東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks188〔法令・答申〕史跡玉川上水整備活用計画(抜粋)4 その他(1)説明板 玉川上水沿いには、史跡や名勝をはじめ、周辺の遺構や植生等に関するサイン(説明板や解説板等)が様々な管理者により設置されています。 しかし、玉川上水が江戸・東京の水道事業に重要な役割を果たしてきた水道施設として、また、貴重な土木施設・遺構として高い歴史的価値を有していることについて説明したものは必ずしも多くありません。 また、フェンスから水路までの距離が区間によってまちまちであり、特に水路から離れている場合は、水路が散策者の目に触れにくく、玉川上水を身近に感じるための妨げとなっています。 さらに、玉川上水沿いには、その大半に緑道や歩道が整備されていますが、部分的に緑道や歩道が途切れている区間があり、一時的に車道を歩いたり横断したりしないと通行できず、安全で快適な利用を損なっています。 維持管理上支障がなく、また、改善等が可能な箇所については、緑道や歩道の整備を行って通行の連続性を確保することが必要です。(2)フェンス 玉川上水用地のうち、フェンスの外側は、道路や緑道として東京都建設局や地元自治体が管理していますが、管理者の違いによりフェンスの種類が異なっています。 このため、フェンス自体は保安施設としての機能を果たしてはいますが、一つの文化財としてのまとまりという観点からみると、統一性に欠けている状況があります。(3)PR活動 玉川上水が人々に親しまれ、末長く継承されていくためには、その価値を魅力的に、分かりやすく提示していかなければなりません。 しかし、玉川上水に関する情報は、都の各局や地元自治体、地元団体等で個別に収集・公開され、必ずしも分かりやすく提示されてはいません。Ⅲ 整備活用施策〔 保存整備 〕1 水路・法(のり)面の保全(1)基本方針ア 水路・法(のり)面の崩壊を未然に防止し、良好な状態で保存するとともに、倒木等により周辺地に影響を与えることのないように整備します。イ 長年にわたり手入れをしながら継承されてきた特性を踏まえ、保存整備に当たっては、現状維持を基本とし、可能な限り遺構(素掘法(のり)面)の景観を損なわない方法で整備・保存を行います。ウ 緑の史跡空間として親しまれていることから、可能な限り水路・法(のり)面の保全と緑との調和を図ります。エ 優先度を明確にし、緊急度の高い箇所を抽出して段階的に保全を図っていきます。オ 中流部の水量及び水質については、現状を維持します。(2)施策の進め方 崩落の危険性のある水路・法(のり)面については、計画対象区間の中でも上流域及び下流域に分布しているものの、危険性がこれら区間のすべてで一律というわけではありません。 したがって、法(のり)面の状態及び影響度から総合的に判定した優先度に基づき、対策の効率性を考慮し、計画的に対策を行うこととします。ア 名勝区間におけるヤマザクラの並木を良好な状態で保存及び復活します。 イ 指定区間の距離が長いことなどを踏まえ、ヤマザクラの保護に当たっては、地元自治体や地元団体との協働により実施するように努めます。ウ 緑の史跡空間として親しまれていること、樹木が環境や景観に貢献していることなどを考慮し、可能な限り、史跡の保全・ヤマザクラの保護と緑との調和を図ります。2 名勝「小金井(サクラ)」の並木の保存(1)基本方針

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