東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks〔法令・答申〕首都東京にふさわしい将来の水道システムを考える会報告書(抜粋)163危機管理能力を備えた水道システムを検討することが重要である。 また、危機管理の一環として、地震だけでなく、国際的な動向を踏まえ、テロ等への対応についても着実に進めていく必要がある。 水道事業の広域化 日本の水道事業は、拡張の時代から維持管理の時代に移り、次世代を見据えた更新事業など、さまざまな課題を抱えている。中小規模の事業体の多くは、現状の運営においても一般会計からの補助が必要なほど経営基盤が脆弱な状況にある。 このような現状を改革するためには、これまでの市町村経営の原則という水道事業の枠組みにとらわれない視点で、広域連携や広域的な施設統合、経営統合などスケールメリットを生かした経営の効率化を図ることが望まれる。 このため、大規模な事業経営や多摩地区の一元化で実績のある東京水道は、その知識、経験を活かし、法的課題はあるが、首都圏の他の事業体等と協力して、広域連携、広域化を視野に入れた水道事業を目指すことも一つの方向性であろう。 また、原水水質の良好な上流からの取水を実現し、併せて、水資源の効果的な活用を図るため、統合的な水管理の実現も念頭に関係機関と連携して取り組んでいく必要がある。 東京水道の国際化 東京水道は、これまで、技術面・経営面から日本の水道事業をリードしてきた。今後、国際化の進行に伴って、水道を取り巻く状況は大きく変化するものと予想される。東京水道には、これまで以上の重要な役割を担っていくことが期待されている。そのためには、まず、東京水道全体が国際化に対する認識を深め、必要な人材を長期的視点で養成するシステムを構築すべきである。 そして、保有する豊富なノウハウや高い技術力を発揮して、アジア諸国の水道事業を牽引するとともに、水道先進国の事業体や国際機関と連携して、世界の水道界をリードしていく役割を目指すことも重要である。

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