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舛添前知事「知事の部屋」

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記者会見

平成27年10月23日更新

舛添知事定例記者会見
平成27年10月23日(金曜)
14時00分~14時35分

知事冒頭発言

1 「コンパクト・オブ・メイヤーズ」の参加について

【知事】私の方から冒頭5点ほどあります。
 最初に気候変動対策としまして、世界最大規模の都市間の連携となります、「コンパクト・オブ・メイヤーズ」に参加しましたので、お知らせいたします。人類の生存基盤を脅かす気候変動の危機を回避するためには、世界全体の温室ガスの7割を排出している、都市の果たす役割が極めて重要であります。
 コンパクト・オブ・メイヤーズは、来月からフランス・パリ市で開催されます、「気候変動枠組条約第21回締約国会議 COP21」の成功を後押しするために、気候変動対策に取り組む世界の主要な都市間連携のグループが共同で呼びかけて開始した取組であります。
 東京都は、この取組に参加し、温室効果ガス削減目標の設定や、達成に向けた行動計画の策定などを誓約し、実行してまいります。まず、11月には意欲的なCO2削減目標を公表したいと思っております。
 都は、これまで世界初の都市型キャップ・アンド・トレードや、水素社会の実現に向けた取組など先駆的な政策を実施してまいりました。このコンパクト・オブ・メイヤーズへの参加を通じまして、これまで培ってきました経験やノウハウを世界の大都市と共有し、地球規模の環境問題の解決に向けてリーダーシップを発揮してまいります。
 この件につきましては、先般のソウルでの講演におきましても、お話しした次第であります。この件の詳細は、環境局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

2 舟運活性化に向けた調査運行の実施について

【知事】2番目、舟運です。このたび、舟運活性化に向けた調査運航を実施しますので、お知らせいたします。
 いつも申し上げていますように、船の活用というのは、観光資源はもとより、防災、交通手段としての大きな意味がございます。今回の調査運航は、羽田空港から都心・臨海部を結ぶ航路の充実に向けて、来年度実施する社会実験に必要となる基礎的な情報を把握するために行うものであります。
 イギリスのウィリアム王子が来られたときにも羽田空港からご案内をいたしたことは、皆さんご記憶のとおりですけれども、11月末から12月初めの3日間、レインボーブリッジ、羽田空港を巡る東京クルージングコースなど、5つのコースを作って、これに都民の皆様の参加を募って実施したいと思っております。
 例えば、都民向けコースは、吾妻橋から羽田空港と羽田空港から吾妻橋と、これは11月20日に行います。ご参加いただいた方にはルートごとに印象に残ったポイントがどこだとか、船からの景色がどうだとか、船着場の利用環境についてなどアンケートを行いたいと思っています。
 それから、乗船前後には、地元区などにより街歩きツアーなどにも参加いただけるような企画もありますので、是非奮ってご応募いただきたいと思っています。浅草に行くコースも12月6日は設けられております。
 それから、都民向けと別に、11月7日には旅行業界の方や国の内外のプレスの皆さん方に、11月24、25日と12月1日にはMICEの関係者などに体験乗船を企画しておりますので、是非、皆さん方もこの機会に「水の都・東京」を実感していただいて、東京の舟運というのを、広くPRしていただきたいと思っております。
 これらの取組によりまして、新たな航路の事業化に向けて、来年度予定しています社会実験をさらに充実したものにしていきたいと思っております。
 この件の詳細は、都市整備局及び港湾局の方にお尋ねいただければと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

3 2019年ラグビーワールドカップに向けた気運醸成の取組について

【知事】3番目です。ラグビーワールドカップイングランド大会での日本代表の健闘を称えますとともに、2019年の日本におけるラグビーワールドカップ開催に向けまして、気運醸成の取組を行います。
 まず、10月24日から、都庁のライトアップ、ライトアップの色は、ラグビーワールドカップのロゴをイメージした色でありまして、緑は芝生、青は空の色を象徴してございます。
 さらに、都議会議事堂2階中央ホールで10月24日から11月6日まで、ラグビーワールドカップのパネル展を実施しまして、2015年大会、そして2019年大会の紹介等のPRを行います。日本代表が大変な活躍をしたわけでありまして、この日本代表の写真も展示してありますので、是非、皆さんご覧いただければと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
 さらに、イングランドでは、10月24日から準決勝が始まります。いよいよ4強が残っておりまして、皆、南半球になってしまいましたけれども、この24日、現地のジャパンパビリオンでの展示ブースも開始されまして、東京の未来の姿を紹介するスクリーン型ムービー、それから江戸筆、東京本染ゆかたなど、東京の伝統工芸品を体験するコーナーを活用して、東京のPRを行います。私も現地に行きまして、30日のレセプションに参加して、2019年大会及び2020年オリンピック・パラリンピック大会の成功に向かった意気込みなどについてスピーチをしてまいりたいと思っていますし、開催都市の魅力を世界に発信していきたいと思っています。是非4年に一度のスポーツの祭典を皆さんに楽しんでいただければと思っています。この点は、オリンピック・パラリンピック準備局に聞いていただければと思います。
(報道発表資料は、こちらこちらをご覧ください。)

4 サイバーセキュリティ対策について

【知事】次の話題はセキュリティですが、東京都のサイバーセキュリティ対策についてお知らせをいたします。オリンピック・パラリンピック開催都市は、サイバー攻撃の対象になりやすく、東京大会では、ロンドン大会における攻撃を大幅に上回ると想定されております。
 また、攻撃の手法は、多様化・巧妙化しておりまして、個別の対応だけではなく、全庁が強固に連携して迅速に取り組んでいく必要があります。そこで、全庁横断的な体制を構築することによって、サイバー攻撃への総合的な対策を一層強化してまいりたいと思います。
 まず、都庁の最高情報セキュリティ責任者として秋山副知事を任命しまして、重要インフラを担う公営企業等も含めた「東京都サイバーセキュリティ委員会」を設置したいと思っております。
 第1回の委員会は、10月27日(火曜日)に開催しまして、現行の「情報セキュリティポリシー」を改めまして、全庁横断の「サイバーセキュリティポリシー」という形に新たに策定したいと思っています。この新しいポリシーのもと、民間の専門的な知見も交えながら、被害を最小限におさえるための取組を進めてまいります。
 また、来年度初めには、都の情報セキュリティ対応を統括します、「東京都CSIRT(シーサート)」を設置して、事態に即応した指導、指示を行う体制を構築したいと思っています。
 さらに、オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして、国や組織委員会、警視庁等との連携を強化しながら、東京都全体のサイバーセキュリティレベルを加速させてまいります。この件の詳細は、総務局にお願いをしたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

5 「官民連携福祉貢献インフラファンド」のファンドマネジャー決定について

【知事】私の方からは、もう1つ最後に、「官民連携福祉貢献インフラファンド」のファンドマネジャーが決まりましたのでお知らせをいたします。
 前から取り組んでいる、福祉インフラファンドですけれども、このファンドは、子育て支援施設を必須として、高齢者向け施設も含んだ、福祉貢献型の建物、この整備に投融資を行うというものでありまして、理想的な形としては、さらにこれに、賃貸住宅、商業施設などとも入った、「東京版CCRC」とも言える建物を作りたいというものです。子育て支援から医療モールもある、高齢者向けの施設、賃貸住宅、商業施設もある、高齢になっても継続してケアができるようなコミュニティを作りたいということであります。
 そこで、このファンドの仕組みなのですけれども、まず都が50億円出資をし、民間出資と合わせて100億円のファンドが組み立てられます。そして、今回の募集は5月に開始して4者からの応募がありまして、審査には法律や投資などの専門家の意見も反映させてあります。子育て支援施設の速やかな整備促進から、都の投資リスクの分散を図る観点から、3者を選定いたしたところであります。
 どういう方々を選んだかというのが次ですが、まず、ヘルスケアリート上場第一号投資法人のアドバイザーを務めるなど、豊富なノウハウを保有します「AIPヘルスケアジャパン合同会社」。それから次が、グループで不動産開発・賃貸から福祉施設運営まで幅広く事業展開いたします「スターツアセットマネジメント株式会社」。それから、グループが過去の官民連携ファンドに実績を持って、福祉・不動産事業者とネットワークを有する「スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社」。この3者になります。
 都の出資額は、実現可能性があるプロジェクトの事業規模を勘案して、1者が25億円、そしてあとは12.5億円と、こういう形になっております。
 こういう「官民連携ファンド」は、実は東京国際金融センター構想の一環でもありまして、民間の知恵と資金を活用して、こういう現下の問題を解決するための手法とするということであります。詳細については、会計管理局の方にお尋ねしていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

【記者】幹事社、読売新聞の木下です。私から2点ほど伺います。来週、パリ、ロンドンへと、知事が出張されますが、先ほどの話でも、ラグビーワールドカップの関係ですとか、あと、舟運の関係でもかなり視察があると思うのですけれども、実際、パリ、ロンドンで、盛りだくさんなのですが、知事が一番何を見てきたいかという話をちょっと伺いたいと思います。

【知事】まず、パリについては、これもう20年以上、都知事が公式に訪問していません。姉妹友好都市であるのですけれども。しかもパリは2024年のオリンピックに手を挙げておられるわけであります。候補地として。
 そして、都市ランキングが最近また発表されましたけれども、1位、2位、3位、4位、5位とずっと変わっていません。我々が4位なのにパリが3位、トップはロンドンです。ですから、なぜこれだけ評価が高いのかと、そういう観点から、特にパリでは文化、観光。ロンドンでは金融を含めて、今の船の話もあります。セーヌ川もテムズ川も舟運というのは非常に歴史的にもすごいわけですから、そういうものを見ていきたいと思っています。
 それから、ロンドンは、ラグビーワールドカップの決勝戦に招待されたという形でありますので、こういうグローバルなワールドカップのようなものを運営するノウハウがどこにあるのだろうかと。どういうふうに世界中からお客さんを集め、かなりチケットを上手く売っていると思いますので、これは2019年、2020年の我々の経験に生かせるものがあれば、それを見てきたいと思っています。
 それからやはりパラリンピック、これの成功がないといけませんので、パラリンピック関係の施設、ソフトの面でのノウハウ、こういうこともしっかりと学んでいきたいと思います。
 時間が限られた中でどこまで成果が上がるか、精力的に動くしかありませんが、実り多いものにしたいと思っております。

【記者】あと、昨晩、旭化成建材が、杭工事、10年間の実績について発表しまして、都内では356件該当するものがあったと。これについて、まず、都として、都有物件についてはデータを照会しているようなのですけれども、それ以外の物件、さまざま公共施設、商業施設、病院、学校とあるのですけれど、どういった物件なのか、また、どういった工事が行われたのかといったデータについて、都としては照会する考えがあるのかというのをお聞かせください。

【知事】都内の民間建築物を含めた全体像を把握する必要がありますので、356物件というのが公表されたものでありますけれども、建物の場所、何棟あるか、例えばマンションだったら何棟あるかとか、規模、こういうのがわかるリストの提供を旭化成建材に強く求めていきたいというのがまず1つです。
 とりわけ横浜の、例のデータ偽装をやった担当者がいます、マンションの。この人が施工したとされる2件については速やかに情報の提供を求めたいと思っています。
 それから、旭化成建材の元請けでありました三井住友建設に対しましては、都内で旭化成建材を下請けとして施工した物件につきまして、建築基準法に基づいて適正に行われたかどうかの報告を求めていきたいと思っております。
 今、基本的にはその方針でいきたいと思っています。

【記者】テレビ東京の石井です。すみません。間もなくホンダの新型燃料電池車が公表されることもあって、水素社会の実現についてお伺いします。知事はかねてから、この間、ソウルでもお話しされていましたが、改めて水素エネルギーを活用した社会の実現を目指す意義とその課題について、お考えを教えてください。

【知事】まず、これは既に発売されているトヨタの「MIRAI」に乗りましたけれど、排気ガスは出ません。水が出るだけです。ですから、環境、空気をきれいにする環境負荷の低減というのはあるのですけれど。それから、我々は石油がふんだんに出る国ではありませんので、エネルギー供給源を多様化しておかないといけない。今、再生可能エネルギーも、先ほどのファンドじゃありませんけれど、ファンドを使ってやっているように、あらゆるエネルギー源を使いたいと思っております。
 それから、例えば直下型地震で大規模な停電というようなことが起こったときにどうするかと。これは蓄電池が非常に有効に機能して、セダン型の乗用車が1台あれば1軒ぐらいの電力が供給できるし、都バスを含めて、バスにもこの水素燃料電池を入れますので、これだと小学校1校分ぐらいあると。そういうことの危機管理的にも使えると。
 それから、ソウルでも申し上げたし、ロンドンでも、また今度、パリやロンドンへまた行きますけれど、いろいろなところで講演を頼まれていますので、そこでも水素社会の意義というのは話したいと思いますけれども、今のこの技術は日本がトップで先を走っております。今、ドイツなどが一生懸命追いかけてきていますけれども。そういう意味で、世界のリーディングテクノロジーを持っているということは、裾野が広い経済波及効果をもたらしますので、我々は天然資源に恵まれていなくて、私たちの知恵でやるしかないので、その活用で経済を活性化したいと思っております。
 それともう1つは、もともと水素社会をやりたいと思っていたのですけれども、昨年ロンドンに行って講演したときに、「50年前のオリンピック東京大会で新幹線というレガシーが残ったけれど、今度どういうレガシーを残すのですか」と問われたものですから、私はやはり今言ったようなすばらしい観点を念頭に置いたときには、水素社会というレガシーを残したいということを申し上げました。あれから1年たちましたけれども、随分世界中の人が分かってくれまして、「どういうふうに車はなっているのだ。水素ステーションの準備はどうだ」というので、ものすごい数の世界からのVIPがこちらにおいでになっていますし、先般、ロンドンのボリス・ジョンソン市長がおいでになったときも、その点に言及なさっていたので、そういう観点からさらに進めていきたいと思っています。

【記者】課題といえるのがやはり水素ステーションだと思うのですが、2020年までの都の目標値はかなり意欲的なものだとも感じるのですが、どのように実現していくお考えでしょうか。

【知事】1番の問題は、東京の土地の値段の高さです。普通のガソリンスタンドは、1億円でできるのですけれども、水素ステーションというのは5億円かかります。5億円すぐ出して、作って商売しなさいといっても、なかなか出てきませんから、お金が。それで、国と都で補助をして、ガソリンスタンド並みの1億円でできるように4億円の補助をするというのは、もうこれは決めています。
 それから、実際に動き始めたときに、ランニングコストがかかりますからそういう運営費も、零細の業者に対しては支援するということも決めております。
 それから、やはり今1番の問題は、ガソリンスタンドだと、公道から4メートル離れればいいのに、なぜ、その水素ステーションだと8メートルに広げないといけないのですかということなのです。これは実現すると思いますが、その8メートルをガソリンスタンド並みの4メートルにするという規制緩和をやってもらわないといけないので、今、さらに強力に国に働きかけて、ほぼやっていただけると思っております。それが1番大きな課題で、我々の目標は15分間走れば必ず水素ステーションに行き着くと、こういうことで。あとは、やはり高速道路です。ここに設置がないと、もう近場にしか行けなくなるので。そういう課題に国と協力しながら果敢に取り組んでいきたいと思っています。

【記者】日本テレビの久野村です。先ほどの杭の偽装なのですけれども、356件都内にあって、2件はあの人が担当していたということなのですけれども、それだけの数があったということの受けとめと、その2件の建物名が公表されていないということで、不安に思われている方もいると思うのですが、そういったことでなかなか公表しないその旭化成建材へのご意見というか、知事のお考えがございましたら、お願いします。

【知事】国土交通省も、必要な情報を提供するようにということをおっしゃっておりますし、特に具体的に言うと、まず旭化成建材が元請け業者に対して工事のリストを提出すると。そして、発注者を通じて建物の所有者に情報提供を行うという、こういうスキームを作ろうということを国土交通省がおっしゃっているので、国と連携しながら、この情報提供をしっかりやりたいと思います。最大の問題は、建物の所有者、分かりやすく言うと、マンションに住んでいる方が、「あなたの住んでいるマンションはもうこういうことですよ」と言われて、資産価値ががたっと下がるとか、いろいろな不利益もあります。それも考えなければなりません。

※それで、この2件ですけれども、これは一部の報道で名前が出ておりますので、我々が、今、さらなるこの施工記録とか、実際目で見て確認するなどして、現時点では、その2件については問題ないだろうということを確認しております。工事のときの記録が残っていますから、そのデータが改ざんされていなければという前提ではあるのですが。しかし、詳細に見て精査したときには、今のところは大丈夫だということでありますが、さらに詳細な現地確認も行いたいと思っております。そして、調査状況などについては、その2件の物件の関係者に対して調査状況の説明を行いたいと思っています。
(※末尾に訂正発言あり。)

【記者】毎日新聞の銭場です。身元不明者の情報公開について、何点かお尋ねします。
 先日、塩崎厚生労働大臣が、情報公開で有効に身元判明につながっている例があるということを伝えて、積極公開を求めていきたいという発言をされています。これについての知事のご意見を聞きたいのと、あともう1つ。知事は、先般より公の場で、家族が全力を挙げて探せば警察の照会網で見つかると、家族が探そうともしないときに情報を出していいのか、という発言をされていますが、実際身元不明の方というのは、家族が探そうとしているかしていないか分からない方が身元不明になっていると思うのですが、まず、その2点お聞かせいただけますか。

【知事】空港での話で、細かい時間も十分なかったので、舌足らずな印象があったと思いますが、私自身が徘回する母親を抱えておりましたので、よく状況は分かっています。それで、いろいろなケースがあると思います。ですから、先ほど言ったような極端な例もありますよということも含めて、いろいろ考えないといけないと。結論から言うと、これだけの高齢化社会になったら、やれ警察が悪いのだとか、やれ地方自治体が悪いのだとか、やれ家族は十分ではないのだとかいうよりも、全体的なシステムの再構築をやらないと非常に難しいのではないかなということを実は思っているのです。ですから、例えば、今日、自分の親が認知症でいなくなりましたと。では、探しましょうと、夕方になって行きます。所管の警察から近くの警察まで探すと、その近くを徘回されて保護されてたならほぼ見つかるかもしれません。基本的には。ところが、たまたま何か交通機関に乗って遠くまで行ってしまったというときに、一応警察の方も照会するネットワークはできているのですけれども、きちんとそこまで現実にやれるかどうかという問題があると。
 今度逆に、例えばどこかに行っていて、そのお年寄りが保護されましたと。保護されて、地方自治体が警察から引き取るわけです。そのときにやはり個人情報の保護ということも考えないといけないので、どこまで出しますかということがあるので。それで、ご承知のように、今年の6月に関係者向け情報共有サイトというのを東京都と区市町村で立ち上げているわけで、参画すれば区市町村はそれを見られるようになっているので。そういう仕組みも構築をしているわけですけれども、実際に探す立場から見て、今おっしゃるように非常に一生懸命探しているのだけれど見つからないというケースはどうするかというのはあると思うのです。警察について言うと、行方不明者情報管理システムというのがきちんとあって、ちょっと調べてみますと、去年の6月ぐらいに。

【記者】知事、すみません。厚生労働省が公表してくれという通達、通知を出しているのですよね。それに対して都としてどうされるのかというのを聞きたいのですけれども。

【知事】いや、だからその前提として、そう簡単に公表してくれと言ってどこまで今、私が話そうとしていたようなことを、厚生労働省が分かってそれをやっているのかということなので、例えば数を公表しなさいと、40名とか50名。数だけ公表して何か意味がありますかということを私は申し上げているので。その中の50名いましたと。何名が認知症ですかと。何名がどうですかというような詳細な内容が伴ってないのです、そこには。だから。

【記者】いや、そんなことないです。

【知事】いや、私はね。

【記者】ほかは出していますよ。

【知事】いや、私は、いや、ほかは出していますというか、私はだから、ただ単に数字を公表しなさいとか、公表しなさいと言っても、私はもっと様々な複雑な問題があるので、はい、国が公表しなさい、では、公表すればいいという話ではないでしょうと。今言ったように、いろいろなケースバイケースが警察の対応でどこを改善しないといけないかというのがある。

【記者】いや、それは違う話です。

【知事】いやいや、違います。違わないですよ。

【記者】知事、いいですか。

【知事】いやいやだから。私は。

【記者】千代田区にお一人いて、例えば概要で性別とか、保護した年月とか、プライバシーに触れない範囲で出せることがいっぱいありますよね。

【知事】はい。

【記者】千代田区に何人いると分かれば、探している家族は問い合わせることはできます。今、そういうことも一切なさっていないのですが、それは今後の対応として、やられないのですか。

【知事】いや、やらないということではありません。

【記者】どうされるのですか。

【知事】それは、今言ったように、私自体は全体の政策、これに対する全体のシステム構築を再構築しない限りは無理だと。

【記者】いや、違います。今回は。

【知事】いや、違いますというのはあなたの意見だから。私の意見も聞いてください。時間が限られていますから。

【記者】もう終わりますのでちょっと待ってください。今回のシステムは、家族が探しているのに、マッチングできなかったのが問題になって、厚生労働省がプラットホームを作ったのです。そこに都として乗らない、応じられない理由というのが誰も理解できないと思うのですが、そこを明確にお答えいただけますか。

【知事】先ほど申し上げましたように、区市町村に対しては身元不明の方々の現状や、都のサイトへの掲載意向など再確認するよう既に指示しているというのが、福祉保健局の今の対応ということです。

【記者】検討するように指示をされたという。

【知事】既に指示をしています。

【記者】この数日でということですか。

【知事】ええ。ただ、もう何度も言うけれども、こんな時間で議論できません。私は厚生労働大臣もやりました。だから、あなたが言うほど問題が単純ではないのだと。

【記者】いえ、違います。

【知事】いや、違いますってあなたの意見で。私の答えをここであなたと議論するための場ではないのですよ。

【記者】18年間も何年も身元が分からないままの人がいた。でも、その人は服に名前が書いてあったり、自分で名前が言えたけれども、警察も自治体もマッチングできなかった。その反省があって、厚生労働省のサイトができて、情報を載せてくださいということを厚生労働省が全国に言っているのです。それに都が応じない、その理由がわからないです。

【知事】いや、だから。

【記者】システムは作っているのです。

【知事】現場は区市町村ですから、それはやれという指示をしてます、そこは。

【記者】したのですね。

【知事】してあります、既に。そこは。けれど、私。

【記者】でも、1人しか載っていませんよね。

【知事】だから、していますから、区市町村の対応を今からちゃんと検討していかないといけないということなのですよ。それで。

【記者】なるほど。知事はそれ、やられるということですね。

【知事】それは指示が済んであります。

【記者】わかりました。

【知事】だから、それより、私が言いたいのは、もう少し全体的な検討をしないといけない時期に来ている、そういう建設的な提案が何でいけないのですか。

【記者】それは賛成です、大賛成です。やってください。

【知事】もっとはっきり言うと、警察だって、しっかり探してくれよと言われても、犯罪の捜査とかものすごくあって、警察官が足りなくて、どうしても後回しになってしまうわけです。警察だけに認知症のお年寄りの保護を頼んでいいですかと、コミュニティがしっかりして、やはり徘徊者、おじいちゃんが来ていると。どの方だろうと皆がやってくれる。自助、共助、公助とよく言いますけれど、そういう中で、これから高齢化社会になって、特に東京はそうなのです。そうすると、その高齢者を保護してやるという、地域包括システムなどやっていますけれど、その中で、今言ったような問題に、従来型の、警察と自治体が情報を共有するということぐらいで片づくかなというと、私はそう簡単ではないと思って、もっと深刻な問題があると思ってるので、それは是非、またこれは議論いたしますけれども、良い形のシステムをつくりたいと思っています。

【記者】知事、その点は大賛成です。
 最後に1点だけ。

【知事】はい。

【記者】担当課が、先日の記者レクで、49人の身元不明の方の疾病別の割合をどうしても出さないのです。これは都内にどういう身元不明者の方がいるということが分かる基礎的な材料になると思うのです。厚生労働省がざっくりとした疾患別の内訳を出しているので、知事として、是非それを出すように指示していただけますか。情報公開を積極的にやられた知事なら分かると思いますので。

【知事】それもちょっと検討させてください。というのはですね、病気、病状というか、それは最高の個人情報なのです。

【記者】いや、だって、もうホームレスかどうかって出しているのですよ、担当課は。でも、ホームレスかの内訳を出して、症状別は出さないと言っているのは、それはおかしいと思います。

【知事】いやいや、症状について、ですからそこは、何度も言うように、個人情報の保護との兼ね合いというのを真剣に考えているわけです。

【記者】でも内訳は出せますよね。

【知事】それはちょっと検討させてください。

【記者】お願いします。

【知事】マイナス面があるといけないから慎重にやっているのです。

【記者】はい。期待しています。

【記者】読売新聞の木下です。1点だけ。さっきのやりとりの中で、旭化成、日本テレビさんの質問の中で、2件という。

【知事】失礼しました。ごめんなさい、では、ちょっと正確に訂正します。一部の報道で出ていたのと、たまたま、両方2件だったので、ちょっと私がきちんと説明しなくて申しわけありません。
 旭化成建材が国に対して出したデータの356件の中で、その社員が扱った2件というのがありました。これについては、まだ分からないということでありまして、これはまだ情報が来ていないということです。それで、一部の報道でありました、2つの都立の施設については、これは都の方で旭建材が施工したものを調べている過程で、この安全性の確認ということがあったので、ちょっとそれは大変失礼いたしました。
 ですから、先ほど国に対して情報をくださいと言った中にまだ入っていて、旭化成建材が言った2件とは違いますので、それはちょっと、大変申し訳ありませんでした。訂正しておきます。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)


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