東京近代水道125年史
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4 利根川水系以外での対応 利根川水系以外の浄水場では、原水水質が比較的良好であったことから高度浄水処理の導入は行わず、活性炭処理等により対応していた。 相模川水系の長沢浄水場では、平成3(1991)年10月にかび臭等の水質事故対応としてウエット炭の注入設備を、平成18(2006)年10月には活性炭を常時注入できるようドライ炭注入設備を導入した。 また、多摩川水系の小作浄水場では、平成14(2002)年度に2回かび臭等の異臭が発生したことから、同浄水場として初めて粉末活性炭を投入した。その後もかび臭の原因である藍藻類が増殖した時に活性炭を注入することで対応を図ってきた。36ていった。(2)各浄水場での整備状況 STEP21の策定後、初めて高度浄水処理導入が決定されたのが朝霞浄水場である(全体では金町、三郷に次いで3番目)。 平成9(1997)年8月に施設能力の半量(85万㎥/日)を対象とする高度浄水処理の導入を決定、第一期工事には平成11(1999)年度に着手し、平成16(2004)年度に完成した。 続けて、平成14(2002)年には三園浄水場での施設整備工事に着手した。三園浄水場では、これまでの3浄水場(金町、三郷及び朝霞)と異なり、経済コスト面、浄水処理性や運転効率の観点から、施設能力の全量(30万㎥/日)を対象とした高度浄水処理を一括で導入することとし、平成14(2002)年度から工事に着手、平成19(2007)年度に全ての工事が完了した。 さらに、平成16(2004)年度には東村山浄水場でも高度浄水処理導入に着手した。同浄水場は多摩川系と利根川系の2つの水系の原水を処理しているが、これまでの導入状況などを踏まえ、三園浄水場と同様に、利根川系の全量(88万㎥/日)を対象とした高度浄水施設を一括して導入することとした。 東村山浄水場での工事は平成16(2004)年度に工事に着手し、平成21(2009)年度に完成した。(3)高度浄水処理フローの選定 朝霞、三園両浄水場では、金町浄水場の例にとらわれることなく、柔軟な発想で検討するという前提に基づき、処理フローの選定を行った。その結果、濁質等を除去することで、オゾン処理及び生物活性炭吸着処理の負荷を軽減、効率化することを目的として、オゾン処理の前に前段ろ過を設けることとした。  また、東村山浄水場では、原水運用による処理性の違い、費用対効果及び建設用地の状況を考慮し前段ろ過を設置しないこととした一方で、オゾン接触方式については、これまで採用していた向流接触方式とほぼ同等の処理性を示し、かつ施設配置上、省スペース化が可能な下降管並流接触方式とした(表2-2)。表2-2 朝霞、東村山及び三園浄水場に導入された高度浄水処理フロー 第2項 おいしい水をそのまま蛇口へ―「安全でおいしい水プロジェクト」の実施―1 高度浄水処理以外の取組 高度浄水処理の導入は水道水の水質向上に係る重要な取組であるが、この間、浄水場から蛇口に至る様々な過程において水道水の質を向上させるため、当局は高度浄水処理と並行して様々な施策を展開してきた。(1)鉛製給水管の解消 昭和50年代後半から、有収率向上と漏水防止の観点でステンレス鋼管の採用が進み、平成4(1992)年11月以降は漏水修理等の一部用途を除いて使用禁止、平成7(1995)年からは全面的に使用禁止とされていた。 鉛管は、水道水のpH値等の状況によっては鉛成分の

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