
舛添知事定例記者会見
平成27年3月6日(金曜)
14時00分~14時46分
知事冒頭発言
1 広域交通ネットワーク計画の中間のまとめについて
【知事】まず一番目ですが、広域交通ネットワーク計画の中間まとめについてお知らせいたします。これまで、東京の鉄道の整備は、国の審議会答申に基づいて進められてきております。国は、現在の審議会答申が平成27年を目標年次としていることから、交通政策審議会において、来年度中に次期の答申を取りまとめることとしております。
都としても、こうした国の動向を踏まえ、今後の鉄道ネットワークについて、外部の専門家の意見を聞きながら検討を行ってまいりましたが、今回、現時点の検討状況を中間のまとめとして発表することにいたしました。
中間まとめでは、鉄道ネットワークの形成に向けて取り組むべき政策目標を四つ掲げております。例えば、目標Aでは、「高齢者を含めた誰もが快適に移動できる都市づくり」と設定して、混雑率の低下や乗り換え回数の減少などの指標から分析を進めることとしています。あと、「都市の活力の維持向上」、「災害に強く環境に優しい都市づくり」、「地域の課題への対応」というものであります。
さらに、事業性も含めて検討を行いまして、東京8号線の延伸、東京12号線の延伸、JR中央線複々線化などについて、鉄道ネットワークの強化、周辺路線の混雑緩和、沿線地域の利便性向上等の整備効果が見込まれることがわかりました。また、整備効果が高いことが見込まれる路線についても、中間まとめに記載をしてあります。
今後、さらに検討を深めまして、国の審議会の検討状況も踏まえ、来年度、東京全体の鉄道ネットワークについて、都の考えを取りまとめ、国に示してまいります。詳細につきましては、都市整備局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
2 首都高速中央環状品川線・中央自動車道「府中スマートインターチェンジ」の開通について
【知事】以前にもお話ししましたが、明日3月7日16時00分に「首都高速中央環状品川線」が開通いたします。また、15時00分には中央自動車道の「府中スマートインターチェンジ」が開通いたします。
今回、品川線が開通することになりまして、前にも説明しましたように、都心環状線の交通量が一日約5%減少することで、中央環状線の内側における首都高速の渋滞・混雑量が約4割減少するということです。
さらに、このことによりまして、新宿から羽田空港までの所要時間が約40分から約20分と半減されます。さらに、先般、3月1日に、一般の方々を対象としたウォーキングイベントを開催して、約1万4000人の方々に参加いただいております。トンネル内では、品川線全体の立体模型や、トンネルを掘ったシールドマシンの刃先を展示いたしました。さらに、火災時の水の噴霧設備のデモンストレーション、非常口などの防災設備を見学しながら歩いていただきました。多くの方から、中央環状品川線の新技術や安全への配慮に対して好評を得ました。皆さんも私について取材に来られた方は、現場に行っているはずです。
3月7日、朝9時半から、都と首都高の主催で、私と首都高速の菅原社長が出席しまして、太田国交大臣、都議会議長にご出席いただき、この開通式典を実施したいと思っています。
それからもう一つ、中央高速ですが、都内初のスマートインターチェンジとして開通する府中スマートインターチェンジは、府中市周辺や南多摩地域などからの中央自動車道へのアクセスが強化されまして、利便性向上、さらに地域の活性化といった効果が期待できます。この詳細は、建設局に聞いていただきたいと思います。
3 特別相談「若者のトラブル110番」の実施について
【知事】三番目の話題です。このたび、若者の消費者被害を防止するため、特別相談「若者のトラブル110番」を実施しますので、お知らせいたします。最近の若者の消費者被害は、SNSで知り合った人から高額な商品を買わされるなど、SNSをきっかけとするトラブルが増えており、被害に遭っても1人で抱え込む傾向が見られます。
そこで、3月は進学や就職等、若者の生活に特に変化が生じることから、若者を対象に「悪質商法被害防止キャンペーン」を行っております。来週の3月9日と10日には、東京都消費生活総合センターと区市等の消費生活センターが共同で、特別相談「若者のトラブル110番」を実施いたします。
消費者トラブルは、早く専門機関へ相談することで解決につながります。一人で悩むことなく、ぜひこの機会を活用していただきたいと思っています。
また、キャンペーンの一環として、映画館で上映する啓発CMを作成いたしました。映画を見る時の宣伝にこれが出るということで、「カモかも」というのがこのキャンペーンのキャラクターのカモで、「カモかも」を使ったCMは都内10館で3月14日から上映して、来館者にはリーフレットをお配りして、注意を促す。それからまた、新社会人に向けて、悪質商法の手口などをわかりやすく紹介した小冊子を先月末に作成いたしました。若い方々に是非活用していただきたいと思います。飯田橋四コマ劇場ということで、漫画が書いてありますので、これも活用していただいて。この件の詳細は、生活文化局に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
4 平成27年度オリンピック・パラリンピック教育推進校の指定について
【知事】四番目のテーマですが、来年度のオリンピック・パラリンピック教育推進校の指定について、お知らせいたします。これからの時代を担う子供達には、2020年オリンピック・パラリンピック大会が生涯にわたる心のレガシーとなって、進んで平和な社会の実現に貢献できる人になってもらいたいと思っております。
そのために、今年度から教育推進校を指定して、子供達は、日常的にスポーツに親しみ、心身ともに健康な成長を図りつつ、オリンピック・パラリンピックの歴史や意義、国際理解、日本の伝統的な礼儀作法やおもてなしの心などについて、学習してまいりました。
また、座学だけではなく、オリンピアン・パラリンピアンや外国人アスリートと直接触れ合うことで、ひたむきに生きる力を学んでおります。来年度は、現在300校ある教育推進校を600校へ倍増することとしまして、具体的な候補学校を決定いたしました。幼稚園から高等学校、特別支援学校にいたる各学校では、子供達が楽しみながら積極的に学んでいけるよう、成長に合わせた幅広い学習メニューを展開してまいります。
2020年大会の開催に向け、全ての学校でこうした取組が展開できるよう、教育推進校には先導的な役割を担ってもらうことを期待したいと思います。
詳細は教育庁に聞いていただきたいと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
5 「2015年東京都ベンチャー技術大賞」の募集について
【知事】次のテーマです。本日、「2015年東京都ベンチャー技術大賞」の募集を開始いたしますので、お知らせいたします。東京都では、ベンチャースピリットに富む中小企業の革新的で将来性のある優れた製品・技術を支援するため、「東京都ベンチャー技術大賞」を設けて、表彰しております。これまで、123社が受賞しておりまして、そのうち8社が上場するなど、多くの企業が本受賞をきっかけに大きく飛躍しております。
私も昨年、表彰式に出席いたしました。大賞は、文章をパソコンなどに入力すると、実在の人の声で再現することができる画期的な音声合成技術でありました。東京のモノづくり企業の技術の高さを目の当たりにした次第であります。
16回目を迎える今回は、幅広く応募いただけるよう、募集開始を一カ月早めたいと思っております。東京の優れた技術力を持つ多くの中小企業の皆さん方にご応募いただければと思っております。詳細につきましては、産業労働局に聞いていただければと思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
【知事】東京新聞の松村さんはどちらかにおられますね。あなたから、昨日、質問があった件について、今日お答えすると申し上げました。官民連携インフラファンドについて申し上げます。
報道のとおり、当ファンドの投資対象の中には海外案件がありますが、その内容は2件で、6億円程度であります。これは、ファンド規模の3%程度であり、大多数は、国内エネルギー事業への投融資であります。
インフラファンドの事業者を募集した平成24年当時は、東日本大震災後で、電力危機への対応が喫緊の課題でありました。そのような状況の中、IDIインフラストラクチャーズが運営しているファンドが、都のファンド組成の主旨に適合しているとともに、投融資実行の確実性が期待できるため、参加を決めたと聞いております。したがって、都が設立したという指摘は当たりません。
その内容は、電力危機への対応としては、全ての案件が国内に投資された方がわかりやすかったと思いますが、当初の目的を損なうものではないと思っております。
一方、今年度設立しました官民連携再生可能エネルギーファンドは、東京電力と東北電力管内の再生可能エネルギー事業に投資先を限定しています。また、来年度創設いたします福祉貢献インフラファンドについては、投資地域を都内に限定しています。
ファンドの活用は、政策目的を達成する効果的な手段であり、今後とも取組を進めていきたいと思っております。
詳細につきましては、会計管理局に聞いていただければと思います。
質疑応答
【記者】幹事社の東京新聞の川上です。幹事社のほうから、一点だけお伺いしたいと思います。
三つの環状道路、明日は、首都高の中央環状線が開通するのですけれども、三つの環状道路、順次、整備が進んでいるのですが、何と言いますか、全体、整備が進めば便利になることは確かなのですけれども、その効果を最大限に生かすために、いろいろな課題があると思いますし、これまでも挙げられているかと思うのですけれども、その課題について、知事はどのようにお考えなのか、例えば料金体系の問題とか、それからその課題をどう国にアピールして、それから都としても何かできることはあるのか、この点についてお伺いできますでしょうか。
【知事】例えば、圏央道、この前、東名高速と中央高速がつながりました。我々が、例えば、この辺りから成田空港に行こうという時、都心を通るとかなり時間がかかる。そうすると、距離は長いのですが、こう行くとあっという間に行く。ただ、問題は、高速料金なので、これは今、国とも諮りながら調整をしていく。要するに、全員がETCに変えれば、可能なのは、混み方を見て、このルートを通ってくれれば今空いているから、皆そっちで来れれば、他のところも混雑が緩和できるという時には、フレキシブルに、この時間帯であれば、いつも2000円だが1000円で走れるということが、技術的に可能になると思うのです。それは、九都県市会議で、関東全体の政令指定都市や県との話し合いでもそういう要望が出ていますので、国土交通省、それから高速道路の事業会社とも連携をとりながらやっていきたいと思っていますので、料金体系はそういうことでありますし、あと、やはり、この環状線というのは、全部つながることに意味があると思います。流れも変わってくると思います。
それから、もう一つは、今度の中央環状品川線は都心の真ん中なのですが、圏央道あたりになると、どこにこの結節点ができるかで非常に産業構造を変える可能性がある。例えば、宅配便などのネットワーク拠点になることによって、そこが流通の集積拠点になり得るというようなことがあったりします。
そうするとこれは、今、農地として使っているところがあって、土地の利活用の目的を変えないといけないという、そういう行政上の問題も起きてくると思いますけれども、しかし、そういうことを勘案しながら、やはり、おそらく2020年との絡みで言うと、世界での大都市の中で、世界で一番初めに、都心の混雑は一切ない街になり得ると思います。今、パリに行っても、ニューヨークに行っても、ロンドンに行っても、モスクワに行っても、まして言わんや北京やソウル、滅茶苦茶混雑しています。だから、発展途上国はもっと混雑している。しかし、成熟した都市というのは、ある意味でそういうものがない。先ほど申し上げましたように、たったこれがつながるだけで、5%しか車の量は減らないのだけれども、この中の首都高の混雑緩和量が、40%減るということなので、滅茶苦茶その効果が大きいわけです。そうすると、三環状が完成すると、ほぼ混雑のない大都会という、交通渋滞のない大都会が実現できる可能性があるので、これこそ、例えば交通インフラについての2020年オリンピック・パラリンピック大会のレガシーになり得ると思っています。
その他、いろいろとありますけれど、とりあえず私の答えとして、それぐらい言っておきます。
【記者】BS-TBSの竹澤と申します。東京大空襲から今年で七十年になるわけですが、広島、長崎、沖縄などでは、戦没者の慰霊や資料を集めた施設について、行政側が作っているわけですが、一方、東京大空襲については、行政による同様の施設がないという中で、かつて平和記念館構想などというのもありましたけれども、そういった施設を都が作るお考えがあるかどうかということが一点です。
あともう一つ、今、戦災資料センターというのを民間に任せている状況なのですけれども、この状況を今、知事、どうお考えになっているかというのをお聞かせ願えますか。
【知事】ポイントは、今度も、もう日にちが近づきましたけれど、3月10日、墨田区の慰霊堂で、毎年ご慰霊をし、二度とこういうことは行わないようにということでやりますし、また午後は、都庁に戻りまして、講堂で大きな祈念の行事をやり、それから3月10日の大空襲で生き残られた語り部の方々がお話しいただきたいということで、これはそういう意味で、全体的に、二度とこういうことは起こってはいかんということで、都としては取組をやっていると思っております。今年もまたきちんとやりたいと思っております。
その時に、いろいろな団体がいろいろな資料を作るということはあり得ることでありますし、それから都としても、行政が何もやらないのではなくて、今言った行事とか、節目節目でやっておりますので、これはどういう形が良いのか、行政がやるときに非常に難しくなるので、歴史認識一つとってもいろいろなご意見の方があります。日本は決して悪くなかったというご意見の方もおられるわけです。そうすると、そういう非常に価値観のはらむ問題について、どういう選定で資料を選ぶのかといった時に、やはり簡単に解決できない問題があり得ると思います。そうすると、例えば、いろいろな考えの方がNPOをつくられて、自分たちの考えからすると、この資料が一番良いとなって、お出しになれば良いし、それから、おそらく都がやるとすれば、そういう皆さん、それぞれの歴史認識に基づいておやりになって、そういう場で、例えばシンポジウムをやるとか、そういうことがあれば良いのではないかと思っています。
それと、新しい資料の発掘も、私は、むしろ研究者や学者がしっかりやっていただければと思っています。これまた、一生懸命見てきたけれども、それは自分のイデオロギーに反するから展示はしたくないとか、こちらを展示しろというのが、若干行政上の難しさがあるので、むしろ私は、学術研究として自由に研究者がおやりになるという、そういうことを側面から援助した方が、今のご時世を考えると、実り多いというのが今の私の考えです。
【記者】では、所謂今の財団法人という、つまり民間に任せる体制というのをサポートしていくというか、そういう形になるんでしょうか。
【知事】サポートの仕方も、補助金を出すのか、どういうサポートをするのか、いろいろ難しいと思うのです。だけど、多様な価値観がある社会ということなので、その多様な価値観が自由に発言できるような、表に出せるような、そういう体制づくりを支援する。中身については口出ししないという方が良いような気がしています。
また、知事が変わって、私と全然違う考え方の方が知事さんになったら、また変わるというのでは、これは継続性がなくなるので。今の感想は、そのような感じです。
【記者】もう1つだけ。330人の当時の戦争体験者のですね、証言ビデオというのが目黒区の倉庫の中にあるわけですが、イベントなんかでは、その一部公開というのをしていますけれども、それを全面的にいつでも、誰でもが聞けるような形で公開するということは考えてますか。
【知事】それは私自身が、その資料がどういうものであるかとは知りませんので、それがどういうものか調べた上で検討したいと思います。
取り敢えず、生きておられる語り部の方々には、今言ったような3月10日の時にも直接お話ししてもらって、特に子供たちに戦争の悲惨さを語ってもらうということはやっております。
【記者】東京MXテレビの風戸と申します。国立競技場の解体の件について伺えればと思います。昨日から本格的な解体工事が始まりまして、取り壊しの反対派は、レガシーの活用とはほど遠いという発言をして、抗議声明を発表しました。知事は、前回の東京オリンピックを見ておられますし、また、2020年に向かってレガシーということをご自身としては非常に強調されているとは思うんですけれども、昨日の映像については、どのように、まずはご覧になりましたでしょうか。
【知事】これはJSCが、国の基本的な方針に従ってやっているということで、国立ですから、都立ではありません。都が関与することではないので、それはJSCが中心におやりになっているということであります。これから先、都に負担を求めてくるというような話があると思いますが、まだ全然来ていません。私のところには来ていない。
それは誰でも、自分たちの家を新築する時でもそうでしょうけれども、古いものを壊す時は何らかのノスタルジーを感じるけれども、新しいものをつくる時は、壊さないと新しいものができないので、むしろ、未来志向でいったほうが良いので、それはそれで1つの思い出として、さらにより素晴らしいものをつくって、2020年をさらにもっと素晴らしい、まさに歴史に残るような大会にしたいという、それで良いのだろうと思いますから、特別に涙を流しながら見た訳でもなくて、淡々と見ておりました。
【記者】NHKの中島です。官民連携インフラファンドについてお伺いしたいんですけれども、当初、運営事業者を募集する要綱にですね、都の投資方針として、主として、ちょっと読ませていただきます。主として、東京電力管内を中心とした首都圏を投資対象とした上で、広く全国の再生可能エネルギー案件も視野に入れ、東京電力管外の電力供給安定化にも貢献するなど、ファンドへの出資を通じて、首都圏の電力供給の安定化に資することとするとあります。
あと、平成25年3月の予算特別委員会の中でですね、当時の知事本局長が、議員の質問に対しての回答としてですね、このファンドについて、国内でのインフラ投資における民間資金活用のモデルケースとなる取り組みだと説明しています。こうしたこれまでの説明の中だと、この海外への投資というのが、この方針などに矛盾するんではないかと思うんですが、これについてはどうでしょうか。
【知事】私が始めたファンドではありませんので、伝え聞きでしかありません。それから、こういうファンドというのは守秘義務がたくさん課されているので、恐らく、外に出せない話もたくさんあるだろうと思いますけれども、ポイントは、先ほど申し上げましたように、全体で200億円程度で、そのうちの6億円ですから3%だということなので、97%は国内に使われている。それで、本当は全部使われた方が良いのでしょうけれども。ですから、その当時の経緯、当時の予特(予算特別委員会)でどういうことがあったということは、私は関与していないので、今どうこうという訳にいかないのですけれど、ただ、今言ったようないろいろなところで注意不足があったというようなことがあったかもしれません。しかし、このことで官民が協力するというPFIも含めて、それが全部駄目だみたいな論調は、これはお話にならないと思うので、実際にいろいろな火力発電所がつくられました。あの時は、東京都内でも計画停電ということで停電するような大変な状況にありましたから、皆さんご苦労、不便だった。そういう切迫された状況でああいうものをやって、それで、火力発電所と聞いていますけれども、投資したことに見合うだけの電力供給というのができたということであれば、大きな目的は達したのかなという感じはします。
【記者】今おっしゃられたように、大きな目的ということは別にして、海外に全て使われたほうが、海外に使われるよりは国内で全て使われたほうがよかったと、知事自身もそう思われるわけですか。
【知事】ただ、そこは、この案件は私が自分でやった訳ではないので、前の前の方が始められた訳ですから。ただ、もう一つ、こういうことは言えると思うのです。ファンドというのは自由に運用する。私たちがファンドをやる時もそうですし、先ほど言ったように、既にあったファンドですから、そこに入ります。目的は達せられないといけない。達しましたと。それからもう1つ大きな目的は、投資する方から見た時に、銀行で預金をしますと、今大した金利はつきません。株の運用ということもあります。だから、いかにリターンを大きくするか。利回りと言っても良いですが。そういう時に、やはり都の金を使ってやる訳ですから、リターンが大きいに越したことはない訳です。そうすると、ファンドを運営する立場に立った時に、どうしてリターンを大きくすることによって、投資した人により多くのリターンをあげるべきということを常に考えないといけない。そうすると、わずかの部分でも海外の投資をやることによって、遥かに大きなリターンが生まれる。そのことによって、国内投資でやるリターンの少ないものを補うという発想は、金融の業界では当たり前なのです。
だから、例を挙げると年金の運用がそうですね。GPIFの問題。だから、これが今、6兆、7兆と、株価が上がっているからそうなのですけれども、そういうのがやっているというのも、全く同じ発想であって、公債とか預貯金とか安定なのだけれども、リターンが大きくないということで、年金は、GPIFはそういう部分を増やしました。だから、全部同じではないのだけれど、わかりやすく言うと、ファンドの運営というのは、リターンをいかに大きくするかという観点もあるので、それにも資しているなら、つまり国内投資案件よりも海外投資案件がものすごいリターンがあって、それで全体のリターンの底上げをやっているという結果になるならば、ファンドをやっているファンドの立場を、どのファンドが良いかと見た時には、それもプラスになるのです。だから、全体を見て言う必要があるので。あともう一つは、こういう今回のファンドというのは有限責任でしたから、出したお金の分しか責任がないのです。ファンドを運営する人が無限責任を負うので、そこの責任は限定されている。だから、出した投資が棄損されたということであれば、自分が出した、投資したお金の目的を達するかどうかということと、リターンが幾らあるかというのは、それは両方から考えないと。両方から考えて、結果としてきちんとやっていれば良いという判断になるのだろうと私は思っています。
【記者】すいません。続けて質問ばかりで申しわけないんですけれども、知事がファンドを開いた部分もあると思うんですけども、就任後ですね、それについては国内限定にしてますね。それはなぜ過去はそうしなかったんだと思われますか。
【知事】これはですね、私もNHKのニュースを観ていましたけれど、冒頭の部分も間違っています。東京都が設立したファンドと言っているけれど、東京都は設立しておりません。誤解になるので、間違いを正してもらわないと。元々あるファンドに入ったということなので、こちらがつくった訳ではありません。
私がやったのは、こちらをつくった訳ですから、東北地方、東京電力と東北電力に限ると。それから、インフラファンドについては、東京都で保育所とか老健とか、東京に限ると、そういう限定をつけている訳です。それから、ファンド自体の性格が全然違います。既存のファンドに、この目的なら使って良いというので入るということなので、だから、そこは明確に、事実誤認があれば訂正していただければありがたいと思っています。
【記者】リターンが大事だというお話もされたと思うんですけど、同時に、そのリスクということも一番大事だと思うんです。国内の電力発電所とかに投資される場合は、日本に貢献することがあると思うんですけれども、仮に失敗したとしてもですね、カンボジアの送配電事業などに東京都のお金が流れて、東京都の電力安定化にどのようにプラスになるのかというのが全く想像もつきませんし、これが欠損した場合、都の税金がほんとに海外でなくなってしまったということになると思うんですが。
【知事】だから、そこはGPIFの話と同じで、二つをわざわざ分けて言ったのは、東京管内の電力供給に資するということであれは、電力というのは、物と違って海外から運んでくる訳にいきません。特に海の向こうですから。陸で続いてれば、まだ電線引くということがあり得るのだけれども。しかし、GPIFもそうだし、私が公金の運用の時も言ったように、100億円あって100億円全部投資するなら問題だけど、私が仮にやるなら100億円のうちの5000万円から始めます。せいぜい0.5%、1%。そうすると、今のレートで言うと100億円で5000万円棄損してしまった。なくなったらそれは困りますけれど、しかし、残りの99億5000万を公債のような安定運用でやっている。そうすると、これで完全にそこはカバーできます。そういう範囲を超えて、2割、3割、4割というのは、それは問題です。逆に、ハイリスク、ハイリターンだけれども、今カンボジアの例を出されていましたけれども、そこでやる事業が大成功して、普通であれば利率で1%も返ってこないところを10%、20%戻ってきたっていうことになると、他の部分も底上げできる訳です。
だから、ハイリスクの部分を何%以内に限定するかというのが、ファンドマネジャーを含めてのファンドの運営の才覚に当たる訳なので、それは常にリスクを伴います。だけど、民間を入れてやるということは、おそらくリスク感覚というのは役人より遥かに優れていると思います。役人は責任をとりませんから。いくら失敗しても都庁を首になる訳ではありません。次のポストに移っていくだけ。使ったお金は都民の税金でやっていて、失敗したといって誰も首にしません。しかし、民間はそれやったら会社が潰れますから、役人より遥かにシビアにリスク管理はやると思っています。だから先ほど言ったように、3%という数字を、これは公表されている数字ですから、その程度であれば私はバランスがとれていると、そういう判断。30%なら言うと思っています。
【記者】NHKの椿と申します。すいません、続けてで申しわけありません。三点だけ、ちょっと補足で質問させてください。先ほど6億円これまでにというお話ありましたが、今後の計画で、さらにどれぐらいつぎ込むのかという計画が示されているのでしょうかというのが一点と、リスクを伴う海外の投資を最終的に是とした場合でもですね、事前に説明では、都民はおそらく国内向けだという理解だったと思うんですけれども、海外に投資をするということが、リスクが高い海外に投資するということがあるんであれば、都民に事前に質問、あ、説明をするという必要性については、どうお考えになりますでしょうか。それと、最後にもう一つ、今のカンボジア、インドネシアに対して、今の当該事業者がですね、さらにほかにも海外の投資を行いたいと言ってきた場合には、都としてはどういう対応をとるおつもりなんでしょうか。
【知事】何度も言っていますけれど、これ、私が始めた問題ではないので、どうだったかと、私も調査して聞くしかないということをまずお許しいただければと思っています。6億円以上どれだけつぎ込むかという話は全然聞いておりません。
それから、要するに、いろんな守秘義務があって出せないのでしょうけれども、普通はインフラファンドがどういう、後から入るわけですから。我々がこの前つくったように、東北電力と東京限定とかいう、自分たちのであればわかる訳です。だから、既存のところに入る訳だから、そこがどういう仕事をするかというのは、普通海外というのは、そこに書いてあるはずなのです。そうしたら、それをよく読んでいれば、それは説明しないといけないと思います。読み間違えたらそれはミスです。大変な誤りになるので、読んでいなければ不注意です。だから、それはちゃんと読んであれば書いてある訳で、書いてあるからやったのだと思います。ですから、その説明がちゃんとできなかったということは、これはよろしくないと思います。
それから、次どうか、どうするかというのは、これはまだ何もそういう話はありませんから、現実にどこか別の国でというのがあれば、またその時の話になると思います。
【記者】フリーの記者の永尾と申します。すいません。都営の霞ヶ丘アパートの移転の問題について伺いたいんですけれども、今年の1月13日のですね、定例記者会見で、私がほとんどの住民の方は移転したくないというふうにご指摘申し上げたんですが、その時の知事は、逆にほとんどの住民の方が、早く新しいところに引っ越したいと聞いているというふうにおっしゃって、私に上がっている報告が正しいのか確認してみますというふうにおっしゃってですね、私のほうにも疑義があれば、もう一回調査してもらいたいというふうなことはおっしゃったんですね。そこで、私はですね、都市整備局に確認いたしましたところ、住民の方にですね、複数の選択肢、どのアパートがありますというふうなことを示して、意向調査をやったと。その結果をほとんどの住民の方が出したということで、それがほとんどの人が移転希望だというふうに知事には伝わっているんじゃないかなというふうに思ったんですね。しかし、その調査にはですね、移転したくないという選択肢はありませんで、どっかを選ぶということしかなかったんですね。
他方でですね、茨城大学の稲葉奈々子准教授という社会学の先生が、昨年、住民のアンケート調査を行いまして、それでは回答のあった43世帯中34世帯がこのまま霞ヶ丘アパートで暮らしたいというふうに答えていると。それから、先週の2月25日の水曜日に、90歳近い方を含む住民の方がですね、都庁に来て、知事の秘書にふるさとを壊さないでほしいとかですね、人の住んでいる町を簡単になくすのは納得できないというふうに訴えて、知事に直接、住民の声を生で、生の声を聞いてほしいというふうにご要請されたんですね。
そこで伺いたいのが、知事のですね、ご確認の結果がどうだったかということと、それからこのような住民の声、生の声を聞いてほしいという要望に対して、どういうふうにお応えになるかということなんですが。
【知事】まず第一点ですけれど、あなたが引用した茨城大学の稲葉准教授のアンケート調査は、今43(世帯)ということは、回収率が25.6%だということですから、回収率が25%のアンケートというのをまずどう考えるかということで、8割、9割が回答したというならば良いのですけれども、4人に1人です。このことは、私は学者としてもいろいろなアンケート調査の分析をしたりしますけれど、25.6という回収率は極めて低いというのが一つ。
それから、東京都の担当の説明だと、139世帯中136世帯の移転先、どこに移転しますかというのを確認して、先ほどおっしゃったように、行かないということがないではないかということはですね、移転先未定と回答した人が1世帯、それから、意向が把握できないのは2世帯で、139の世帯のうちの136は移転先を言って、神宮前が109、若松町が19、百人町は7、その他の都住が14という数字があったということですから、それは調査の結果だということであります。
いろいろな都市整備をやったり、木造密集の話をやっても、皆さん会いに来たいといろいろな方が来られます。私は、体一つですから、これだけものすごい仕事をやっている中で、誰かにだけ会うというのはほとんど不可能に近いです。ですから、そのために各局がいるので、しっかり丁寧に要望を聞いて、丁寧に対応して、その結果を知らせるということをやっておりますので、そういう形で対応したいと思っております。
【記者】すいません。それで、もう一つですね、住民の方たちは、私が取材した限りでは、皆さん怒っているんですけれども、何に怒っているかといいますと、これは舛添知事の時代ではなくて、石原知事の時代のことなんですが、国のですね、国策に協力するということを都として決めたというふうに、だから移ってほしいというふうに一方的に事前に相談もなくですね、言われたということに怒っているわけですね。このことに対して、やっぱり今どきそういう、やっぱりやり方は通らないんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
【知事】それもですね、一昨日も2回目の個別相談会を行わさせていただいて、全ての居住者の声を真摯に丁寧に聞きなさいということは言っておりますので、そういう声を集約していきたいと思っております。
【記者】ボタンのかけ違いということがですね、公共事業がこじれていく非常に大きな原因として、成田空港なんかの問題もそうですし、あるんですけれども、かけ違ったボタンをかけ直すというふうなお考えはないでしょうか。
【知事】ここまでもう予定が進んでおりますので、いろいろなご意見があると思いますけれども、先ほどの数字ですと圧倒的多数の方が、もう、次どこに行くという意向も示されているということなので、今のところは、私は予定どおり進めようと思っております。
【記者】日本経済新聞の館野です。鉄道の中間まとめについてお伺いします。これ、整備効果が見込まれる路線として10挙げられておりまして、そのうち、特に整備効果が高いことが見込まれるということで4つ挙げておられますけども、東京都としてはこの四つが優先度が高いと判断していると理解していいのかというのが一点とですね、上の10のところで三つ、ネットワークの強化、混雑緩和、利便性向上というポイントを挙げられておりますけども、その10からですね、特に四つを絞った、その要素というか、理由のようなものがもしあれば教えていただきたいのとですね、事業性、採算性とか、財源とか、そういうことについても定量的に検討した結果なのかどうか、それもお願いいたします。
【知事】まず上の整備効果が見込まれるというのは、先ほどご説明をいたしましたように、いろいろな効果がありますということなので。さらにその中で、ここの中間まとめに、8号線の延伸、12号線の延伸、それから多摩都市モノレールの延伸、JR東日本の羽田アクセス線は、今後、さらに検討を進め、国の審議会の検討状況を踏まえて都の考え方をまとめる。その過程において、ネットワーク強化、路線、混雑緩和、利便性の向上ということから細かく精査して、こちらの方がより高いという判断をしたということです。今後、その関係の鉄道事業者、周辺に住んでいる方、皆さんと議論をしながら、また国の動向も含めながら、来年度にかけて考え方を取りまとめるということで。中間のまとめですから、今段階で、ある意味で優先順位というか、つけるとすれば、高いというのはそういう意味です。高い低いということを言えば、それを挙げたということなので、今後もっと検討して決めていきたいと思っております。
【記者】その優先順位、四つに絞ったところの何かポイントというか、何か。
【知事】それはまさに混雑緩和であるとか、ネットワークの強化とか、沿線地域の利便性の向上とか、そういうこと等、例えばペイするのだろうかということもある。それから、常に言うように、東京全体の交通網、これだけの鉄道交通網があって、8号線、12号線、それからモノレール、それから個々の羽田のアクセス線、それからつくばエクスプレスとか、11号線、それから中央線の複々線化とありますし、蒲蒲線というのがあります。
だから、皆一遍にできればそれに越したことはないのですけれども、逆に館野さんがどこに住んでおられるかでも良いのだけれども、自分がこの辺りに住んでいる時にどの地下鉄、どの電車に乗っていくのだろうか。どれが一番早く行けるか。どれが一番値段が安いかと、当然考えますね。そう考えた時に、恐らく、今言ったのを全部やった時に全て状況が変わると思います。今まで280円で行っていたものが、逆に350円になったら嫌ですね。ということも考えないといけない。350円しないともうだめですと言われたら、地域住民は反対すると思います。
それから、仮に高くなっても、今まで1時間も乗っていたものが35分で行けるというのは、それはその甲斐があると思うだろうということで、これだけ緻密なネットワークだとどういう乗り換えをしていくか。恐らく、新しいものが出たら、調子が悪くなる路線ができたり、調子が良くなる路線ができたり。だからこれはもの凄く複雑な連立方程式を解かざるを得ないような状況なので、それを一つ一つ詰めながら、鉄道というのはできるのが5年も10年も先の話なので、将来をプロットしながら考えるというのは非常に難しいです。でも、そういう中で、今の段階で申し上げられる一定の効果がある。さらにその中でも効果が高いというのは、そういう中間のまとめとして、今の時点ではそういうふうに申し上げたいということです。また今後もっと詰めていきたいと思っています。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)