東京近代水道125年史
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125 years' history of Tokyo Modern Waterworks1『東京近代水道125年史』刊行に寄せて 東京の近代水道の歴史は、明治31(1898)年12月1日に、淀橋浄水場から神田・日本橋方面への給水が開始された時に始まり、今年で125周年を迎えます。まずは、これまでの職員の努力と関係者の皆様の御尽力に深く敬意を表するとともに、東京の水道事業に御理解・御協力をいただいたお客さまに厚く御礼を申し上げます。 これまで、当局では、近代水道創設後の一連の拡張事業により、施設能力を日量約680万㎥にまで拡大させるとともに、利根川水系全浄水場での高度浄水処理の導入や災害対策の強化、貯水槽水道対策の推進など、安全でおいしい高品質な水の安定供給のため様々な取組を進めてきました。 また、多摩地区では、昭和40年代後半から市町の水道事業の都営一元化を進め、平成15(2003)年以降は市町への事務委託の解消も開始し、平成24(2012)年度には事務委託を完全に解消しました。 さらに、当局では業務の効率化に向けて政策連携団体の活用に係る様々な取組を進めてきましたが、水道事業における公共性の確保と効率性の発揮の観点から「一体的事業運営体制」を構築し、その後これを「グループ経営」へと進化・発展させてきました。 このように、時代に合わせた施策を推進してきた結果、現在では、水道の根源的使命である安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現していますが、人口減少と給水収益の減少、高度経済成長期に整備した浄水場の更新時期の到来、デジタル化の進展など、東京の水道を取り巻く環境はかつて経験したことのない局面にあります。 東京の水道は高レベルの施設・設備を持つ、世界でもトップクラスの水道事業であり、これを次の世代に引き継ぎ、安定給水を将来にわたって確保していくことが我々の責務です。本書が、これからの東京の水道事業を担う方々の助けになるとともに、広く水道事業に関心をお持ちの方にとっての参考となれば幸いです。 最後になりますが、本書の編集に当たり、関係者の皆様に多大なる御協力をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。 令和5(2023)年12月1日                           東京都水道局長 西山 智之

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