東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks〔法令・答申〕史跡玉川上水保存管理計画(抜粋)185(2)玉川上水を構成する要素の明確化  史跡「玉川上水」と名勝「小金井(サクラ)」の価値を構成する諸要素(以下「史跡を構成する要素」という)を抽出するとともに、それに密接に関連する要素を明らかにする。(3)構成要素の適切な保存管理方法の具体化  史跡「玉川上水」と名勝「小金井(サクラ)」の価値の保存を図るため、「史跡を構成する要素」の特性や現状を踏まえた保存管理方法を検討し、具体化を図る。(4)史跡と名勝の現状を変更する行為の明確化と取扱基準の設定  予想される各種の現状変更や保存に影響を及ぼす行為に対して、法令に基づいた適切な管理を実施していくための、現状変更の取扱方針と具体的な取扱基準を設定する。(5)史跡と名勝の保存のための周辺環境保全の推進  史跡指定範囲内の歴史的価値の保存を図っていくために、周辺環境の保全に向けて、関係機関へ働き掛け、史跡指定範囲内の歴史的価値への影響の軽減や、周辺地域に分布する玉川上水に関連する遺構等の保全を図る。 玉川上水を史跡として次世代へと適切に保存し伝達していくためには、史跡と名勝の価値と保存の必要性が正しく理解されるよう、都庁内関係局・地元自治体等関係機関相互の緊密な協力の下、玉川上水の歴史・自然等に関する調査・研究や適切な公開・活用を行うことが重要である。このため、史跡指定範囲内の確実な保存に加え、史跡と名勝への理解の幅を広げていけるよう、隣接する緑道や周辺に分布する歴史・文化的資源とも提携した有効な整備活用に向け、基本方針を次のとおり設定する。(1)保存のための整備の推進  玉川上水の本質的な価値を現す導水路・分水施設等の土木施設・遺構、名勝「小金井(サクラ)」のヤマザクラ並木、現在も生きている水路機能・分水機能等を、良好な状態で将来に継承していけるよう、改良(保存整備)を推進する。(2)史跡と名勝の積極的な公開・活用の推進  玉川上水の歴史的価値とその保存への理解を深めるため、玉川上水が今も生き続けている土木施設・遺構として、人々の目に触れ、身近に感じられるよう、史跡と名勝の保存と調和した積極的な公開・活用を推進する。(3)来訪者の便益等に資する改良(活用整備)の推進  多くの来訪者を受け入れ、安全で快適に散策や様々な触れ合い体験が行えるよう、基盤となる便益施設や管理施設等の改良(活用整備)を推進する。(4)地域と連携した普及・啓発と多面的活用の推進  史跡と名勝の公開とともに、適切な情報の発信により多くの人々の利用を促すため、地元自治体や関係機関と連携し、既存の歴史・文化的資源の活用等による多面的活用の促進等、多様な普及・啓発活動を推進する。 玉川上水は長大で9市3区を通過していることもあり、保存管理等には、多くの行政機関や市民がかかわることとなる。そこで、管理・運営及び体制整備の基本方針を次のとおり設定する。(1)行政内部における体制強化  玉川上水の保存管理にかかわる行政機関は、東京都水道局、建設局、環境局、都市整備局、教育庁のほか、9市3区の地元自治体等があげられる。こうした多くの関係機関が保存管理に関する共通認識を形成し、情報交換等を行う機会を確保することができるよう、体制の強化に努める。(2)市民参加の機会の拡大(ボランティアとの連携等)  玉川上水の保存管理に当たっては、日常的に玉川上水を見守り続けている市民の理解と協力が不可欠である。玉川上水の保存に関する市民団体が数多く存在しており、これらの市民団体との協力を深め、その意見を反映できるような仕組みを検討していく。  また、個人レベルでの市民の参加機会を拡大するための施策を検討していく。第5章 整備活用第6章 管理・運営及び体制整備

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