東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks〔法令・答申〕史跡玉川上水整備活用計画(抜粋)187Ⅰ 計画策定の基本的考え方1 計画策定の目的 本計画は、史跡玉川上水の保存管理の長期的な指針として策定した「史跡玉川上水保存管理計画」(以下「保存管理計画」という。)に基づき、今後東京都水道局が、関係機関等と連携して取り組むべき施策を明らかにすることを目的とします。Ⅱ 玉川上水の現状と課題1 水路及び法(のり)面 素掘りの開渠(きょ)が残る玉川上水中流部では、全体にわたり、霜崩れや乾燥剥(はく)離によってオーバーハング状、直壁状の法(のり)面となっていたり、更には水路周辺からの雨水流入によって浸食を受けている箇所が見られます。 こうした箇所は、中流部の中でも上流域(小平監視所から鷹の橋まで)及び下流域(新橋から浅間橋まで)で顕著に見られ、法(のり)面・法(のり)肩のケヤキ等の巨木やフェンスが法面等の崩壊に伴って倒れ、緑道等の利用者や周辺の民家に影響を及ぼす恐れがあります。2 計画期間 平成22年度から平成31年度までの10年間とします。3 計画対象区間 対象区間は、中流部(小平監視所から浅間橋までの約18㎞。以下同じ。)とします。4 整備活用施策の体系 本計画は、「保存管理計画」の整備の方向性に基づき、今後10年間の具体的な整備施策を明らかにするものです。 計画の中では、整備活用施策について国民の財産である史跡玉川上水を確実に保存するための「保存整備」と、効果的な普及啓発を具体化する「活用整備」に分けて体系的に整理しています。2 樹木(1)ヤマザクラ並木 名勝「小金井(サクラ)」に指定されているヤマザクラ並木は、近年、交通量の増加やケヤキをはじめとする高木の成長などでサクラの生育環境が大きく変化し、活力低下が見受けられます。 サクラの中には、比較的良好な生育状況を保っている箇所もありますが、枯死や欠損が目立つ箇所もあります。生育しているサクラでもケヤキ等の繁茂により、枝張りや日照に支障が生じているものが多く、樹勢が低下する原因になっていると考えられています。 サクラの樹勢を低下させている樹木には剪(せん)定や伐採を行う、また、欠損した箇所などには後継樹木を補植するなどの対応が必要です。3 緑道・歩道 中低木の繁茂により、散策時、通行時に玉川上水の水路がよく見えないなど、眺望が損なわれている箇所が多くなっています。 そのため、各箇所の状況に応じて未然防止策を講じることが必要となっています。(2)植生管理 玉川上水中流部は全区間で、ケヤキの高木をはじめとする樹木が緑地空間を形成し、周辺住民や来訪者に憩いの場として親しまれています。 こうした中、東京都水道局は「緑の保全事業都・区市連絡協議会」に諮るなど地元と協議しながら、可能な範囲で植生管理を行ってきました。しかし、区間の距離が長いこともあり、成長した樹木や落ち葉により生活環境に障害が生じたり、中低木の繁茂により眺望が損なわれていたりする場所があります。 こうした状況に対応しながら、良好な雑木林を維持していくことが必要です。(平成21(2009)年8月 東京都水道局)史跡玉川上水整備活用計画(抜粋)

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