
舛添知事定例記者会見
平成27年12月11日(金曜)
14時00分~14時24分
知事冒頭発言
1 ノーベル賞受賞者に対する東京都栄誉賞の表彰式の実施について
【知事】私の方から3点ばかり、まず報告をいたします。
第1点目です。ノーベル生理学・医学賞を受賞しました大村智北里大学特別栄誉教授に対する東京都栄誉賞の表彰式についてお知らせをいたします。昨日、受賞なさったのは皆さんも報道で見ているとおりでありますので、大変うれしいことであります。東京都民である大村教授が受賞したということで、このすばらしい功績を讃えるために、今月22日(火曜日)に都庁で東京都栄誉賞の表彰式を大村教授に対して行いたいと思っております。当日は都民に明るい夢と希望と活力を与えてくださった大村教授を大いに祝福したいと思っております。
詳細につきましては、生活文化局に聞いていただきたいと思います。
2 セブン-イレブン・ジャパンとのながら見守り協定締結について
【知事】2点目です。このたび、「ながら見守り連携事業」に関する協定を「株式会社セブン-イレブン・ジャパン」と締結いたしますので、お知らせをいたします。都では、地域を巡回する事業者が業務をしながら街中のパトロールなどを実施する「ながら見守り連携事業」というのを進めておりまして、今年の7月に信金協会、それから日本郵便と協定を結んだところであります。このたび、セブン-イレブン・ジャパンと同じような協定を結びますけれども、セブン-イレブン・ジャパンは都内に2369店舗を展開しておりまして、それからまた、配送事業者が町中を走行するために見守りの効果も期待できます。そういうことに鑑みまして、セブン-イレブン・ジャパンとの協定ですけれど、地域からの見守り要望箇所の走行、交通事故に関するヒヤリハット情報の共有、子供や高齢者等への声掛け、子供や高齢者等の異常を認知した場合の関係機関への通報、こういうものが協定に盛り込まれております。
都では地域における見守りの目を増やすため、今後もこのような地域密着の事業者などに働きかけて、東京の安全安心の向上に努めてまいりたいと思っております。
このセブン-イレブン・ジャパンとの協定は、来週12月18日に都庁で締結式を行います。私も出席をいたします。
この件の詳細は青少年・治安対策本部に聞いていただきたいと思います。
3 都立墨東病院の病児・病後児保育の実施について
【知事】3点目です。平成28年2月1日から都立墨東病院におきまして、都立病院で初となります病児・病後児保育を開始いたしますので、お知らせをいたします。
働いている親にとって、子供の急な発熱などの病気の際や、その回復期には、通常の保育所に預けられずに困ることがあります。このような場合に、子供を安心して預けることができる保育環境の充実が求められております。
こうした病児・病後児に対する保育は、区市町村が主体となって取り組んでおりますけれども、医師との連携が難しいなどの課題もありまして、地域により取組に差が出ています。そこで、区市町村が取り組む保育環境の充実を支援するために、小児科のある都立病院におきまして、区市町村のニーズを踏まえた病児・病後児保育を実施したいと思っております。
まずは、これまで病児保育に対応できる施設がなかった墨田区から事業を受託することとして、都立墨東病院におきまして、この病児・病後児保育を開始いたします。定員4名ですけれども、とりあえず当初はこの円滑な開始のために2名から運用していくと。順次拡大してまいります。対象児童は、生後6か月から小学校6年生までとしまして、土・日・祝日及び年末年始を除いて、朝の8時半から夕方の6時まで実施いたします。
万が一、子供の病状が悪化して治療が必要となった場合には、病院におりますから、病院のERで速やかに治療するなど、安心できる体制をとれると思います。今後、こういう取組をほかの都立病院にも広げていって、保育環境の充実を図ってまいりたいと思っています。
この点の詳細は、病院経営本部に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】幹事社、朝日新聞の吉浜です。幹事社から3点質問です。まず1点は、都立墨東病院の件です。病児・病後児保育というのはやはりニーズが高いと思われます。今、ほかの病院でも広げる予定とお話しされましたけれども、ほかにも都立病院は複数あると思うのですが、何か具体的な計画があるのでしょうか。
【知事】これは、いろんな地域で、民間を含めてやっておられる方も既にあって、地域によって、区によって、ばらつきがあります。だから、例えば、隣の区まで行けば大丈夫なのだけれど、自分の区にはないというようなところがあります。
実際に病児・病後児保育に携わっている医師の先生方とも何度もお会いして、お話をしたことがありますけれども、そういう民間の方々にも頑張っていただくし、NPOの方々とか、様々な団体があると思いますけれど、都立病院で小児科を持っているのは広尾病院があります。大塚病院があります。それから駒込病院。そしてこの墨東病院があります。それから、小児総合医療センターもございますので、先ほど申し上げましたように、既にある程度充実している区があったり、地区があったり、市町村があるのですけれど、全くなくて困っているという、そういうところを優先しながら、基本はその地域ごとのご要望を受けた上でやると。今度も墨田区の要望を受けて受託するという形で墨東病院がやりますので、そういう形式でできるだけこれは拡大していきたいと思います。
なかなかこの問題は、本当に子育てをやっていると、一番頭を痛める問題なので、是非充実させていきたいと思っています。
【記者】2点目は、都教育委員だった乙武さんが昨日、一身上の都合で辞職されました。この、任期半ばで辞められたということについての知事の率直なご感想と、あと総合教育会議などで議論もされていると思うのですが、乙武さんの印象、どのように思っていましたでしょうか。
【知事】それぞれの事情がおありなので、辞任の意が固いということです。それで、それぞれのご事情ですから、それはもう、委員の方がご判断するしかありません。
ただ、教育委員会の委員として、様々な会議で非常に建設的な発言をしてくださったので、教育委員としてすばらしい仕事をしていただいたと思って、今、非常に感謝をしています。
【記者】この関連なのですが、任期半ばということなので、教育委員が1人欠員になってしまうわけなのですけれども、後任についてはどのようにお考えですか。
【知事】それは今、検討しておりまして、いろいろな方をリストアップして、どなたがいいかというのを考えている段階なので、これは都議会の同意人事でもありますので、少し時間をかけて、しかし、あまりのんびりもやれないので、必要な時期に適切な方を決めたいと思って、今、鋭意努力しています。
【記者】いつ頃の時期かというのは。
【知事】ですから、今定例会は16日に閉会しますから、それまでには都議会の同意を得たいと思ってやっております。
【記者】日本経済新聞の岩村です。新国立競技場に関してなのですけれども、JSCは14日に事業者から寄せられている案について公表して、国民の意見を聞くということを決めました。これについての知事の率直なご感想と、あるいは、こうした措置というのが、都の施設について同様のことが可能なのかどうかという点、その2点についてお願いします。
【知事】1つは、大会エンブレムもそうですけれども、広く国民の意見を聞くというのは、正しいことだと思いますので、専門家だけだとなかなか判断できない問題もあったりすると思いますので、それは結構だと思います。そして、私たちの施設については、そういうことをきちんと検討していただける専門家や都民の代表を既にお願いしてありますので、そして、その結果については、適宜こういう会見の場でお知らせするということになっているので、その透明性の担保ということは十分できていると思っております。
【記者】東京新聞の松村です。東京港の関係で伺いたいのですが、川崎市と横浜市が先に運営会社を作ってやり出すということですけれども、東京都はなぜ参加しないのですか。
【知事】要するに、それぞれの港にそれぞれの特色があります。そして、そういう中で、どういう形でやるかということで、戦略港湾としてこれから羽ばたいていくというときに、そういう方向を皆さん、目指しているのですけれども、長期的にどうするかということは、皆、そういう開かれた、そして活力ある港を目指していくということで、まずは、川崎市と横浜市で京浜港ということで、一緒にやりましょうと。
それで、我々は我々の立場からいって、今すぐ急いで一緒にやるという必要性もなければ、そういうことで大きなプラスがあるということでもありません。私たちは今、日本最大の消費地を抱える港として、輸入港としては最大なわけですから、そういう観点を踏まえながら、東京港の独自性を保ちながらやっていきます。
それで何のマイナスもありませんし、そういう形で、我々も戦略的な港としての位置付けを失わない形でやれますので、このことでマイナスということはないと思っております。
【記者】前の知事さんとかは、国に主導権を握られたくないと、東京都が主体的にやりたいということを言われていたと思うのですけれども、大阪市とかの例を見ると、国が筆頭株主になって、国に主導権を握られてしまうということで警戒していらっしゃるわけですか。
【知事】国土交通省と東京都がいかに円滑な関係にあるかというのは、松村さん自身取材なさっていると思いますし、太田元国土交通大臣と私の間で、きっちり、東京都の局と、向こうの局の間で協力関係をやっていて、相当前に進んでいます。先般、国土交通省に行って、後任の石井国土交通大臣とも同じ取り決めをやっていますので、国に対してどうだとかいうことではなくて、全体的に東京の発展をどうするかという観点からやっているわけですから、そういうような考えでやっているわけでは全くありません。
知事は代わったわけですから、この知事というのは、国とすばらしい協力関係のもとに、いろいろなことを前に進めてありますので、そんな国にとられるから嫌だとか、そんなけちな考えで物事を進める気はありませんので、そこはどうぞ、ご心配なく。大所高所に立って都民のためにやっていくと、東京の港のためにやっていくということですから、それで、そういう大きな志というのを、国土交通省の方も持っていますから、非常にウイン・ウインの関係で、建設的に仕事ができると思いますので、そういう新しい発想法を是非、松村さんの方でもお願いしたいと思っております。
【記者】新宿区新聞の喜田です。訪日観光客が増大しているというニュースがテレビや何かで報道されていますけれども、そのことで、都心の銀座であるとか、秋葉原とか、新宿とかというターミナルで路上駐車をしているバスの問題がいろいろ話題になっております。東京都として、この爆買いに来られる観光客の買い物の間にバスを停めて、交通にいろいろ障害が起こっている、この問題については、何か具体的な対応策というのをお考えなのかどうか。
それと、特に銀座地区では、東京都が保有している豊洲の移転が決まっている築地市場跡の都有地、これに駐車場を設けたらどうかという意見も解決策としてあるというご指摘もあるようですが、それについてのお考えもお聞かせいただきたいと思います。
【知事】まずは実態を把握してみないといけません。実態がどういうふうになっているかというのを把握するし、地元の商店街を含めてのいろいろな要望を聞いて、基本的には警察の方でその状況を踏まえてどう対応するかということが、まず、初めだと思いますので、この状況を見て、一部の報道だけではなくて、全体像を捉えて、必要な対策はとっていくべきだと思っております。
違法駐車は邪魔なのですけれども、普通の個人用の自家用車にしても、ただ、バスというのは図体が大きいですから、完全に車線と地域を潰してしまいますので、これからの大きな課題は、やはり観光バスの駐車スペースをどうするかということにあるのだろうと思います。国会周辺をご覧になっても、国会見学に子供たちがたくさん来られますけれども、参議院側の方に大きな観光バスの駐車場があるのですけれど、それでもはみ出てしまっています。
ただ、あそこは銀座のような商業地ではないですから、それでも何とかやっているのですが、商業地である銀座とか新宿、渋谷、池袋、こういうところだと本当に交通の阻害要因になると思いますので、これは、今回がどうだということではなくて、2020年を控えて、バスの駐車スペースをどうするかというのは大きな課題です。
例えば、スカイツリーについてもそうなので、今、相当上手に回していますけれども、たくさんの方がスカイツリーに来られて、地元からは、やはりバスの駐車場をもう少し拡大できないかというような声もありますので、今後の課題として、4年後、5年後を目指してどうするかというのは策定したいと思いますけれど、当面、緊急時にやらないといけないようなことが、例えば、今、おっしゃった銀座のようなことがあれば、これはまた警察、その他関係の機関、さらに、地元の商店街と意見調整をしながら、緊急に打たないといけない手を打っていきたいと思っていますので、まずはちょっと状況をしっかりと把握したいと思っています。
【記者】築地の跡地について、何か利用は。
【知事】今のところ、築地の跡地については、まだ何も決まっておりません。今はとにかく豊洲への移転を円滑に終わらせて、そこから先は、あの場所の一番有効な、都民が最も喜べるような使い方をするということを考えております。
八重洲の開発をやっていますけれど、バスターミナルは前倒しで開きますので、そういうことも少しは大きな意味を、バスの駐車による渋滞というのを助けること、その駐車によるいろいろな阻害要因を除くことにもつながると思ってますので、総合的にやってみたいと思っています。
【記者】日本経済新聞の舘野です。税制改正についてお伺いします。軽減税率の導入ということで、地方消費税にも響いて、都の税収にも影響してくると思うのですけれども、この点をどう受けとめているかということと、それと、中小零細の店舗などだと対応が難しいという声もありまして、都として何かそういう支援とかを考えることがあるのか、お願いします。
【知事】宮沢税制調査会長をはじめ、皆さん、大変ご苦労なさっているのをいろいろ、いつも議論して聞いていますし、私ももともと党の税制調査会におりましたから、自分が今、同じ立場にあったらどうするだろうと思いながら、本当に難しい問題だと思います。
これは、どの観点から見るかということによりけりなので、消費者から見たときに、諸外国、例えば、フランスでもバターとマーガリンで税率が違うわけですから、それから、テイクアウトするのと、店の中で食べるのと違うとか、様々なことがそれぞれの国や社会や、その他の政治の力学によって決まるのですけれども、やはり消費する立場から見たら、特に女性の活躍なんていうことを言って、男性も女性も外で働いているときに、私自身そうですけれども、加工食品というのをとてもよく使います。冷凍食品などは、生鮮食品を買って、加工する暇はないので、そうすると、例えば、そういうことが税制で生鮮食品以外は軽減税率の対象にできないとなったら、料理の時間がかかるのではないかなと思ってしまうわけです。
そうすると、やはりこれは、かなり広げるという案になるでしょうけれども、しかし、もともとは社会保障の充実のための消費税のアップではなかったのですかと。では、減らす分の財源と絡まってくるのですかと。それがしっかり決まっていない税制というのは、無責任でしょうと言われてもしょうがないので、景気の上振れ分をというけれど、景気が上振れするという確証は100%あるのですかと。
あと、どこから税源を持ってくるのですかと、5000億円とか6000億円とか、1兆円ぐらいなる可能性があります。それから、もう1つは、極めて線引きが難しいのです。だから、ずっと前から話がありましたけれども、池田元総理が、貧乏人は麦を食えという話をしました。あのときならば、白米は高い税率だけれど、麦飯は安くていいと。ただ、今は玄米とか雑穀が入った方が健康食で、こちらの方が値段が高いようなことがあったときに、では、どうするのですかと。飲物だって、価値観が多様であるわけですから、どの飲料が庶民向けだなんていうのは分からない、皆さんが飲む飲物にしても。だから、線引きというのは極めて難しいと思います。
それから、お店の方から言いますと、レジもない店があるわけですから、果物屋さんや八百屋さんは、かごが吊してあって、それで、1山100円と、こうしてやっているわけでしょう。だから、そういうところにインボイスというのはどうするのですかと。少し言っただけでもそれだけの大きな問題があると思います。
これを全て片づけた上でやれるかというと、おそらく時間切れになるので、今、まだ、大きな税制大綱から、1つ別枠で今やっていますけれども、しかし、これは最後は政治決断でやるということに、今、政府・与党の方でなっているのだろうと思います。
しかし、やはり政治の場にいなくて、記者の皆さんとか識者の皆さんとか、こういう問題点があるよというのはしっかり指摘していただいて、それは我々の立場としては、それを一つひとつ解決していかないといけないと思います。だから、本来的にはインボイスをきちっと入れるということが消費税を円滑化するためになると。
しかし、それはしっかりやれば中小事業者にとってもさほど負担にならないと私は思っているのですけれども、経過措置として、今、簡易課税のような方式でやっています。益税という問題も出てきています。こういう問題に対してのプラスマイナスもやはりあるわけです。
だから、まずは国がしっかりと方向を決めていただいて、その中で、例えば、インボイス対応と。こういうところで中小事業者に対して都が支援することがあれば、それはやっていくということなので、まずは全体像を見てみたいと思っております。しかし、まさに税というものは政治そのものであるので、全部簡素で中立で公平というのは、原則を守った上で、できればそれにこしたことはないのですけれど、どうしてもそこが政治の力学の中で決まってきますので、その中で最大限公平なものをやるしかないと思っております。私自身が決める立場にありませんので、今は政府・与党の税制議論を見守りながら、そういう思いでおります。
結論が出たら、また、都として、消費者に対して、事業者に対して、また我々自身が都民から税金をいただく立場にあるわけですから、区市町村を含めて、何ができるかというのを、これはまた考えたいと思っています。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)