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舛添前知事「知事の部屋」

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記者会見

平成27年3月10日更新

舛添知事定例記者会見
平成27年3月10日(火曜)
14時00分~14時32分

知事冒頭発言

1 「都内戦災並びに関東大震災遭難者春季慰霊大法要」「東京都平和の日記念式典」について

【知事】私の方から何点か申し上げます。本日、3月10日は「東京都平和の日」であります。今から70年前、東京は激しい空襲に見舞われまして、約27万戸の家屋が焼失し、10万人もの尊い命が奪われました。毎年、東京都慰霊堂で行われております「都内戦災並びに関東大震災遭難者春季慰霊大法要」に、今年も参列いたしました。本日は、秋篠宮同妃両殿下、安倍首相ご臨席のもと、尊き御霊のご冥福をお祈りしてまいりました。
 その後、都庁第一本庁舎大会議場で開催しました「第25回東京都平和の日記念式典」においてご挨拶をさせていただくとともに、東京空襲で被災された方の貴重なお話を伺いました。つい先ほどのことです。戦後70年という節目を迎えまして、これまで先人達が築き上げてきた平和の意義を確認し、東京都の責任者として、今後も次世代に引き継いで行く責任を改めて感じたところでございます。

2 北区に所在する高齢者向け住宅の老人福祉法に基づく有料老人ホームとしての認定及び立入検査について

【知事】第二点目ですが、老人ホームの件です。先般報じられております北区所在の高齢者向け住宅に関しまして、本日、東京都として老人福祉法に定める有料老人ホームに該当すると認定いたしましたので、お知らせいたします。都では昨年11月より、この高齢者向け住宅の実態を調査してまいりました。その結果、本件高齢者向け住宅は有料老人ホームであると認定し、「設置者」については特定の一法人に限ることなく、医療法人社団岩江クリニックら関係者とすることを決定しました。本日、医療法人社団岩江クリニックら関係者に対し、老人福祉法に基づく有料老人ホームの設置届出を都に提出するよう文書を渡すとともに、立ち入り検査を実施しております。この件、詳細につきましては、福祉保健局に聞いていただきたいと思います。

3 「がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援ハンドブック」の作成について

【知事】続きまして、「がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援ハンドブック」を作成しましたので、お知らせいたします。がんは、国民の2人に1人が罹患する時代でありまして、現役世代にも多くのがん患者がおりますけれども、医療技術の進歩によって、がんを抱えながら生活し、働き続けることができるようになってきました。しかし、治療と仕事を両立する上で、治療の状況に応じた柔軟な勤務ができないことなど、困難を感じているがん患者も少なくありません。そこで、昨年度、がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援に関する実態調査を実施したところ、多くの事業主や人事・労務担当者から、「必要となる就業上の配慮」や「他社の取組事例」を知りたいとの回答がございました。この結果を踏まえまして、事業主や企業の人事・労務担当者向けに、治療と仕事の両立支援のための取組やポイント、さらに、従業員から、がん罹患の申告や相談があった際など、企業における実践事例を掲載したものでありまして、こういうハンドブックは、全国で初めての試みであります。見ていただくとわかりますけれども、いろいろな例について、どういう形で仕事と治療が両立できるのかというようなことが書いてあります。
 これを10万部印刷して、都内の企業等に配布するほか、都のホームページにも掲載して、誰でも見られるようにいたします。今後、企業において、がん患者である従業員が働きやすい職場づくりに取り組む際の一助としていただければ幸いだと思います。詳細は福祉保健局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

4 メディア等を活用した認知症の普及啓発の実施について

【知事】四番目の点ですが、より多くの都民の皆様に認知症について正しく理解していただくため、新たなポスターや映像広告を作成しましたので、お知らせいたします。ご記憶だと思いますが、これまで「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を盛り込んだ普及啓発用パンフレット「知って安心 認知症」を作成し、大変好評でしたので、新聞折り込みも行いました。こういうことで、認知症についての理解の促進を図ってまいりました。
 今回の映像広告やポスター、テレビキャスターとして活躍中の草野仁さんにご出演していただいております。認知症は、相談できる。認知症は、誰でもかかる可能性がある身近な病気で、65歳は15%認知症だと言われている。早期診断、早期治療が必要ですということで、このポスターを電車やバスの中吊り広告として、来週16日から貼り出します。
 (映像広告は)JRのトレインチャンネルなどで23日から放映を開始いたします。映像広告につきましては、16日から都のホームページ等でも閲覧できるようにしますので、是非ご覧いただきたいと思います。
 なお、映像広告の放送開始に合わせまして、20日に、ご出演いただいています草野仁さんとの対談を行うこととなっております。今後とも、こうした認知症の普及啓発の取組をはじめ、様々な認知症施策の充実を図っていきたいと思います。詳細は福祉保健局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

5 「家具の転倒防止器具」に関する商品テスト結果について

【知事】最後ですが、これは地震対策の一つなのですが、「家具の転倒防止器具」に関する商品テストの結果についてお知らせをいたします。都では、商品にかかわる事故を防止するため、様々な商品の性能や安全性についてテストを行っております。明日は3・11で、東日本大震災から4年目になります。これを機会に、ご家庭において防災の取組を的確に進めていただくため、家具の転倒防止器具の性能について調査をいたしました。
 いろいろな器具が売っていますが、一般に普及している7つのタイプの商品について、震度6強の地震波を使ってテストしましたら、残念ながら、全部倒れてしまったということでした。
 次に震度6弱の地震波でテストしたところ、わずかに移動したが、移動しただけで転倒しないものもあった。そこで一つだけではなくて、複数の商品を組み合わせ、震度6強でやったところ、これは効果があった。(映像上映)
 今回のテストで、家具の上と下、両方を組み合わせると効果があるということなので、この結果を参考にして、今から家具の転倒防止をやる時には、例えばこういうことです、という啓発を行っていきたいと思います。詳細は、生活文化局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

【記者】幹事社の方から一点お伺いをしたいと思います。東京大空襲と平和の日についてなんですが、平和の日については、各国の大使の方々も参列されて、参列をされたと思うんですけれども、東京大空襲についてですね、何ていいますか、その状況とか様子、またもしくは被害についてですね、意外と海外に知られていないということがあると思うんですけれども、知事はこの点についてどのようにお考えでしょうか。もう少し海外に発信する必要性があるとかですね、日本がこういう立場でこういう姿勢でこのことを受けとめているとかっていうのをですね、海外に知らせる必要があるのかどうか、この点についてお願いいたします。

【知事】どうしても昭和20年、終戦の日ということになると、広島、長崎の原爆、これはもう圧倒的に人類史上大きな出来事でありますので、これが世界に広まっています。それとの相対性ということでは、十分な広がりがないと思いますので、今日外交団の皆さんに来ていただいたのも、これは是非、そういう世界に対する発信を手伝っていただくためということもあります。
 ドイツの例だと、ドレスデンの大空襲という、ものすごいのがありましたけれども、これは結構発信されている。今日、いろいろな映像で日本のテレビ各局も放映していると思いますし、今後とも外に向かってこういう戦争の悲惨さというのを、10万人の方が亡くなるわけですから、亡くなった方にとってみれば、原子爆弾で死のうが、焼夷弾で死のうが、命を奪われることは変わりない訳ですから。そういう重みについて、これからも啓発活動、広報活動をやっていきたいと思っております。

【記者】BS-TBSの竹澤と申します。東京大空襲に関連することですが、先日の会見でですね、凍結された平和祈念館建設構想のように、都として東京大空襲の資料や証言を保存してですね、保全する施設の建設の有無について質問させていただきましたが、その際、知事から、いろいろな歴史観があるので、都として施設をつくるのは難しいと。イベントなどを通じて体験を語り継ぎたいと回答いただきましたが、広島、長崎、沖縄と行った場所ではですね、このような様々な歴史観のある中でも行政が施設をつくっていると。なぜ東京都ではつくることができないのかというのをまずお伺いします。

【知事】この前、十分説明しませんでしたけれども、平和祈念館については、平成11年に、都議会の合意を得た上で実施することという付帯決議がなされているので、都議会の合意がない限りはできないという仕組みになっております。
 そこには直接触れなかったのですけれども、都議会の中でもいろいろなご意見があって、今までのところ合意に至ってないということを、実はこの前、もっとはっきり申し上げれば良かったのですけれど、そういうことであります。都議会も都民の代表が集まっている。私も都民から選ばれた。そういう二元代表ということで、建設には都議会の合意が必要で、今のところ得られてないというのが事実であります。

【記者】あともう一つだけ。平和祈念館に展示するために集められた330人の証言ビデオについてなんですけれども、祈念館構想の凍結でその東京大空襲体験者の証言をですね、収録したビデオの一部、イベントなんかでは一部公開されていますけども。東京大空襲というのは10万人を超える被害者を出しながらですね、資料が非常に少ない上に、体験者の多くは80歳の高齢となっている。その証言は非常に大切だと思うんですけれども、なぜこの証言ビデオを公開しないのか。また今後、いつでも誰でも見られるように公開するお考えがないのか、その点をお伺いします。

【知事】基本的には、先ほどの件と関係するのですけれども、今おっしゃられた330人の証言ビデオは、平和祈念館で活用するという前提で集められたと聞いております。そうすると、平和祈念館が建設されない段階で、どういう方針で使うのかが定まらない。だから、平和祈念館ができれば、それはその中で活用方針が決まります。
 今おっしゃっていただいたように、個々の証言をなさった方で、どんどん活用してくださいとおっしゃっている9人の証言は、いろいろ使わせていただいていますし、先ほどの式典でも、渋谷で被災された方がどういう体験だったというのを語っていただいて、去年もまた別な方が語っていただいた。おっしゃるように、だんだん皆さんお年を召されていっているので、お元気な方々に子供たちに向かってそういう話をしていただきたいと思いますので、都としてもそういう機会はなるべくつくりたいと思います。
 ただ、集めたビデオについては、今言った平和祈念館での公開の目的ということがあるものですから、議会の縛りが非常にあるということで、いろいろこの悲惨な体験について風化しないように、都としても努力はしていきたいと思っております。

【記者】共同通信の船木です。空襲被害に関連してちょっとお尋ねしたいんですけども、空襲被害者の方たちの中にはですね、やはり軍人、軍属などに対する補償があるのに、自分たちにはないという考えをお持ちの方も結構いらっしゃってですね、救済の立法を求める声というのもあります。これは国に対して求めているところであるんですが、都内の空襲犠牲者の方たちも多く参加されている動きなんですけれども、そういった立法の道筋が、なかなか見えないという、救済法の道筋が見えないという今の現状について、どのように思いますでしょうか。

【知事】戦時国際法という国際法の大きな枠組みがあって、軍人に対する扱いと、そうでない一般市民との扱いがそもそも異なっている訳です。だから、そこをどうするのかというのは、例えば法律学者的に見てもそう簡単な答えは出ないだろうと思います。
 国によって徴用され、兵隊さんとして出ていった人と、例えば東京にいて、米軍の空襲においてやられた。誰に責任があるのですかということであって、そうすると、戦争責任論のような所まで行ってしまうので、やはりどこかで線を引かないといけないということで、今の制度ができているのだと思います。私の理解している限り、国際法まで含めて、大きな法律体系全体を変えないといけないことになるし、戦争責任論みたいなことにも発展すると思いますので、相当な議論と法律的な裏付けが必要だというのが私の感想です。

【記者】NHKの馬渕です。先ほども出ました平和祈念館について再度質問したいと思うんですが、この平和祈念館の建設に先立っては、先ほどもあった証言ビデオの他にも、遺族あと体験者の方々から5千点以上の遺品などが集められていると伺っています。で、こちらはですね、1年に数日、一部だけが公開されているというような状況で、ほとんどが倉庫で眠ったままとなっています。
 で、そこで三つ質問があるんですが、まず、知事はこの状況について好ましいと思っていらっしゃるのかどうか。
 で、二点目が、建設が凍結されたいきさつには、展示内容をめぐって意見が対立したといういきさつがあったかと思うんですが、遺族の中には、やはり悲惨な体験を後世に伝えていきたいという思いで提供したのに、いつまでたっても公開されていないというような思いがあって、複雑な思いを抱えています。そして、提供した遺族たちも高齢化して亡くなった人たちも出てくる中で、今後、集めた資料をどのように扱っていくのか。知事のお考えをお聞かせください。
 あと、最後に、先週の会見で、展示内容等については研究者や学者の研究に委ね、側面から援助したいというふうに知事はおっしゃっていたんですが、具体的にどんな支援を考えているのか、具体的に教えていただければと思います。

【知事】船木さんの質問とも若干関わりがあるのですけれども、先の3月10日の大空襲についてもそうなのですけれども、何故議会の中で建設凍結というような話になるかというと、やはり歴史観なのです。戦争責任論をどうとるかということなので、それについて非常に論争はあるのですけれども、ある程度、皆のコンセンサスで、こういうものはもっと展示して良い、こういう証言は出して良いのではないかというところに落ちつけないのかというのは私の率直な感想であって。
 私も広島、長崎には何度も行っています。それで、爆風で焼きただれた衣服の残りとか、ガラスが曲がったやつとか鉄が曲がったやつというのがあります。これは客観的な事実としてそこにある訳ですから、原子爆弾の惨禍がこんなに酷いものだということを示すことができます。そういう観点。だけどその後に、あの戦争を起こしたのは誰なのだ。原爆を落としたアメリカが悪い。そうすると、いや、戦争を始めたのはどちらなのだと、こういう議論になってきてしまうので、どこかで線を引かないといけないのだろうと思います。私は、あまり戦争責任論とか、そういうところまでいかないで、先ほどの証言であれ、物であれ、事実としてあるものという展示をするというのは悪くないのではないかと思っています。ただ、これはあくまでも都議会でしっかりと議論をしていただきたいので、私の方から都議会に対してこうしろ、ああしろという話ではないので、都民の代表として、都議会でしっかりとこの提案は議論していただきたいと思っております。
 学者、研究者というのは、いろいろな立場から物を見ることができるので、これまた難しい話になりますけれど、歴史というのは解釈の問題というのが非常に大きい訳で、一つの資料をどう解釈するか、様々な解釈の仕方があり得る訳です。だから、本当はしっかりとした歴史論争をやることが必要なのですけれども、それをやっていると永遠に展示ができなくなりますから、例えば今日お話ししたように、70年前の3月10日の未明に何百機もB29が来て焼夷弾を落とした。それで焼け野原になりましたという、焼け野原になっている様の写真というのは、別に何のイデオロギーもなく見せることができるし、その時に小学生だった方が生きておられて、いかに逃げ惑ったかということを話しても、別にそれは何の問題もないと思います。だから、先ほどおっしゃったように、風化したり、物がなくなる前にいろいろと集めておくことが必要だと思いますので、単純過ぎると叱られるかもしれないのですけれども、あまりそういう歴史論争なしに、戦争の惨禍というものをそのまま見られるような所があって良いのではないかというのが、私の個人的な思いであります。しかし、あくまで都議会の合意が必要でありますので、是非都議会の皆さんにもしっかりと議論をしていただきたいというのが私の思いです。

【記者】TBSの松原です。明日で東日本大震災から4年ということになりますけれども、この4年間でいろいろ準備期間あったと思いますけど、今、現状の東京都としての準備など、震災に対する対策などを改めて教えてください。

【知事】やはり木造密集地域。これが非常に悲惨なことになると思いますので、これの再開発を含めて、今、全力を挙げています。それから、耐震、免震ということで建物をしっかりする。それから、首都高速を含めて老朽化したインフラを整備する。それと、9月1日にしか防災訓練をやっていませんでしたけれども、昨年から年に4回やることにしておりますので、自助、共助、公助ということで、全力を挙げてやる。それからエアハイパーレスキューを入れるということで、消防の整備もしておりますので、全力を挙げてこういう災害に打ち勝っていく街にしたいと思っています。

【記者】朝日新聞の丸山です。よろしいですか。北区の高齢者マンションでの身体拘束問題に関して、二点、お願いします。
 まず一点なんですが、先ほど知事が発表されたように、制度外に置かれていたこのマンションを有料老人ホームと認定した旨、発表されました。関与する関係者の経営の一体性を認定されたと思うんですけれども、数カ月かけての検討の中で、越えるべきハードルが幾つもあったと思います。認定に至った今のご所感を、まずお願いします。

【知事】何故それをやったかというと、最初にご説明したように、日本は法治国家ですから勝手に踏み込む訳にいきませんので、三つの法律、つまり老人福祉法と介護保険法と高齢者虐待防止法、この三つを武器として使うしかありません。そうすると、都が権限を持っている法律は老人福祉法と介護保険法なのです。高齢者虐待防止法の権限は北区にしかありません。区は介護保険法についても規定を持っています。そうすると、高齢者虐待防止法というのは北区にしか権限がないので、我々はそれを使えない。有料老人ホームと認めることによって、老人福祉法という法の道具が使え、有料老人ホーム届出義務違反ということで改善命令が出せるので、それをやった。
 ところが、答えが前後すると思いますけれども、一つの会社名で一つの事業者がやっているということが前提ですが、今回、病院とかいろいろなものが関わっている。それで、法の解釈について、三つ、四つが関わっていて、一つではなくてもグループとしてやっていると見做せば良いということで、国と折衝しまして、3月2日に国の方から、複数の法人であっても一体的に経営を行っていると見られれば、一体的な経営を行っている有料老人ホームとして認めて良いと。やっとここまで来たという感じ。それで、今日検査に入っている。老人福祉法という法律を使えるようにしたためでありまして、こういう例があった時に、今のような形で解釈して良いということになったので、前例でいけると思いますけども、必要であればその解釈を、老人福祉法にしても、いろいろな法律にしても、現状に合わなくなる、悪い言い方すると、法の網の目をくぐってやる知恵者が出てくるので、そういう人に対して、さらに法の網をかけられるように、場合によっては法改正が必要かという感じがしています。

【記者】二点目なんですが、北区さんは95人について虐待だったと認定し、今も行政指導を続けておられます。昨日、ご存じかと思うんですが、岩江クリニック側が区に再提出した改善計画書の中で、今後、一切、区の指導には協力しないという旨、表明されておられました。で、法人側がホームページで発表している文書では、必要やむを得ないと医師が判断し、きちんと適切に行っているということで、改めて身体拘束は適正だったと主張をしておられます。で、これについて、北区の判断では自分たちの主張が全面的に無視されてしまったけれども、一方、東京都の勧告では自分たちの主張に対して一定の理解をいただけたというような理解を主張しておられました。で、要は都があたかも拘束介護を是認しているような書き方をされてしまっているんですけれども、まずですね、北区に対して行政指導に従わないとしている法人側の姿勢に対して、率直にどのようにお感じになられますかということと、法人側の主張どおり、都は法人側の主張に一定の理解を示しているということで良いんでしょうかというのを、念のため確認したいと思っております。

【知事】先ほど申し上げましたように、高齢者虐待防止法は区しか権限がありません。これで虐待かということを判定して、必要な措置をとる訳ですけれども、病院側は、例えば拘束というのは医学上、しようがないことだという観点で、それが認められてないということなので、そこから先は水掛け論になって先に進まない。我々は、先ほど言った老人福祉法の網の目で検査をする。その検査の結果、やはりこれはおかしいということになれば、必要な改善をやっていく。だから、どちらの側の肩を持っているという話ではない。
 それから、昔は徘徊する老人を拘束するというのは当たり前だったけれども、今時拘束ということは時代遅れです。私は、福岡県に遠距離介護で母親の面倒を見ていましたけれども、拘束廃止宣言というのが起こって、今、拘束なんてやるというのは完全に時代遅れなのです。例えば、徘徊して出ていくということで、施設から出ていくと危ないならば、コミュニティ自体をバリアフリーにして、徘徊老人がいれば皆で助けてあげるということにすれば良い訳で、それこそが先んじたやり方であって、基本的に拘束というのはないような形でやらないといけない。スウェーデンとかデンマークとかフィンランドとか、北欧で拘束なんていう話は聞いたことがありません。やはり遅れているのだと思います。だから、そこはやはり何らかの指導ができないのか。厚労大臣をやっていたから言う訳ではないですけれども、東京都は現場に行くとかやりますけれど、やはり国の方で大きな方針を出して、そもそも拘束なんていうのは今の時代で間違っていますということを、厚労大臣がしっかりと宣言して指導するということがないと。北区以外で同じことがないですか。全国、どうですか。やはり日本全体で、人権というか、福祉というのを進めないといけないので、私自身がこのクリニックに入って一人一人の高齢者の状況、どういう手当てをしているのかを見た訳ではないですから、明言はできませんけれども、感想を言えといえば、私はそのように思っています。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)


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