東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks〔法令・答申〕東京水道長期戦略構想2020(抜粋)1711 策定の目的 都の水道事業は、明治31(1898)年に近代水道として通水を開始し、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹ライフラインとして、安定給水のために必要な施設整備を着実に推進しながら、 継続的に経営努力を行い、健全な経営基盤を確立し、使命を果たしてきました。さらに、全国に先駆けて市町営水道の一元化を進め、今日では、給水人口約1,350万人という日本最大の水道事業者として、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、効率的な事業運営に努めています。  一方で、都の人口推計では、令和7(2025)年をピークに減少に転じ、令和42(2060)年にはピーク時から約16%減少するとされています。人口減少は、水道料金の収入の減少に直結し、施設整備など、水道事業に不可欠な経費の不足につながります。 こうした人口減少に加え、環境危機やテクノロジーの急激な進展、水道法の改正を契機とした水道界の新たな動きなど、東京水道をめぐる状況は、今後、激変し、かつて経験したことのない局面を迎えることになります。 東京水道が将来とも持続可能な事業運営を行っていくためには、このような状況変化に柔軟に対応できる新しい発想をもって、今後一斉に更新時期を迎える大規模浄水場の整備や管路の維持管理、お客さまサービスの更なる向上、それに水道事業を支える人材の輩出など、事業の根幹に関わる課題解決のための対策を着実に進めていかなければなりません。 東京都水道局では、これまで3年から5年ごとに経営プラン(中期経営計画)を策定し事業を実施してきました。しかし、東京水道の置かれたこうした立場を考えれば、今後は、単に5年ごとの視点ではなく、さらに先を見据えた長期の経営方針を立て、目指すべき目標を明らかにした上で事業を戦略的に進めていく必要があります。 そこで、水道局では、令和2(2020)年度が「東京水道経営プラン2016」の終了年度であることから、次回の中期経営計画からの「羅針盤」として、外部の有識者で構成する「東京都水道事業運営戦略検討会議」での議論や、都の「『未来の東京』戦略ビジョン」の内容を踏まえ、今後の状況変化を予測、分析しつつ、おおむね2040年代を見据えた将来構想である「持続可能な東京水道の実現に向けて「東京水道長期戦略構想2020」を策定することとしました。 そして、この将来構想をもとに、今後の各中期経営計画において、その都度、社会経済情勢の変化やリスクなどを的確に見込みながらローリングしていくことで、将来とも持続可能な東京水道を実現してまいります。(1)人口減少と給水収益の減少  都の人口は、令和7(2025)年にピークを迎え、令和42(2060)年の人口はピークから約16%減少する見込み。給水収益は、人口減少に伴い減少し、令和2 東京水道の長期構想の位置付け 「持続可能な東京水道の実現に向けて 東京水道長期戦略構想2020」は、東京水道が目指すべき将来の姿と、その実現に向けた取組の方向性を示す基本構想であり、今後の事業運営全般についての基本的な方針となるものです。3 東京水道の長期構想の期間 都の人口推計に合わせ、令和42(2060)年までの水道需要、施設整備、業務運営体制及び財政収支を推計するとともに、2040年代を視野に、おおむね20年間の事業運営について示すものとします。(令和2(2020)年7月 東京都水道局)第1章 はじめに第2章 水道事業を取り巻く状況の変化東京水道長期戦略構想2020(抜粋)

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