1.水を一旦受水槽にためて、その後ポンプを使って、屋上の高置水槽へ組み上げ、自然流下により給水する方法。37溶出の可能性があり、平成4(1992)年の水道水質基準改正により、水道水に含まれる鉛の濃度は0.1㎎/Lから0.05㎎/Lへと強化され、おおむね10年後の長期目標値として0.01㎎/Lという数値も示された。 水道水質基準改正から10年後に当たる平成15(2003)年に向け、当局では平成11(1999)年12月に局内で鉛製給水管対策検討委員会を設置、鉛管の材質改善計画等を策定した。また平成12(2000)年度以降は、「生活に密着したサービスの推進」の一環としてお客さま全戸訪問による漏水調査等を行う「水道フレッシュ診断」に合わせて、鉛製給水管の布設状況の調査を行ってきた。 こうした成果を踏まえ、平成13(2001)年5月には鉛製給水管対策推進委員会を設置し、公道部に埋設されている鉛管については平成14(2002)年度までにほぼ計画通り解消、私道及び宅地内メータまでの鉛管についても所有者等の協力を得ながら解消に努めることとし、平成18(2006)年度末におおむね解消することができた。(2)直結給水方式の導入 中高層の建築物は貯水槽水道方式1により給水されることが多く、貯水槽の管理状況によっては水質への影響が生じるおそれがあった。 特に有効容量10㎥以下の小規模貯水槽はその維持管理について水道法の規制を受けないことから、普及が進むにつれて水質劣化等の問題が顕在化していった。当局は、この問題を改善し、安全でおいしい水を供給する方法として直結給水方式の導入に向けた取組を始めた。 当局では、平成元(1989)年7月から、三階建て住宅及び店舗等併用住宅のうち、水圧等の条件を満たす建物について直結給水を開始し、平成11(1999)年6月以降は建物の階数及び住宅・非住宅の別にかかわらず、三階までは直結給水を行ってきた。また、平成7(1995)年10月以降は、メータ口径50㎜以下の建物について、給水管に増圧ポンプ及び逆流防止用機器などを直結して給水する増圧直結給水方式も導入した。 また、平成13(2001)年7月の水道法改正により、これまで保健所等の衛生行政が担っていた貯水槽水道設置者への指導等に水道事業者も関与することが可能となったことから、貯水槽水道管理に係る規定を追加するため東京都給水条例を改正し、条例に基づき設置者に対する指導等を行ってきた。(3)クリプトスポリジウム対策 平成8(1996)年6月に埼玉県越生町で水道水に起因する集団感染症が発生したが、その原因とされたのがクリプトスポリジウムという病原体である(写真2-2)。【写真2-2 クリプトスポリジウム】 これは、ヒトや動物に寄生する原虫の一種で、熱と乾燥には弱いが塩素消毒に対しては極めて強い抵抗力を有している。 感染した場合の主な症状は下痢と腹痛で、健康で免疫が正常に働いていれば症状は1週間程度で無くなるが、免疫が弱い人が感染した場合は病気が長引き、深刻な症状になるおそれがある。 埼玉県の事案と、厚生省が同年10月に「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」を策定したことを受けて、当局は①浄水処理の徹底(ろ過水濁度0.1度以下の徹底)、②原水及び浄水の水質検査、③ろ過池洗浄方法の改良、④洗浄排水施設調査実験の4つの対応を行ってきた。 また、平成11(1999)年3月には、万が一クリプトスポリジウムによる感染症が発生してしまった場合に備え、発生時の応急対策を取りまとめた「東京都水道局
元のページ ../index.html#39