
舛添知事定例記者会見
平成27年6月12日(金曜)
14時00分~14時32分
知事冒頭発言
1 葛西臨海水族園におけるクロマグロの導入について
【知事】私の方から3点、申し上げます。
最初は葛西臨海水族園ですが、マグロ大水槽の展示を回復するということについてお知らせいたします。
残念ながら、マグロは1匹だけとなってしまった大水槽ですけども、ずっとご説明していますように、これまで3月から4月にかけて、マグロと異なるアカシュモクザメ、それからタカサゴを入れる、これは別の種類の魚で結構強いということで。それから、今度は5月にはサバ科のハガツオとスマを入れて、少しずつ環境を整えていきました。スマが導入直後、壁にぶつかるというようなことで、なぜぶつかるか分からないのですけれども、それで死亡ということが続きましたけれど、その後、大量死になるような兆候がない。で、ここ2週間は落ち着いているということであります。
そこで、いよいよマグロの登場ということで、6月21日に全長80センチメートルから90センチメートルぐらいの小さいサイズのクロマグロを約80尾導入する予定であります。
それで、今後も慎重に飼育を継続しまして、順調にいけば1、2年後には全長が約120センチメートルから150センチメートルのクロマグロが群れをなして泳いでいる、こういう姿がごらんいただけるようになると思いますので、そういう方向で全力を挙げて飼育をしていきたいと思っております。
この件の詳細につきましては、建設局の方に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
2 「外国人おもてなし語学ボランティア」受講者募集について
【知事】2点目です。「外国人おもてなし語学ボランティア」育成講座の本格実施についてお知らせをいたします。
この「外国人おもてなし語学ボランティア」というのは、観光案内等を行う観光ボランティアとは異なりまして、ボランティアの方々が日常生活の中で困っている外国人観光客に気軽に声をかけて、道案内とか切符の買い方など、英語で簡単なコミュニケーションを行うと、そういうものであります。
この育成講座では、道案内などで使える簡単な英語の表現を学ぶほか、慣習の違いを踏まえた外国人とのコミュニケーションのとり方などについても学んでいただきたいと思っています。先般話しましたように、2月にトライアル講座を実施したのですけれども、定員72名のところに、その約40倍の2900人の応募がありまして、都民の皆様の関心の高さが伺えます。2019年度までに3万5千人を育成する予定でありますけれども、前倒しで目標を達成できますよう、今年度は約5千人の育成を進めていきたいと思っております。
今月23日から募集を開始しまして、来月以降、育成講座をスタートさせます。本格実施となる今年度からは、区市町村や企業・団体等との共催方式も取り入れまして、都内各地で育成講座を開催していくとともに、講座修了者には都立施設などで活動する場を提供していきたいと思っております。多くの皆様に講座に参加いただきまして、外国人おもてなし語学ボランティアの輪を広げることで東京のおもてなし精神を世界に発信していきたいと思っております。
この件は生活文化局の方に詳細については聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
3 第4回東京圏区域会議の開催について
【知事】3番目はお知らせですけれども、来週の6月15日(月曜日)ですけれども、いつもやります国家戦略特区の、今回で第4回の東京圏区域会議を開催し、新たなプロジェクトを認定する区域計画を取りまとめることになりましたので、お知らせいたします。月曜日です。夕方になると思います。
今回、都としては、都市再生・まちづくりや医療の分野などにつきまして、多くのプロジェクトを区域計画案に盛り込んでございます。また、都内全自治体への国家戦略特区の指定区域拡大について、早急に実現するように国へ要請を行います。詳細につきましては、月曜日のこの区域会議の後に、またいつものようにご説明をしたいと思っております。
質疑応答
【記者】幹事社NHKの椿です。幹事社から2つ、お尋ねします。
1つ、マグロですけれども、原因については分からないままいってしまうということもあるのか、それとも一定の原因としてまとめるまで、やはりやっていくのか、そのあたりはどうなのでしょうか。
【知事】原因、ずっと調査していますけれど、分かりません。引き続き研究は続けますけれども、先ほど申し上げたスケジュールに基づいて、マグロの飼育、そして皆さんにお見せするということを始めたいと思っています。なかなか死因の特定ができないというのは非常に残念ですけれども、今の状況はそういうことです。
【記者】分かりました。
【記者】最後、1点。昨日発表になった高校入試の採点ミスですけれども、今年も1000件を超えるミスが見つかりました。これの受けとめと、今後の再発防止に向けてどうしていくのかというところ、知事のお考えを。
【知事】かつてご説明申し上げましたように、マークシート方式を導入するということで、人間が見ていると人的なミスが起こりやすいので。マークシートというのは、これは基本的にそういう問題がありませんから。その結果、幸い、合格していたのに落とされていた人を追加合格するということを、この前やりましたけれど、そういうことはなかったというのは、これは良かったと思っています。ただ、今、ご指摘のように、そういう前進はありましたけれども、誤字脱字の見落としとか小さな採点間違いがかなりありましたので、更なる、再発防止、改善策というのを今後ともとっていきたいと思っております。
【記者】東京MXテレビの風戸です。オリンピックの競技会場の件で伺います。先日、IOCで、理事会で8競技が了承されました。知事が見直しを表明してから1年がたちまして、ほとんどの会場が決まったわけですけれども、今回のこの決まったことを受けてのご所見を、まず伺いたいと思います。
【知事】いつもご説明してきましたように、IOCとしても、昨年の12月のモナコの臨時総会で、やはり財政的にコンパクトであることが一番コンパクトの神髄であるということで、そうしないと、もうお金かかり過ぎてオリンピック開催に手を挙げる都市がなくなるという危機感があったわけですね。それで、もう東京以外の都市でも構わんと、場合によっては外国でもよろしいというところまで極端におっしゃった。しかし、それはおのずと一定の良識的な範囲というのはあると思いますので。それで見直しを行った結果、主として近隣、神奈川、埼玉、千葉、こういうことを主として、少し離れたところもあります。けれども、大体いい方向に来ているというふうに思っていますので。しかももう一つは、やはり、もちろん東京で開きますけれども、オールジャパンでやることなので、サッカーなんかの競技を見ても分かりますように、予選では各地でやりますから、やはり日本国民皆が盛り上げていくという意味では、その意味でもプラスということだと思います。ただ、遠隔地において選手をどのように移動させるか、宿泊はどうするか、これからこういう問題を解決しないといけないと思いますけれども。私どもが無駄を排すということで競技施設の見直しをやったと、そういう方向でIOCもいこうということになったということで、大変建設的な方向に前に向いていると思っていますので。あと2つばかり残っていますけれども、これは組織委員会ともよく協議をしながら、一番いい方向を今後とも見つけていくように努力したいと思っています。
【記者】コンパクトということですが、当初の、距離的な面では静岡の自転車がまだ決まっていなくて、競技団体が反発している面もあるようですけれども、コンパクトということであれば、距離的な面よりも財政的な面が優先されるということでしょうか。
【知事】いえ。もちろん距離的な面もあります。もちろん当初は選手村から8キロメートルというようなことでありましたけれども、それもあるけれども、コンパクトというのは財政的な意味もあるでしょうということで。それで、要するに、8キロメートルというのは30分以内に移動できるということですから。いつも私が申し上げるように、例えば時速100キロメートルで行ったとすると、100キロメートルで1時間ですから、50キロメートル先に離れていても計算上は30分で着くことになりますね。だから、8キロメートルという目安はありますけれども、アスリートファーストで選手が疲れないように移動できる。ホテルに泊まって、前の日から泊まるということもあり得ると思いますので。全て思い通りに完璧にはいきません、予定どおりには。財政的な要因があったり、いろいろな地理的な要因があったりする。そういう中で、皆が少しずつ我慢し合って、一番いい方向というのがオリンピックのあり方だと思いますから。今後ともそういう方向で努力したいと思っています。
【記者】すいません。あと1点、話は変わるのですけども、お願いします。全国で、去年生まれた赤ちゃんの数が最少になりました。東京都の出生率っていうのが1973年以来最下位で、これをまた更新したと。一昨年よりは持ち直したけれども、依然低い状況が続いている。この状況を、元厚生労働大臣の舛添知事はどのようにお考えでしょうか。
【知事】いろいろな原因があって、これは皆が知恵を働かせてその原因を突きとめて。そして、例えば子供を持つことに対する障害があれば、それを1つ1つ乗り越えていく。今、地方創生会議の石破大臣とも先般も隣接の県の知事と話をしましたけれども、若い女性が東京に出ていくのだと。東京に憧れて出ていくのだと。その女性が子供を産まないのだと。だから、東京に女性をやっちゃいかんと。極端に言うと、そういうような。だから、地方に行けという話をなさるのですけれど、これはいろいろな要因があって。それぞれの皆さんが女性も男性も自由な生き方ができる訳ですから、子供を作らないというのも選択肢だし、たくさん作るというのも選択肢だけれど、例えば2人、3人、4人って作りたいときに保育所が足りないとか、やはりワーク・ライフ・バランスで無理だとか、女性が活躍できる場所がないとか、いろいろな問題があるわけですね。だから、本人の意思に反して社会的な条件でそれが阻害されるようならば、それは政治の力で取り除いていかないといけない。だから、保育所を一生懸命作るということもそうでしょうし。それからやはり、女性の働き方だけではなくて、男も含めて皆の働き方を少し変えないといけないとか、いろいろあると思うのですね。ですから、相当時間がかかる。今日やって明日って効果が出るわけではないですけれども、少しずつそういう対策を取り込んでいって、東京は率先してやりたいと思っています。
【記者】テレビ朝日の北本です。新国立に関係して何点かお伺いしたいのですが、まず、先だっての講演で少し述べられていましたけれども、文部科学省の方で、特別立法の上、検討されているということについて、知事、憲法上の疑念についてブログなどで表現されていましたけども、この点について改めてちょっとご説明お願いしたいのですけど。
【知事】私はずっと憲法を勉強してきたもので。これは憲法の規定で、国会で法律を作るときに、ある1つの地方自治体のみを対象にした法律を作る場合には、そこの地方自治体に住んでいる住民の過半数の住民投票で賛成がなければ、法律を制定することはできないと憲法95条は定めています。したがって、今の法律では50億円ぐらいしか東京都は拠出できませんということを私が申し上げた1つのお答えとして。では、法律作りましょうか。でも、どういう内容の法律か何も聞いていません。どういうプロセスでやるかも聞いていませんので。さっと聞けば、50億円以上、500億円ぐらいを拠出させるための根拠となる法律を作るということなので。その法律の書き方というか、法律の制定の仕方なのですが、それが東京都のみを対象にして、現実的に東京都に出しなさいと言うから。そうすると、この95条の規定がありますので、そのことはご理解した上でそういうご提案なさっているのですかという問いを投げかけたという次第でありますので、そこから先は国権の最高機関が95条を念頭に置いた上で、95条に抵触しない形で、ないし95条に沿った形で制定なさるかどうかは、それは国会の仕事だと思いますけれども、すぐ私はその95条を念頭にぱっと、その発言聞いて浮かんだので、一応そのことは、皆さん、中学生以上は日本国憲法を学んでいるはずですから、是非もう一遍95条をお読みくださいということです。
【記者】あと、今朝の下村大臣閣議後の会見の中で、現行法でもJSC法の規定に基づいて、東京都が新国立の費用を負担することは可能であるというような発言をされてるんですけども、これについてどのようにお考えなのか。JSCにお金を拠出するということになりますと、当然、費用が大きく膨らんだときは応分の負担、あるいは新国立できた後もですね、運営に支障が生じた場合、応分の負担とか追加的な負担の話とかも出てくる可能性もあると思うんですけども、このJSC法の規定に基づいた出資と、あるいは費用の拠出というのは、都としてはどのようにお考えなんでしょうか。
【知事】私は何にも説明を受けてないので。ですから、そういうところまでおっしゃるのならば、これが法案ですよと、こういう形でやりますよとおっしゃっていただかないと、答えようがないのです。ですから、要するに、そういう方針できちんとやって。今の北本さんのご質問は、私に対してやるべき質問ではなくて、文部科学大臣に対し、法案の中身見せてくださいと、おっしゃってください。都庁の記者クラブではなくて、テレビ朝日の文部科学大臣担当の記者さんにきちんとそのことを説明させていただくと。そのお答えが出れば、私もその答えを見てコメントができますけれども、いかんせん、中身について聞いてないものですから、それ以上のことは答えようがないというのが今の状況です。
【記者】雑誌記者の中島みなみです。すみません。厚労相を歴任された知事に東京都監察医務院のお話をお聞きしたいと思っております。厚労省の様式にはない文言がですね、監察医務院の死体検案書の中には書き添えられてます。解剖の欄に行政解剖か司法解剖かの二択を選ぶようになってます。また、同院はですね、そのときの司法解剖に回した場合は、死因を不詳とするというのがですね、監察医務院のスタイルであるというふうに言っております。東京都監察医務院というのは東京都の団体であり、司法解剖を決めるのは刑事訴訟法に基づいた捜査当局になるわけですけれども、同院の本来業務というのは死因を明らかにすることなので、こういったような形で他の団体の判断を裏書きするような死体検案書というのは、行政上の誤解を生ずるものではないでしょうか。
【知事】他の団体の判断を裏書きということがどうかということなのですが、これ、中島さんの方に既に福祉保健局から、るる説明があったと思いますし、何らかの法的な瑕疵があるということなら非常に大きな問題となると思いますけれども。監察医務院というのは法に基づいて処理する仕事ですから、それはやっていると思いますので。これ以上細かい点は、もう一度福祉保健局の方から、皆さん、ほかの方もおられるので、聞いていただければと思います。
【記者】もう1点だけ、すみません、お願いします。監察医務院の50年史の中に、青島都知事がですね、こんなふうに書いてます。宿命とも言える人間の死に際して、死者の権利を守り、ご遺族からの死の原因は何かという疑問に答えるという困難な責務を担うのが監察医の方々であり、都においてこの責任を負っているのが東京都監察医務院でありますと。不詳の死という、検案書というのは1回しか出ませんから、司法解剖に回された場合、その原因というのは遺族には知らされないのが普通です。そうなると、死体検案書に不詳といったことを書くというしきたりがですね、青島都知事ではありますけれども、都知事の言うような監察医務院の目的に合致しているのかどうか、この辺は知事としてお考えを。
【知事】それはね、いわゆる死体の検案以外に、病院で亡くなりますね。そのとき、医療ミスなのかどうなのかと、私が大臣のときも、これ、もう非常に議論があって、患者さんの立場から見ると、ちょっとあの医者、ミスしたんじゃないかと。ところが、お医者さんの立場から見ると、全力を挙げてやったのだと、それで訴えられるというのは何だということで、福島の大野病院の産婦人科医のケースがありました。
ですから、こういう問題を第三者含めて、弁護士も含めた大きな委員会で、どうやるかというので、もういろいろな試行錯誤をやって、病院自体もそういうきちんと死因究明委員会を作る。だけれど、患者さんから見たら、病院に任せたと病院が嘘ついているのではないかというふうになりますね。不信感がありますね。では、全く外に作りますかと。三権分立で司法の世界ですから、最後は法律、つまり司法の判断に行く。しかし、お医者さんから見ると、では、裁判官はどこまで医療を分かっているのということになってしまうので。今でも、これ、私は解決策ができていないと思いますので。今、中島さんがおっしゃったような問題意識というのは、死因の究明ということについて、今言ったいろいろな対立とか、難しい問題があると思いますから。今後、何らかの形で東京都もかかわることですから。
ただ、これはやはりね、東京都云々というより、今言ったように大きな国民全体で、死因に対しての究明というのは、基本的には厚生労働省ですけれども、それに医療関係者、弁護士、そして患者。私がいつも注意していたのは、一方に偏らないと。だから、お医者さんの言うことを聞くけれども、患者さんの家族、大事な娘を失ったのだと。医療ミスだと思う、どうだと。そちら全然聞かないで、お医者さんの話ばかり聞いていたのですよ。それで、患者さんが、もうメールや何かで、お前のせいだみたいに、患者さんがやられるということがあったので。だから、患者さんの話も聞いて、あ、なるほどなということで。私が現場に立ち会ったわけではないので原因は分かりませんけれど、監察医務院だけの話ではなくて、死因の確定というのをどうするのかという大きな問題が背後にあると思いますので、そういう問題も念頭に置いていろいろ考えてみたいと思います。
今回の件については、少し福祉保健局の方からの説明の繰り返しになると思いますので、それでよろしくお願いいたします。
【記者】週刊金曜日の永尾です。すみません。日の丸・君が代の問題で質問したいんですけれども、5月25日の月曜日の日にですね、都立高校の元教師22人の方々が卒業式などで君が代のときに不起立をしていたということを理由にですね、都に定年退職後の再雇用を拒否されたという問題があって、その東京地裁の判決が出ましてですね、都が裁量権の逸脱・濫用で損害賠償を命じられたと。また、同じ週の28日の木曜日にはですね、2人の都立学校の元教師が、やはり不起立を理由にですね、停職処分にされたことの取り消しを求める裁判の判決が、これは東京高裁の方でありまして、やはり裁量権の逸脱ということで慰謝料をですね、認めるというふうなことになりまして、要するに1週間に都が2回も敗北をするという異常な事態になっていましてですね、それで伺いたいんですけれども、再雇用拒否の裁判の方では、不起立を理由にですね、再雇用を拒否したということが思想・良心の自由の間接的な制約になると。それから、2人の元都立学校の先生が処分の取り消しを求めた裁判では、都が今、機械的にですね、不起立1回目では戒告、2回目では減給というふうな形で、4回目で停職というふうな形でですね、機械的に累積加重処分をしているのが思想・良心の自由を侵害するとまで判示しておりまして、やはりここまで裁判で判示された以上ですね、このような機械的累積加重処分はやめるべきだというふうに思うんですけれども、この点、知事のご見解を伺いたいということと、あと、すいません、もう1点、これまで2003年から474人の方が、教師が、延べの数なんですけど、処分されておりまして、その処分された方々は話し合いでですね、解決したいということを望んでいらっしゃるんですけれども、その点について、以上2点、知事のご見解を伺いたいんですが。
【知事】裁判結果、これは控訴含めてどうするか、今、教育委員会中心にやっていると思いますので、そこに触る部分は申し上げないようにしますけれども、一般的に、国権の最高機関が法律を作っているわけですね。国旗日の丸、国歌君が代ということで。だから、公務員でありますから、当然それを守らないといけないという義務があると、これが1つ。
ですから、我々は、憲法のもとにつくられた法律は遵守しないといけません。その上でどういう形の処分をするのですかということは、どこまでが裁量権の範囲であって、適当であるかどうかということについては、これは議論があって、それは判例によって是正されたり、またそうではない形で控訴したりというのはあり得ると思います。だから、これは思想の自由の侵犯だみたいな形では簡単にいかないというふうに思っていますので。国旗国歌法自体が、それでは憲法違反なのかと、こういう議論にもなるので。そこは私は国権の最高機関が決めたことなので、今言った問題点があるとしか申し上げません。
それで、処分について言うと、それはそういうことも含めてなので、これは司法の判断をどういう形で考えていくかという問題に尽きると思います。
【記者】すみません、ちょっとその点、知事が誤解されていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、国旗国歌法というのは、単に国旗をこれにします、国歌をこれにしますということが決められているだけで、歌わなきゃいけないとかって、そういうことは全く触れられていないんですね。
【知事】いや、しかし、そこは、国歌って歌うから国歌ではないですか。そうでしょう。だから、そこまで言うと、それは屁理屈の世界になってしまうので、私はやはり国権の最高機関で決められたものは守るべきだと思っています。
【記者】いや、歌えって、これは制定の過程でですね、当時の総理大臣とか官房長官なんかも強制してはいけないということは明言していらっしゃるんでですね、今、その制定。
【知事】いや、しかし、それはね、私も、法律も制定過程も知っていて、なぜあの法律ができたかとかいうのは。たくさんの校長先生が自殺しているのですね。こういう面も片一方であるのです。だから、片一方だけにかかわる訳ではないので。だから、今、私が言ったことが答えなので。それで、あと、議論すれば切りがありません。時間も限られていますので、私の答えはそういうことだということです。
【記者】話し合うというおつもりはないでしょうか。
【知事】今、まさに判決について、教育委員会を中心に精査している状況なので、今の段階で私が判断を申し上げるのは適切でないと思っています。
【記者】1つの裁判については、もう既に控訴しちゃっているんですけども。
【知事】いや、だからもう1つありますね。
【記者】はい。
【知事】ですから、そういう意味で、控訴してでも、なお、その次の判決を待たないといけないのに、司法判断に行政の長が、行政といっても、他の行政ですけれども、口を差し挟むべきではないというのが三権分立上の私の立場です。
【記者】都政新報の河井です。今週の、都議会の所信表明で、新国立問題について、知事、議会へ説明されました。来週から代表、一般質問が始まります。そこで都議会とどういう形で連携していけるというふうにお考えでしょうか。あと、知事与党の自民党、公明党さんと何かこの件でどうやって国に対抗していくかといったような連携といいますか、そういった動きというのは、何かあるでしょうか。
【知事】まだ質問されていないので、質問されてからお答えをしたいというのが今の状況であります。
昨日、外での講演でも申し上げましたけれども、とにかく500億円ものお金を都民に拠出しなさいというのは、それは納税者、一生懸命働いて皆さんが支払っていただいている税金ですから。私の最大の責務は、都民の生命と財産を守る、ということは1円たりとも無駄させないという立場であるということと、もちろん2020年の大会を大成功に導きたいので、私も率先して都民と、都民も皆率先して協力をいたしますよということを申し上げている訳です。これ、皆そうだと思いますよ。
ただ、総工費が幾らになるか分からない、本当に間に合うかどうか分からない、だから情報を下さいと言って待っている状況ですから、昨日も申し上げましたけれども、何か都知事と文部科学大臣が泥仕合してけんかしていると、どこかの国会議員が「けんかしている」という発言を国会の場でも使ったけれども、やはり表現というのはしっかりしてもらいたいので。けんかをしているんじゃないのです。私の立場で都民を守るために、そして2020年大会を成功させるために、当然の要求を出していて、その要求がまだ来ていませんね。今朝の大臣の会見では7月にずれ込むかもしれないということもおっしゃっているので。私の立場は、ひたすらそのお答えを都民とともにお待ちしていますよということなので。もちろん議会はまだ質問もされていませんですから。だから、そういう基本をしっかりやって、おもしろおかしく泥仕合やっている、けんかしているとか、偉い方でそういうことをおっしゃる方もおられますけれども、是非記者の皆さんはしっかりした、正しい表現でやっていただかないと、本当の原因が間違うことになると思います。
そして、しかし、私は、公の場で、当事者意識がないとか、いろいろ批判されたら、それは公の場で言われることに対しては、都民の代表ですから、公の場で一番当事者意識を持っていますよと、危機感なければこんなに指摘しませんよということを冷静に申し上げている訳でありますので。どうかそういう、間違っているなら間違っているとおっしゃっていただければいいけれども、私のところから、都民の皆さんからあなたの言うことは間違っているという電話の、投書やメール、1つも来ておりません、ということを申し上げまして、時間来ましたので終わります。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)