東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks〔法令・答申〕将来の首都東京にふさわしい水道施設の再構築を考える会報告書(抜粋)1691 安心できる安定給水の実現 東京水道は、安定給水を支える観点から、これまで以上に震災対策等の強化を推進するとともに、施設のネットワーク化やリスク分散を図りながら、将来にわたる様々なリスクに対して、適応可能な水道システムを構築していくべきである。 また、水源や施設の整備・供用期間が数十年~100年という長期間にわたる一方で、将来の水道需要は不確実であることを考慮すると、水源の確保や施設の整備は、短期的な水道需要予測のみに左右されるべきではない。 したがって、今後の水源確保や施設整備に際しては、十分な安全度を加味した新たな考え方に基づき、どのような状況でも供給し続けることを目指していく必要がある。2 徹底した質へのこだわり 今後、気候変動の影響で原水水質の悪化が懸念される中、これからも安全でおいしい水道水を供給し続けるためには、原水水質の変化など、様々な状況に十分対応できる高度な浄水処理システムを構築していくべきである。 また、現在では未知の物質が、将来水道水に思わぬ悪影響を及ぼすことも考えられる。このような物質の混入に対しても安全な水道水の供給を確保できるよう、あらゆる可能性を考慮し、柔軟に対応できる水道システムを構築していくことが必要である。び電力使用低減要請の高まり」、「大規模かつ長期的・複合的な災害や事故」、「安定給水や水質の更なる安全性に対する都民の関心の高まり」、「経済動向、人口動態、ライフスタイル等の変化」といった、様々なリスクや課題に直面することが想定される。 「首都東京における水道施設の再構築に当たって目指すべき方向性」・首都東京として、厳しい渇水時においても給水を継続するために、顕在化しつつある気候変動の影響にも対応できるよう、渇水に対する高い安全度を目指していくべき・災害や事故等に対する取水の安定性を確保するため、現在保有している多系統かつ多様な水源を、今後も一層、活用していくことが必要・施設の補修や更新時はもとより、原水水質の悪化や事故・災害等のリスクが生じた場合においても、安定給水が確保できる供給能力を備えることが必要3 低エネルギー化の追求 今後、環境負荷低減への社会的要請はますます高まることが予想されることに加え、東日本大震災の経験から、長期的な電力供給不足への対応という課題も明らかとなった。これらのことから、水道施設の再構築に当たっては、水道システム全体のエネルギー効率を高めていくべきである。 そのためには、再生可能エネルギーの導入など、これまでの施策を今後も着実に推進していくとともに、自然流下による位置エネルギーの活用などについても長期的な視点に立って検討し、より少ないエネルギーで供給していくことが重要である。提言1 首都東京を守る水源の確保・首都東京を守る水源は、需要への対応はもとより、渇水や災害・事故などのリスク対応の観点からも確保していくべき提言2 安定給水を支える供給能力の確保・安定給水を支える供給能力は、これまで施設整備計画の基準としてきた水道需要に加えて、施設における様々なリスク等を考慮し、高い安全度を確保していくべき・将来の水道需要を見通すにあたっては、数十年~100年先を見据えるべきであり、需要として設定する計画最大配水量については、既往実績への対応はもとより、人口動態や生活様式、気象条件や社会経済状況など、様々な要素の不確実性を踏まえ、十分な安全性を考慮して定めることが必要第4章 水道施設の再構築に向けた基本的な考え方第5章 首都東京にふさわしい水道施設の再構築に向けて

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