東京近代水道125年史
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【資料編】法令・答申125 years' history of Tokyo Modern Waterworks〔法令・答申〕首都東京にふさわしい将来の水道システムを考える会報告書(抜粋)161(5)環境問題への意識の高まり 環境問題への意識の高まりは、世界的な気運として広がりを見せている。水道事業においても、取水から給水にいたる全工程において、維持・管理上必要なエネルギーを消費している。こうしたことを踏まえた上で、水道事業をより良い形で次世代に引き継いでいくため、環境への負荷を抑え、社会的な責任・役割を着実に果たしていくことが、将来にわたる事業運営において求められる。1 都民生活を支える水道 東京水道は、水の量の確保と質の向上の両面から、都民の豊かな暮らしを支える水道として、更なるレベルアップを目指していくべきである。加えて、都民の生活に一時たりとも欠かすことができないライフラインとして、断水につよい高水準の水道を目指していく必要がある。 今後、東京水道は、施設の老朽化が更に進行する一方で、水道事業に携わる高い技術力を有する団塊世代の一斉退職により、施設整備、施設管理の両面において、より厳しい局面を迎えることが想定される。都民生活に根付いている「当たり前のように水が利用できること」を、確実に次世代に引き継いでいくためには、今から着実に取組を進め、次世代につなげる水道を目指していく必要がある。 また、個人の価値観や生活態度が多様化し、水道水に対する要望も多様化しているなか、都民の要望に的確に応えつつ都民生活を支えていくためには、わかりやすく親しみやすい水道であることが大切である。 近年は、水道離れの進行が指摘されているが、水道が都民により身近な存在になるよう努め、都民の蛇口への回帰を目指すとともに、うがい・手洗い・夏場の水分補給など、健康を守る身近な水道使用などについても、積極的にPRしていくことが望ましい。2 首都東京の機能を支える水道 東京水道は、断水につよい高水準な水道の実現に向けて、世界有数の首都としての機能を支えるにふさわしい整備水準を考えていくとともに、将来にわたって首都東京を支え続ける、次世代につなげる水道を目指していくべきである。 また、首都東京の活力を将来にわたって確保していくためには、経済の発展と地球環境保全の両立を目指していくことが不可欠であるとされており、個人、企業、行政それぞれがその役割と責任を認識する必要がある。とりわけ、水道事業は地球の水循環系が育んだ水を資源としており、事業活動において多くのエネルギーを消費していることからも、地球環境の保全に向けた積極的な取組が求められており、次世代へ、よりよい環境を受け継いでいく観点からも、地球環境に配慮した水道を目指していく必要がある。 さらに、国際化が急速に進展し様々な影響が想定される中、首都東京の水道事業体である東京水道の責務として、国内外の情報収集・発信機能を強化するとともに、新技術も含めた水道技術の維持向上、さらに、将来の水道界を担える人材の育成や、日本全体の水道システムの再構築を視野に入れ、次世代を睨んだ取組の先鞭をつけるなど、水道界をリードする水道をめざしていくべきである。1 豊かな暮らしを支える水道 「都民生活を支える水道」のカテゴリーの中で、「豊かな暮らしを支える水道」の実現のためには、質と量の確保が不可欠である。このため、ここでは、量の面から重要な「水源の確保」、質の面から重要な「安全でおいしい水の供給」、「貯水槽水道対策」、「水源林の保全」を具体項目と設定した。2 断水につよい高水準な水道 この基本目標は、前述の2章における「都民生活を支える水道」、「首都東京の機能を支える水道」の両カテゴリーに関連があり、平常時ばかりでなく非常時においても、「断水につよい高水準な水道」が求められている。こ第2章 首都東京にふさわしい将来の水道システム第3章 東京水道の抱える課題と進むべき方向

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