
舛添知事定例記者会見
平成27年12月4日(金曜)
14時00分~14時22分
知事冒頭発言
1 「人権週間キャンペーン」の実施について
【知事】私の方から3点ご報告がございます。
まず第1点目、人権週間キャンペーンの実施について、お知らせをいたします。世界人権宣言が国連総会で採択されましたことを記念いたしまして、日本では本日12月4日から10日までの1週間を「人権週間」と定め、様々な人権啓発イベントが行われております。都もこの人権週間にあわせて、様々な広報啓発活動に取り組んでおります。
まず、「広報東京都」12月号では、人権特集を掲載し、都内全域に配布をいたしました。
また、人権週間期間中、歌手のクリス・ハートさんをメインキャラクターに起用したテレビCMの放映なども行っております。そして、広報紙も彼の姿が1ページ目に出ていたと思います。
さらに、12月8日(火曜日)に練馬区、13日(日曜日)に稲城市で、「講演と映画の集い」を開催いたします。まず、練馬区では、「高齢者がいきいきと暮らせる社会の実現」をテーマに女優の藤田弓子さんに来ていただいて、「いつも何かにときめいていよう」と題して語っていただきます。稲城市ではピアニストの辻井伸行さんのお母様であられる辻井いつ子さんをお招きいたしまして、「子どもの才能の見つけ方、伸ばし方」について語ってもらいます。それぞれ映画の上映も予定しております。
東京を思いやりに満ちた「世界一の都市」にするために、これらのイベントなどを通じて、都民の皆様が改めて「人権」について考えていただく機会となればと思っております。この件の詳細は総務局にお尋ねいただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
2 拉致被害者救出運動に関する「写真パネル展」の開催について
【知事】2点目ですけれども、拉致被害者救出運動に関する「写真パネル展」の開催についてお知らせをいたします。北朝鮮による拉致問題は我が国の外交上の最重要課題であるとともに、国民の生命と安全を脅かす極めて重大な人権侵害であります。そこで、我が国では毎年12月10日から16日までの1週間を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と定め、この期間中は国及び全国の自治体で、様々な啓発活動が行われます。都としても都議会拉致議連、家族会、救う会及び調査会の協力のもと、12月10日(木曜日)から16日(水曜日)まで、15日(火曜日)を除く6日間、都庁南展望室で、「拉致被害者救出運動 写真パネル展」を開催いたします。
拉致問題の解決には国民世論の結集が不可欠であります。拉致問題を自分自身の問題として考え、解決を願う皆様一人ひとりの声が政府を後押しする大きな力となります。全ての被害者の方々の早期帰国実現のためにも、皆様には是非パネル展においでいただき、拉致問題に対する関心をさらに高めていただくようにお願いしたいと思います。この件の詳細は総務局にお尋ねいただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
3 「平成27年度 震災復興シンポジウム」の開催について
【知事】3番目です。来年1月8日(金曜日)に「震災復興シンポジウム」を開催しますので、お知らせいたします。このシンポジウムは東京に大規模な震災が発生した際の復興を円滑に進めるため、まちづくりのあり方を都民の皆様と共に考え、意識啓発を図るもので、今回が16回目となります。今年度は「東日本大震災の復興5年 ~首都直下地震から東京はどう復興するのか~」をテーマとしまして、巨大地震が発生した場合に、区市町村や地域コミュニティによる復興をどのように進めるかについて取り上げます。当日は、地域特性に応じた独自の復興計画を作成しております岩手県大船渡市、住民自らつくる「まちづくり協議会」が震災後のまちづくりを主導しています宮城県東松島市の2市から副市長をお招きし、「東日本大震災からの復興に向けた取組と課題」について講演をいただきます。
また、都市防災学や災害復興学を専門とする明治大学の中林一樹特任教授をコーディネータにお迎えして、震災復興まちづくり等に関するパネルディスカッションも行います。
震災後の復興まちづくりを都民の皆様と一緒に考える機会といたしたいと思いますので、是非多くの方に聴講していただきたいと思います。この件の詳細は都市整備局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】幹事社、朝日新聞の上澤です。質問させていただきます。たった今、人権週間と、あと関連も含めまして、拉致問題のパネル展示のご紹介がありましたが、拉致問題はなかなか進展を見せずに、あと、パリをはじめ、テロも相次いでいる。そういった状況の中にあるわけですが、舛添知事は今の都が直面する人権問題について、どのように捉えていらっしゃって、何を都民に訴えたいとお考えでしょうか。
【知事】非常に私は危惧しているのは、寛容の精神というか、自分と考え方の違った人たち、それから、もちろん肌の色とか、国籍とか、いろいろなことも含めてなのですけれども、やはり多様性をきちんと担保するということは、そういう寛容な精神がないといけないので、そういうところはもっともっと都全体として進めていかないといけない。多様性の尊重ということは、異なるものに対する寛容ということが基本なので、それが非常に必要かなと思っております。
それから、やはり皆がもう少し思いやりを持つと。あんまりぎすぎすした社会だと困りますので、やはり皆が微笑めるように。いつも申し上げますけれども、パラリンピックもあります。それで、バリアフリーというのは、これは段差をなくすというようなことは当然やるにしても、やはり心のバリアフリーということが必要なので、困ってる人がいれば手を差し伸べる。それは言葉の問題でも、たとえ英語がよくしゃべれなくても、日本語読めなくて困っている人がいれば何らかのお手伝いができると思いますので、そういうことをしっかりやると。
国連の人権宣言の話をしましたけれども、やはり人類が長い間かけて、ここまで積み上げてきて勝ち取った権利なので、これはやはり命がけで守っていかないと守れない。そういうものに対する卑劣なテロ行為であるとか、拉致であると、これは決して許してはならないと思いますので、そういう観点から、様々な政策を今後も続けていきたいと思っています。
【記者】ありがとうございました。もう1点。新国立競技場についてなのですけれども、先般、都が4分の1、おおむねですけれども、負担をするということで合意されたということなのですが、まだ国立施設の整備というものを地方自治体が負担するという法的整備はこれからという中で、あえて都がこの4分の1を負担をされようと、そういう形で合意された、その理由について改めてお聞かせいただけますか。
【知事】はい。先般、ちょっとぶら下がりで、時々アナウンスが入ったりして、きちんとお答えできなかった。せっかくご質問いただいたので、基本的なことを申し上げますと、常に申し上げているのは、透明性で、皆で議論をしようと。そして、責任体制がしっかりしないといけませんと。だから、あのときは500億円という数字がきましたけれども、これが誰がどういう形でお決めになって、例えば議会の決議があったのでしょうかというようなことを問題にしました。今度はどうなのだということなのですけれど、これは東京都については私の責任で、私が遠藤五輪担当大臣と話をして、そしてしっかりと、国は遠藤五輪担当大臣が責任を持つ、これは私が責任を持つ、そのもとで、事務方で細かく詰めていくということで議論を重ねてきての結論であると。いつか言ったと思いますけれども、そういうことの議論をした結果が、仮に200億円になっても、800億円になっても、それは議論した結果、そうなることであって、目の子勘定で、うわさの段階で言っている話ではありません。
したがって、今回は責任体制がしっかりしているということが基本です。そして、JSC、これはいろいろ問題が問われました。その監督官庁である文部科学省の馳大臣も一緒にいて、しっかりこれは監督をしてやるということなので、決定の仕方、政策決定過程が全く違うということが基本であって、それでそこから先は、様々な議論をしていく。一番、これは2020年オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムになるわけですから、それは東京大会を成功させる立場にすれば、メインスタジアムが存在しないということはあり得ないので、その点は非常に東京にとって利益があるだろうと。
それから、例えばどれぐらいの経済効果があるのだろうかと。1550億円という数字が建設費として出ていますけれども、これを十分活用すれば、そこにたくさん人が集まってくる。集まってくればコストもかかるのですけれども、2倍から3倍ぐらいの経済効果が大体見通せるだろうというようなシミュレーションもやりました。
それから、直下型地震が来て、あの周辺にいる人が帰宅困難になったときに、8万人近くが収容できて、しかもそこに備蓄があれば、これは1つプラスになるだろうと、そういうことも含めて。そしてやはり、いつも申し上げるのですけれども、先般の日曜日もパラ駅伝で駒沢公園に行ってみましたけれども、非常に青空のもとでもあったし、あれだけ障害者の方々があの公園で駅伝をやって、それからSMAPの皆さんとか宝塚の皆さんが来てくれたこともあったのでしょうけれども、満杯なのです、スタンドの人。
これはやはり、駒沢公園があって良かったなと、私もあのとき思って、あれは50年前の東京大会のレガシーなので、そうすると、2070年の子供たちが同じことをやろうと言ったときに新国立、これがあって良かったなと思えるものであれば、これは十分良いことです。
この前、東京都、千葉県、横浜市、こういう関東中心に集まりました。やはり地の利から言うと、国立競技場というのは東京都民が大体、シミュレーションやると、4割ぐらいは東京都民が使う。そうすると、子供たちが使う、障害者が駅伝のようなことに使うということになれば、十分東京都にあってレガシーとしてすばらしいものであるではないかということで、今のところはそういう細かい詰めを事務方がやり、それでいいかというのは大臣と私がしょっちゅう議論をして、ああいう形でまとめようと。
今おっしゃった法律の面について言うと、これまで私が申し上げていたのは、地方財政法、地方自治の関連で言うと、地方自治体が国に寄付することは禁じられているのです。だから何の根拠もなくて「はい、500億円寄付」というのは、これはできません。では、何ができるのですかといって、今の法律のもとでできることは、新国立の周辺の整備について、50億円ぐらいだと思いますけれども、これは現行法体系でできますねということで、それを申し上げた。だから、今回はJSC法を改正することによって、東京だけの特定の法律だと、憲法の住民投票が必要ですから、この前申し上げたように。地方自治体も例えば今の新国立競技場の建設について協力して財政負担をすることができるという国の法律ができる。そうすると395億円という、この支出の法的担保もしっかりしている。これは今から通常国会早々にやっていただけると思いますし、どういう内容になるのかということを今から詰めていって、我々の要望も申し上げていますけれども、そこも法的に基本的には担保できると。その上で、どこから予算をどういうふうに出すかというのは、それは法律決まってからということなのですけれども、今までの政策決定過程とは違って、私と遠藤五輪担当大臣がしっかり責任を持ち、それから馳文部科学大臣もしっかりとそこに加わっているという体制のもとにできたということが最大の違いであって、あとはもちろん395億円については、それはまだ多過ぎるとおっしゃる方もおられるかもしれないし、逆の意見もあるかもしれない。これは都議会での議論やいろいろなところで、私も議論をしたいと思っております。
日曜日の朝のフジテレビの「報道2001」にも出演して、もう少しいろいろな方もご出演なさるというので、そこでも今お話ししたようなことをきちんと議論をして、都民、そして国民のご理解を賜りたいと思っています。
【記者】まさに今、知事がおっしゃられた点でもあると思うんでのですが、やっぱりやはり都民の納得が一番大切なことだと思うんでのですが。
【知事】そうです、はい。
【記者】それについて、具体的にですね、どのように都民の納得を得ていくか、手法についてお考えはありますでしょうか。
【知事】この記者会見もそうですし、日曜日のテレビ出演もそうですし、それから都議会で都民の代表である議員の皆様方がご質問なさる、それに対してきちんと答弁していくということで、あらゆる機会を通じてそういうことをやっていきたいと思っています。
【記者】ありがとうございました。
【知事】はい、どうぞ。
【記者】東京MXテレビの竹田です。東京都、警視庁は2015年までに年間の交通事故死亡者数を150人未満にするというふうなことをおっしゃっていましたけれども、きょうですね昨日、150人に達しました。この受けとめについてお答えいただけますか。
【知事】非常に残念ですが、これにめげることなくさらに交通事故を減らす努力をやりたいので、警視庁を含めて、関係各局にはそういうことを申し上げて、私の気持ちだと150人どころか100人ぐらいという大きな目標を掲げたらどうかということぐらい申し上げたのですけれども、なかなか一気に、150人でももう昨日、突破したということなので、なかなか難しいと思います。
ただ、これは、私が国政の場にいたときのことを思い出しますと、福田元総理が官房長官だったときに、あまりにも交通事故が多いではないかと、たしか、1万人未満という数字を掲げて、「とてもではないけれどそんなことできるわけないじゃないですか」と皆さんおっしゃったのだけれど、やれたのです。ですから、これは是非皆で協力して、警察だけの力ではできません。各コミュニティで交通安全協会、それからそういうことにボランティアで携わっている方々がおられますので、全力を挙げてやるとともに、我々も今よく言われているように、黄昏時になるべくライトを早くつけると、そういうことによって歩行者から見やすいということがあるので、あらゆる施策を動員して、1人でも死亡者、事故を少なくするという努力は今後とも続けたいと思っています。
【記者】毎日新聞の稲田です。昨日、国立療養所多磨全生園の入所者自治会長、佐川さんが副知事にお会いになって、今の全生園の土地について、入所者の方が全員いなくなられた後でも人権の森として永久保存してほしいというような要請をされたと思います。その件について、知事のお考えとしてどうなっているのか、この人権週間ということもあわせてお答えいただきたいと思っています。
【知事】私も厚生労働大臣のときにこの問題に正面から取り組みました。いわれない差別によって、本当に人生をめちゃくちゃにされたという方がたくさんおられるし、特に子供を生んではいけないということで堕胎させられるようなことがありました。こういう差別のシンボルのようなことをきちんと残して、後世の人にこういうことは二度とあってはいけないということをやることは非常に意義のあることだと思います。
これは検討してみます。入所をされた方々で既に亡くなられた方も多いのですけれども、それからあと、地元の皆さん方がどうしたいか。そういうことも総合的に勘案しながら、何ができるかということを考えてみたいと思います。いろいろなところで、例えば良い病院がハンセンの施設の中にありますから、あのようなところに一般の方も通われるとか、それで子供の声が、強制堕胎されたので、子供の声が聞けないというのが一番寂しいことだったのです。そうすると、子供さんたちの声を聞かれると本当に喜ばれるのです。だから、例えば保育園が足りないなら、そういうところの一部を使って保育園にするというのはどうだろうかと。いろいろなアイディアを持ち寄って、ちょっとこれは検討してみたいと思っております。
【記者】日本経済新聞の亀です。豊洲移転について2点。1点目が、来年11月7日の移転日なのですが、一部の業者さんからちょっと年末なのでできれば延期してほしいと。一方で、やはり当初予定どおり、もうスケジュールを組んで準備をしているので、してほしいという意見があるのですが、この当初計画というのは堅持されるおつもりなのかというのが1点。
2点目なのですが、先日、業界団体から知事の方に要望書が出されたと思うのですけれども、移転費用の支援などが柱だとは思うのですが、それに対する受けとめをお願いいたします。
【知事】まず第1点ですが、全般的に言えるわけですけれども、業者の中にもいろいろな考えの方がおられるわけなので、この移転日についてはもうずっと議論をしてきて、年末の忙しくならない時期、そういうことを考えて、この時期がベストだろうということで決めています。ですから、これは今のところ、基本的に動かす予定はありません。
それから、その移転費用については、先般申し上げましたように、できるだけのご支援は都として申し上げると。具体的にどうするかということは、担当の方とまたその業界の皆さん方と今議論をしているということで、基本方針はできるだけの支援は惜しまないと、そういうことです。
【記者】新宿区新聞の喜田です。先ほどの395億円の件なのですけれども、これは帰宅困難者施設として何か考えてらっしゃるという話も聞いているのですが、これ以外にやはり東京都の都民が納得する負担としては、何か考えているものがあるのでしょうか。
それから、395億円は帰宅困難者用の施設として造る、実際の金額というのは大体どれぐらいを見積もってらっしゃるのでしょうか。
【知事】先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、都民にとって様々な利点があります。そのときにもこういうふうに使いますよということを言っているわけです。だから、あれは新国立競技場であって、帰宅困難者用の施設ではありません。帰宅困難者用施設を造るためにあれを造るわけではありません。そこの方は本末転倒がないようにして。しかし、様々利便性があります。子供の運動会をやるために造ったものではありません。しかしながら、都民としてそういうことに利用できれば、これはレガシーとして残りますよということであるので、この部分がどうだからどうという話ではなくて、そういうことも含めての総合的な判断で決定したということです。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)