など樹木の保育に必要な森林の保全作業、②歩道整備などの管理作業という2種類に区分される。こうした作業のうち、近年の重要な取組として挙げられるのが、シカ等の動物による食害対策である。 平成15(2003)年頃からニホンジカが水源林内に急増し、枝葉を食べる、樹皮を引きはがすといった被害(食害)が深刻化していった4(写真2-6)。 また、平成18(2006)年頃からはツキノワグマがヒノキなどの針葉樹の樹皮を引きはがす、といった被害も発生している。 こうした食害を防止するため、当局では、植栽林周辺に侵入防止柵を設置するほか、荒縄を樹木に巻き付けるといった防護措置を講じることで、食害の防止に努めてきた。 また平成18(2006)年度から平成27(2015)年度を対象期間とする「第10次水道水源林管理計画」では、「多【写真2-6 食害の様子】くの人々に親しまれる水源林への取組」、「多様な主体との連携による森づくり」等を取組事項として掲げた。 これを反映し、平成18(2006)年度からは、当局の取組と水源林に対する理解促進のため、希望するお客さまを直接現地で案内する「水源林ふれあいウォーク」を開始したほか、水源管理事務所職員が学校を訪問して水道水源林の授業を行う「水道教室」の開催、水道水源林の学習支援教材の作成といった取組を実施してきた。(3)民有林の再生 小河内貯水池の上流部には、当局が所有権を有していない民有林が存在しているが、木材価格の低下や林業の衰退により、これらの民有林の中には、間伐や植栽などの管理が行われず、荒廃が進んでいるものもある。 こうした民有林を放置すると、土砂流出によるダムへの堆砂や水源かん養機能の低下等をもたらすことから、当局では、保有する水道水源林の管理に加えて、民有林への関与も行ってきた(写真2-7)。【写真2-7 民有林(整備前後の姿)】 平成14(2002)年度には、手入れの行き届かない民有林の荒廃を防ぎ、健全な森林に再生することを目的として、ボランティアにより構成される「多摩川水源森林隊」を発足した。指導員のサポートの下で下刈や間伐、枝打ちといった作業を行うことで、民有林を保全するとともに、水源林の機能に対する都民の理解を促進する機会ともなった(写真2-8)。 なお、同隊による活動は、国土交通省の水資源功績者表彰(平成24(2012)年)、日本水大賞厚生労働大臣賞(平成25(2013)年)、国際水協会(IWA)のプロジェ
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