
舛添知事定例記者会見
平成27年11月24日(火曜)
14時00分~14時25分
知事冒頭発言
1 東京都教育施策大綱について
【知事】私の方から6点、最初にご報告がございます。
まず、第1点ですけれど、教育の問題です。これまで3回にわたり開催いたしました「東京都総合教育会議」での議論を踏まえまして、この度「東京都教育施策大綱」を決定しましたので、お知らせをいたします。
10年後の東京で活躍し、さらにはその先の2040年代を支えるのは、正に今の子供たちであります。大綱は、その子供たちを確実に育成するために、まず平成29年度までの3年間を対象に、特に重要で優先的に取り組むべき事項について方針を示したものであります。
大綱では、7点を示してありますが、この中で4点についてお話をしたいと思います。
まず、理数教育の推進ですけれども、本年度の「全国学力・学習状況調査」の結果、中学校の理科が全国平均を下回っております。また、「各教科の勉強が好きか」という質問を、平成24年度の小学校6年生に、3年後の中学校3年時点で追跡調査したところ、理科だけが「好き」が減って、みんな嫌いになっているという困ったことが起こっているわけで、これらの結果を踏まえまして、具体策を教育委員会にしっかり検討してもらって、これから「科学技術創造立国」を目指すための人材を育成していきたいと思っています。ここはやはり小学校から中学校になるにしたがって理科が嫌いになるというのは、ちょっと困ったものです。
次は、グローバル人材ということで、世界で活躍できる人材を育成する都立学校の設置についてであります。国際色豊かな教育環境を備えて、日本人としての自覚と誇りを持って豊かな教養と世界で活躍できる英語力を備えた人材を育成する都立学校の設置を進めます。26日の教育委員会に「都立小中高一貫教育基本構想検討委員会」の最終報告が報告されると聞いております。定員や英語の授業時間数など、具体的な内容については今後教育委員会で検討してもらいたいと思っています。
それから、次が、ボランティアへの参加意欲の醸成についてであります。東京の子供たちの自己評価は、学年が上がるにつれて低下傾向にあります。また、日本の若者は諸外国に比べボランティア活動への興味が低いという状況であります。アメリカに比べてボランティア活動に興味がある割合は半分ぐらいです。イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンより低く、韓国の56パーセントに対し、35パーセントしかないので、2020年のオリンピック・パラリンピックもありますので、是非、これは教育上も非常に効果がありますので、パラリンピック教育、障害者教育に力を入れるとともに、このボランティアをしっかりやってもらうようにしたいと思います。
次が、SNSなのですけれども、これの適切な使い方の啓発強化で、実はSNSを使う時間が長ければ長いほど学力が低下するという、そういう相関関係にあります。そこで、とにかく長く使うほど成績が悪いということでありますし、それから、やはり個々のトラブルの状況もありますので、そういう状況で、いじめの温床にもなっています、そのSNSが。そこで、スマホ利用のマナーや1日の利用時間、トラブル防止などに関するルール作りを学校や家庭と一体となって取り組む「SNS東京ルール」というのを作らなければならないと思っております。このルールの詳細は教育委員会で議論していただいて、力強いメッセージや発信を期待しております。
この大綱をもとに、今後も教育委員会と一体となって教育改革に取り組んでまいりたいと思っております。詳細については、教育庁に聞いていただきたいと思っています。
このルールのイメージなのですけれども、利用時間がちょっと長すぎると成績低下、それからフィルタリングをどうするか、これもしっかりしておかないと、変なものを見られたりする。個人情報の扱い、マナーが悪くて人をいじめるときに使うようなことをやっても困るので、こういうルール作りをしたいと思っております。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
2 「2020年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた関係自治体等連絡協議会」の設置について
【知事】それから、次ですけれども、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた関係自治体等連絡協議会」を設置いたしますので、お知らせをいたします。この協議会は、東京都を始め、競技会場が所在する自治体、組織委員会及び国が初めて一堂に会し、情報共有や意見交換を行うとともに、相互に緊密に連携しながら合意形成を図ることを目的としています。関係自治体と組織委員会、国とでしっかりとスクラムを組んで、一つひとつ建設的な議論を重ねて万全な準備を進めていきたいと思っております。
そこで、この第1回目、キックオフですけれども、これを11月27日(金曜日)に都道府県会館で開催いたします。詳細は、オリンピック・パラリンピック準備局にお尋ねいただければと思います。
各県の知事さん、政令指定都市の皆さん方含めて、おいでになると思います。
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3 「パラ駅伝 in TOKYO 2015」について
【知事】それからもう1つ、パラリンピック関係ですが、11月29日(日曜日)に、駒沢オリンピック公園で、私も特別顧問を務めております日本財団パラリンピックサポートセンターが主催いたします「パラ駅伝 in Tokyo 2015」が初めて開催されるのでお知らせをいたします。コースですけれども、様々な障害のあるランナーと健常者のランナー8人がチームを作って、たすきをつないでいきます。駅伝ですから。それで、11都県19チーム、計152名のランナーが参加いたします。先日、サポートセンターの立ち上げのときにも来ていただいた人気アイドルグループの「SMAP」の皆さんも応援に駆け付けてくださるし、宝塚歌劇団の方々なども来てくださるということで、大会が盛り上がるのではないかと思っています。私も出席をいたしまして、優勝チームには都知事賞を贈呈したいと思っています。記者の皆さん方にも、是非障害者スポーツのすばらしさを見ていただいて発信していただければと思います。この件の詳細は、オリンピック・パラリンピック準備局に聞いていただきたいと思います。
4 自転車シェアリングの利用促進に向けたPRについて
【知事】4番目は、自転車です。この度、自転車シェアリングの利用拡大に向けたキャンペーンを実施いたしますので、お知らせをいたします。シェアサイクルの取組は着実に広がっていますけれども、これをさらに一層普及させるために、今日から2週間、鉄道の広告を実施いたします。ポスターですが、「宝くじで7億円当たった!は簡単にシェアできないが、自転車なら簡単にシェアできる」という形で、「自転車シェアリング&TOKYO」という、マークは早速使ってあります。このようなポスターを、4種類用意しまして、都営地下鉄全線や「りんかい線」の主要駅で広告展開していきたいと思っています。シェアサイクルのステーションは、鉄道駅の近くにも多く設置されておりまして、例えば「りんかい線」の東京テレポート駅では、地上の出口付近にステーションが設置されております。車を駅の近くに停めて鉄道などに乗り換えるのは「パーク&ライド」と言いますけれども、シェアサイクルと鉄道の組み合わせなので、「シェアサイクル&ライド」というようなことで、電車を利用して降りたら自転車で観光したり通勤に使ったりと、そういうふうにご利用してはいかがでしょうかということで、環境にもやさしい行動にもつながりますので、皆さん方もシェアサイクルのステーションを目にしましたら、一度是非ご利用していただきたいと思います。これは環境局の方に詳細は聞いていただければと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
5 「トンネル予防保全計画」について
【知事】次はトンネルの話であります。「TUNNEL&TOKYO」というように一生懸命使っております。この度、「トンネル予防保全計画」を策定しましたので、お知らせをいたします。都では、山間部や市街地の立体交差など、計121の道路トンネルを管理しておりまして、これまで5年に一度、定期点検を実施して、適切な対策をとることで安全を確保してきました。
中央道の笹子トンネルの大事故がありました。ああいうことがあってはいけないということの一方で、トンネルも建設から年月が経過して、30年後になりますと、できてから50年以上経過しているトンネルが実に65%に当たる。人間で言うと、齢を重ねていったという形になるので、このことから、安全性をさらに向上させていくために、全国で初めて、全トンネルの詳細調査をレーダーやレーザーなどの最新技術を用いて実施をいたしました。この調査結果をもとに予防保全計画を策定いたしました。
この計画では、トンネルの種類ごとに、先ほどの笹子トンネルではないですけれど、崩落を防ぐにはどうするか。そのための「空洞の充填」とか鉄筋の増量による「コンクリートの補強」などを行いたいと思っています。
これは、50年、100年もつ建設物ですから、長期的な発想でやるしかない。事業期間を75年間として、コスト縮減額を比較しますと、予防保全を行わない場合には、トンネルをすべて造り替えないといけないということで、1953億円、2000億円近くかかるのですけれども、今言ったように、予防保全をしていって、きちんと手当てをしていると、423億円ぐらいで済むので、約1500億円コストを減らすことができる。こういう方策によって、全てのトンネルを、これから100年間、新たに造り替えないで健全な状態を保つということを目指したいと思っております。
この件は、詳細は建設局の方に聞いていただければと思っております。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
6 「東京ブランドアンバサダー」第1号について
【知事】それから、次ですが、「&TOKYO」、東京ブランドを世界に発信する初の「東京ブランドアンバサダー」に、この度、日本のフランス料理界を代表します、オテル・ドゥ・ミクニオーナーシェフの三國清三さんにご就任いただきましたので、お知らせいたします。「FOOD&TOKYO」です。
三國さんは、今年の味わいフェスタでも、東京産食材を使ったオリジナルメニューの開発にご協力をいただいたわけですけれども、今後、いろいろなイベントを通じて、東京の食の魅力を世界に発信していただきたいと思っています。
これから後も、東京ブランドアンバサダー、いろいろな方にお願いしていくことになると思います。詳細は産業労働局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】幹事社、日刊工業新聞の大塚です。質問が、まず2点ありまして、東京都教育施策大綱についてなのです。重点事項が7つありますけれども、次の世代を育てるため、知事は何に一番力を入れて推進したいとお考えでしょうか。
【知事】先ほどの理数教育、それから、グローバル人材、ボランティア、SNS。あえて言うと、こういうのもしっかりやらないといけないのですけれども、社会的自立を促すとか、申し上げなかったことを言うと、ほかのところは優先的ではないということではなくて、不登校・中途退学対策、特別支援教育の推進、こういうことについても、優先的ではないということではなくて、例えば、不登校・中途退学というのが、実は非正規労働者の大きな背景になっている。こういうこともしっかり、やはりやっていかないといけないし、それから、グローバル人材と関係しますけれども、金融、経済の教育をやっていくことによって、国際金融などの場で活躍できる、そういう教育にしないといけない。
それから、先般、永福学園を視察いたしましたけれど、やはり特別支援教育の推進ということもやらないといけないので、全てなのですけれども、あえて今、先ほど触れなかった3つについて触れさせていただきましたけれども、子供たちが社会に出て、生き生きと活躍できる基盤を作るということとともに、逆に、社会で今、非正規労働者の問題や格差の問題などを含めて、いろいろな問題が出てきていますけれども、それのもとが教育に何らかの点であるとすれば、その根源を断たないといけないので、そこはしっかりやりたいなと思っています。
【記者】2問目です。トンネル予防保全のお話なのですけれども、トンネルだけではなくて、橋や都道といった社会インフラの予防保全計画について、今後、どう取り組まれる予定でしょうか。
【知事】いろいろなインフラについて、道路とか河川というのは、日常の点検で適切に管理しているわけですけれど、今おっしゃった橋梁、これはトンネルと同様に非常に重要なので、同じような予防保全という考えがあっていいので、実は平成21年に、橋梁の管理に関する中長期計画というのを全国に先駆けて策定して、先ほどと同じような寿命を長くする対策を進めているのですけれども、例えば、東京の中の隅田川を見ていただくと、これ、国の重要文化財でもあるのですけれど、永代橋、それから清洲橋、これで既に長寿命化というか、その工事を実施しておりますので、今おっしゃったような問題意識を持って取り組んでおりますので、細かい点は建設局の方にお尋ねいただければと思います。
【記者】NHKの中島です。&TOKYOの関係なのですけれども、発表してから、あまりまだ期間はたっていないと思うのですけれども、これまでの浸透ぶりについては、知事としてどう受けとめてらっしゃいますか。
【知事】もう少し頑張らないとといけないなと思っているのは、ご存じの方は結構ご存じなのですけれども、なかなかやはり、「はっ? これ、何?」 という方が、まだバッチを見ておっしゃる方がいるので、少し努力をしていきたいし、私自身もいろいろなところでお話をしています。むしろ国際的に、「PARIS&TOKYO」とか「MOSCOW&TOKYO」とかいうのがどんどん広まって、「LONDON&TOKYO」もそうなのですけれども。
それで、この前申し上げたように、何か、うまい使い方がないかということで、アイデア募集をやったのですけれども、今のところ、800件の応募が来ているということで、これでいいものを選んで、このPRをもっとしたいと思っています。
それから、先般申し上げたように、著作権はないのですけれども、商標登録をしているのと被ってはいけませんから、特に企業や何かが使うときには、それに注意をして、自分でチェックしてくださいよということとともに、都の方に、こういうことをやりたいということを申請してくださいということを申し上げて、今のところ、利用申請件数は約70件ということで、これ、企業などだと思いますけれども、もっともっと広がっていけばと思っています。引き続き努力をしたいと思っています。
【記者】追加ですが、今日、三國さんをアンバサダーに任命したということがありましたけれども、今後、アンバサダーに任命する方というのは、どういう方々を想定していらっしゃるのでしょうか。
【知事】いろいろな観点から見て、今日は、先ほど言った「FOOD&TOKYO」なので、そうすると、例えば、カルチャーの中でも、シアターだったら誰だろうかとか、それ、古典芸能から現代まであります。それから、ペインティングスとかドローイングスという、そういう絵画だったらどうなのだろうというのもありますし、あらゆる各層の方があるし、それから、ビジネスでもいいと思うのです。非常にアントレプレナーシップ(企業家精神)のあるような、そういう新しい人材がいればと思うので、いろいろなところから募って、こういう形で展開したいと思っています。
【記者】フジテレビの相澤です。本日、オリンピック・パラリンピックの新たなエンブレムの募集が開始されました。7万件の応募要項のダウンロード、あと、正午から始まったのですが、30分間で300件の応募があったそうです。その件数についての知事のご感想と、国民が参加できるような審査の在り方が議論されていると思いますが、そういった審査についてどのようなお考えを持たれているか、お聞かせいただけますか。
【知事】7万件を超える応募があったというのは大変いいことだと思いますので、やはり国民が「これでいこう」という話にならないといけないので、そういう意味では、広く門戸を開放するというのは大変結構だと思います。だから、審査員の方が大変なご苦労だと思いますけれども、どういう基準で振り分けるのか、そういうことはこれからの課題になると思っています。
細かい点は審査委員会の方で、しっかりと方針を立てておやりになっていると思いますけれども、先ほど言った著作権とか商標権の問題があるので、ある段階でクローズにしないといけないところが出てきます。「これとこれとこれが候補ですよ」と言ったら、それを先に登録してしまったら負けてしまいますから、そこのところの問題と、できるだけ皆に知らせるということの矛盾というか、その2つの目的をどうやっていくのかとい、東京芸術大学の宮田学長さん、審査委員長ですけれど、大変ご苦労なさると思いますけれど、是非、国民が皆、喜ぶようなものを作っていただきたいと思っています。
【記者】東京新聞の松村です。教育大綱なのですが、この間の委員さんの意見を受けて、知事が特にこれはと言って入れたのが、このSNSのところなのでしょうか。
【知事】いや、全部です。ずっと、3回の議論を通じて、こういうことがあった方がいいなという。だから、例えば、先ほど、大塚さんの質問に答えたときに、不登校の話などしましたけれども、こういうものを受け入れて。ただ、やはり教育の場ですから、ちょっと私も、理数教育で、興味もないし成績も悪いというのは非常に気になる。特にやはり基礎学力を上げていくというのは非常に大事なものですから、そういう点を皆さんの意見を取り入れたつもりですので、最終的には私の判断でああいう形にまとめて、これは今後、具体的にどういうふうにするかというのは、教育委員会の方で練ってもらいたいと思っていますから、7つの項目含めて、全てに教育委員の皆さん方の意見、そして、あの場での議論がしっかりと反映されていると、そう思っております。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)