
舛添知事定例記者会見
平成26年12月2日(火曜)
14時00分~14時26分
知事冒頭発言
1 小笠原諸島の視察中止について
【知事】まず、第1点目です。すでにお知らせいたしましたけれども、昨日予定しておりました小笠原村への視察は、自衛隊機の機材故障のために、まことに残念ながら中止となってしまいました。改めて行きたいと思っておりますけれども、往復の移動の問題もありますし、また、防衛省など関係機関との調整が必要であることから、今のところ時期は未定であります。外国漁船の違法操業につきましては、引き続き、海上保安庁などと連携して、都の漁業調査指導船による監視活動をしっかりと行ってまいります。
また、今後、漁業操業や漁場への影響について、国とも連携しながら対応していくことが必要でありますが、まず、都としては、外国船が違法操業を行っていた海域を中心に、小笠原の漁場への影響について調査を行うことを予定しております。
この件につきましての詳細は、所管であります総務局、産業労働局にお尋ねいただきたいと思います。
2 新規恒久施設等の後利用提案の募集について
【知事】それから、第2点目ですが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で、都が整備します新規恒久施設等の「後利用提案の募集」についてお知らせいたします。2020年大会に向けて、都が新たに整備する競技会場は、大会後も都民、国民の貴重な財産として、有効活用していく必要がございます。そこでこの度、民間の知恵やノウハウを今後の後利用の検討や施設の設計などの参考とするために、民間事業者の皆様から「新規恒久施設等の後利用に関する提案」を募集することといたしました。民間の斬新なアイデアを取り入れることによりまして、都民、国民に末永く親しまれる施設にしてまいりたいと思っております。
事業としての実現性が高い取組や採算性を向上させる取組など、民間の創意工夫ある提案を期待しております。詳細につきましては、オリンピック・パラリンピック準備局に聞いてほしいと思います。
ちなみに、提案の対象施設は、アクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナ、葛西臨海公園これはカヌー、スラロームです。大井ホッケー競技場、夢の島公園これはアーチェリーの会場です。若洲海浜公園ヨット訓練所、この7施設が対象となります。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】幹事社の日本経済新聞の舘野です。今日、まず、衆院選、いよいよ公示されました。それと、改めてですけれども、今回の衆院選、その論戦に期待する点ですとかコメントがあれば、お願いいたします。
【知事】国勢にわたることでありますけれども、今日、衆議院選が公示されましたので、各党政策を競って、政策によって国民の審判を仰いでいただきたいと思います。
街の声をいろいろ聞いていると、何でこの時期にやるのかとか、解散の大義がわからないとか、いろいろなご意見もあると思いますので、そういう意見も含めて、これは内閣総理大臣の専権事項ですけれども、与野党ともそういう声もしっかりと聞きながら、やはりこれからの日本社会、日本の経済、これを少しでも良くする、そういうきっかけになるような活発な政策論争が行われることを期待したいと思います。
そして、東京都にとりましては、これから2020年のオリンピック・パラリンピックを迎えないといけません。この時に日本経済が失速するということがあれば、大変なことになります。2012年のロンドン・オリンピック、これは途中でリーマンショックがあったということで、先般、ロンドンでいろいろなお話を関係者に聞いてまいりましたけれども、民間主導でやろうと思っていて、とてもではないけど民間でお金がなくなって、結局、税金をつぎ込まないといけないというような、非常に大変な状況になったということもありますので、やはり、6年後の2020年には、日本全体が活力溢れる素晴らしい経済でもって迎えたいと思っています。
もちろん、東京都としてもそのために全力を挙げますけれども、オールジャパンでやらないといけないので、是非、そういう素晴らしい明るい2020年に向けた政策を各党が競争して国民の前に提示して、そうして有権者の審判を仰いでいただきたいと思います。
そしてまた、師走の大変忙しい時期でありますし、ある意味で予想外の解散総選挙ですけれども、しかし、一人一人の有権者は、主権者として、是非投票に行っていただいて、自らの意思を明確にするということが必要なので、期日前の投票もありますから、是非投票所に足を運んでいただきたいと、それが私からのお願いであります。
【記者】それと、オリンピックの絡みでですね、来週にかけてIOCの総会がモナコでありまして、アジェンダ2020で幾つかの改革案が打ち出される方向です。この議論について、知事についてはどうごらんになっていますでしょうか。
【知事】一番のアジェンダ2020、12月8日、9日、モナコで会議が開かれます。そして、組織委員会の森会長もそこにご出席なさるというふうに聞いておりますけれども、IOCとしての最大のプライオリティーは、コストのかからない大会をやる。経費削減。つまり、どんどん、どんどん、候補地、開催地の候補都市として手を挙げる組織が少なくなってきている。一時期、誰も手を挙げないという時期がありましたね。これがロサンゼルスオリンピックで大きな政策変更をやって、ある意味で商業主義になって、それでまた息を吹き返した。
ところが、また今度不人気になりつつある。特に冬季オリンピックについてはそういう状況でありますので、IOC自身、つまりオリンピック自身がやれなくなってくる危険性があるということで、これが一番のプライオリティーになって、いろいろな議論があると思いますけれども、この前、アジェンダ2020の案が既に発表されていますけど、それを見る限りにおいて、経費削減が一番だった。経費削減のために既存施設の活用、そして、例えば、東京でだけでやるのではなくて、日本全国、場合によっては近隣諸国の会場まで使ってやってよろしいというところまで来ていると思いますので、私は大体そういう方向での議論になるのではないかと思っていますので、実は、これは競技施設を2020年に向かって我々が見直すという方向とぴったり一致してきたなという感じがしてきておりますので、それが一つ。
それからもう一つは、競技種目について、ある程度柔軟性が持たされるだろうというのは、正に五輪が不人気にならないためのもう一つの手立てとしてということであるわけなので、そうしますと、今、野球とかソフトボールとか空手とか、いろいろな名前が挙がっています。こういうものについての柔軟性が高まるということになれば、また、どういう科目が追加できるのかなという話がまた出てくると思っていますので、モナコでのIOC総会を注意深く見ていきたいと思っています。
【記者】今のお話で、きょうの夕方、また都議会からも要請があると聞いてますけれども、その競技種目、増えた場合に、場合によっては経費増大につながりかねない改革かとも思いますけど、その点についてはいかがでしょうか。
【知事】これは、その段階で考えればよろしいと思います。例えば、野球場は日本全国どこにでもあると思いますから、これは夏はペナントレースをやっていますので、それとの調整が必要でしょうけれども、例えば、既存の施設だけでできるのではないかと思っています。
空手についても、私も武道をやりますから、柔道場でもできるので、普通の体育館で空手ができますから。野球、ソフトボール、空手については、さほどかからないかもしれないし、しかし、まだいろいろな競技が、では私もと手を挙げるかもしれませんので、ただ、その時も、お金がかからない、つまりあまりこれ以上経費が増えないようにという要請とマッチしないといけないと思いますので、そこは厳しく見ていきたいと思っています。
【記者】もう1点だけ。来週、国家戦略特区の区域会議第二回の会合が入りましたけれども、その後の進捗状況ですとか、都の提案で積み残されているものもありましたけれども、それについての検討の状況を教えていただけますでしょうか。
【知事】ご承知のように、10月1日には東京圏の区域計画素案に我々のグローバルシティー東京というのを出したわけですけれども、12月9日は、都市再生、医療、雇用、こういう分野について議論をする予定でありますので、今、取りまとめを一生懸命やっているところであります。12月9日、区域会議の開かれた日に、この取りまとめをお話ししたいと思っております。
また、10月21日には、この会議の中で東京都都市再生分科会を設置しましたけれども、ここで竹芝とか虎ノ門4丁目の都市再生プロジェクトの審議を既に行っていますので、こういう点も含めて広範に、我々としては提案していきたいということで、今、取りまとめの最中ということであります。
【記者】MXテレビの朝倉です。国立競技場の改築に伴う都営住宅の移転についてお伺いいたします。知事、今年6月の会見で、現場を見て判断したいという風におっしゃっていたんですが、あれからこれまでの間に、知事、非公開で向こうに行かれたということをお伺いしました。本当だとすれば、いつ、何をご覧になったのか、どういう方とお会いになったのか、教えていただけますでしょうか。
【知事】もう何度も非公開で行っていますし、ちょこちょこ散歩をしたりしますので、国立競技場一帯をいろいろな角度から見てきました。絵画館の前をどうするかとか、新国立競技場が出来て、そこから八万人の人が来てまた帰って行く。どの電車、どの地下鉄を使うのか。JRを使うのか。そうすると、どういう道のりで行くのか。車で来たときに、この道で大丈夫かというようなことも様々に見てきました。だから、何月何月にどうしたという記録は、今すぐには分かりませんけれども、あくまでも一つのことだけではなくて、野球場のことも、ラグビー場のことも、それから国立競技場のことも、あの地域全体を、都市計画とレガシーという観点も頭に置きながら見てきたということなので、今、関係の方々と議論をしたり、さらにどういう案があるかということを考えている最中です。
【記者】あの、都営住宅には行かれたと思うんですが。そこで、さまざまな説明を受けられたり、地元の方とお会いになったりということはしたんでしょうか。
【知事】いや、地元の方とお会いしたり、特別に細かい説明は受けていません。全体はこういうものだというのを見ているぐらいです。
【記者】その際のお考えというか、今おっしゃった、さまざまな競技場も含めて、いろんなこう、今後のプランを練っていたり、都営住宅についてはいかがですか。
【知事】全ての人を、全て100%満足させる訳にはいきません。ですから、それぞれの当事者にとってプラスとマイナスがあり得ると思います。その利害の調整をするのが政治の役割なので、今、利害の調整中というか、情報を入れて、ではどうするべきかということをしっかりと考えている状況であります。そもそも、新国立競技場自体が、まだ解体云々を含めてもたもたしている段階なので、まずそういうところもしっかり決めてもらって、しかし、周辺等は整備しないといけないところがたくさんありますから、そういうことも含めて関係者と協議をする。今日、明日やらないと間に合わないという訳ではないので。ただ、全ての当事者を100%満足させるというのは不可能ですから、そういう中で、いつか何らかの形で政治的決断をしないといけない時が来ると思っています。
【記者】政治的決断ということなんですが、既にですね、都側が、今後のスケジュールとして来年10月に部屋割りの抽選をして、再来年の1月にお引っ越しをしてくださいというようなことを住民に要望されているということなんですけれども、それは知事ご自身が何らかの決断をしてそうなったのか、それとも、これまでの流れ……。
【知事】それは私がゴーサインを出しております。そういう形でやっていただきたいと思っておりますので。ただ、その過程においていろいろな新たな問題が出てきたり、いろいろな意見が出てくるという可能性はありますから、そういうことも含めてということを先ほど申し上げたのです。少し説明が足りませんでした。
【記者】それに関してですね、例えば、前回の6月の会見では、移転が、住民への事前相談があまりなかったという点。それから、高齢者に対してちょっと配慮がなさ過ぎるんじゃないかという点を指摘されて、知事ご自身が、これよく、関係者の話を聞いて考えたいとおっしゃったんですけれども、その点については。
【知事】私はきちんと説明したという報告を受けておりますので、先ほど申し上げたように、それぞれの階層、年齢層、それぞれの住んでいる方によっていろいろな要求があるので、全てを満足させることは非常に難しいです。例えば、私は今、皆さんご承知のように少し腰痛に悩んでいるのですけれども、陸上競技の選手をやっていた時のように早く走れと言われても今は走れない。そうすると、早く走れというのは私に対する配慮が足りないではないかと私は言いたい。そういうことを含めてですね、高齢者に対する配慮というのは何なのだということになって、そこは、先ほどから申し上げているように、全ての人を100%満足させることはできないので、何らかの妥協はどこかでやっていただくし、少しずつ妥協していただくことについて、住民の皆さん方のご協力も仰ぎたいということです。
【記者】ということは、住民の方ともお話をしたいというふうに、以前はおっしゃっていたんですが、とりあえず、もうお話というよりかは、むしろ政治的決断はしたというふうに考えていいんでしょうか。
【知事】ええ。関係の当局がきちんと説明をしていると報告を受けていますので、屋上屋に架す形で私がやる必要はないと思っております。
【記者】毎日新聞の武本です。また衆院選のお話になって恐縮ですが、解散の日も確か質問出たと思うんですけれども、知事が、選挙戦での応援の関係なんですけれどもね、ご自身の選挙のときには、自民、公明、両党の支援を受けられたと思います。それプラス、連合東京の支援も受けられたと思うんですけれども、今回、衆院選でですね、どこかの陣営の応援とか、すみません、今日の午前中のスケジュール、私もちょっと、存じ上げていなくて恐縮なんですけど、今日、午前中もどこかへ行かれたかとか、あるいは今後の予定、応援の予定とかってあられたら、ちょっと教えていただきたいんですが。
【知事】衆議院選挙関係の応援は、今日の午前中含めてまだやっていません。一切やっていません。私の方から積極的に動くということはありません。あとは、それぞれ関係の政党の方とか候補者の方々から、場合によってはご依頼があるかもしれません。それ一つ一つについて、いろいろなことを考慮に入れながら判断するということで、全く白紙であります。むしろ私は、基本的には都政に専念したいと思っております
【記者】新宿区新聞の喜田です。先ほどの選挙のことに関連するんですが、現在、消費税をですね、延期するという話になっております。これは、舛添都知事のお考えとしましては、妥当な判断だと、安倍さんが判断しましたのはですね。7-9の経済成長率だとか、マイナス0.6%だとかいう統計を見て、景気の腰折れになるから、それで消費税は延期するんだと、こういう安倍さんの考え方が、安倍総理の考え方があるわけですが、舛添都知事としてはどういうふうにお考えになりますでしょうか。
【知事】最終的にその考え方について、今回の選挙で国民が審判を下すということで、それに尽きると思います。何度もお話をしておりますように、全ての政治的決定についてはプラスマイナスがあります。私の立場から言えば、5%から8%に上げた結果がここまでの個人消費の落ち込みにつながると、GDPが落ちるところまでいったということは、客観的な事実として、これだけのマイナスの効果があったということであります。
しかしながら、これからどんどん膨らんでいく社会保障費の財源を確保するために消費税を3党の合意で上げたのではありませんでしたか。昨日ムーディーズが日本の国債の格下げをやったように、ああいう厳しい見方もある訳です。ですから、その両方を睨みながら、私は都政の立場から言うと、高齢化が急速に進んでおりますので、特に地方法人税の問題は何度も言っていますように、財源の問題は非常に厳しいところで、今頃選挙がなければ、国や与党に対していろいろなお願いに行って、もう暫定的な措置をやめてくれということを、法人税の地方税の改革について申し上げていたところですが、それも今はできません。したがって、予算を組むに当たっても、これは各自治体も国もそうなのでしょうけれども、社会保障について財源をどうするのですか。こういうことが極めて深刻な問題になってくるし、ムーディーズではないですけれど、長期的に見たときに財政再建はどうなるのかということはあると思います。
ただ、それは総理がそういう問題も当然念頭に入れながら、しかしながら、やはり経済の冷え込みを看過できないというご判断でなさったと思いますので、それは一つ判断だと思っています。
ですから、どの立場に立つかによって、いろいろな判断があると思いますけれども、私は都政の舵取りをやるという点から言うと、財源問題が非常に厳しくなったと深刻に思っています。したがって、様々な国際金融都市をやるとか、水素社会をやるとか、いろいろな提案を行って、長期ビジョンの中に組み込もうとしていますので、こういうことが大きな力となって、少なくとも東京について言うと、消費税が上がらない分を超えるぐらいの経済成長を遂げて、財源を豊かにしたいと思っていますし、それは国にも資することになると思っています。いずれにしましても、最終的には12月14日に国民が審判を下すと思っています。
【記者】日本経済新聞の舘野です。今のお話の絡みでですね、消費増税延期によって、平年度ベースできいてくるのは2017年度からということで、来年度は影響ほぼないということですけども、具体的にですね、来年度の予算編成スケジュールというのがありまして、都の場合は例年でいうと、年明けにすぐ知事査定があってというスケジュールですけども、国の予算編成が越年になっての国庫補助であるとか、いろいろ不透明になってきますけども、そのことによって、都の予算編成に何かしわ寄せが来るとかですね、そういう懸念というのはございますでしょうか。
【知事】今、おっしゃってくださったように、予定どおりに上がれば来年の秋ということでしたから、来年は、あくまで次の年の話なので。しかし、今回はそれではなくて、この選挙によって万が一にも国が暫定予算を組まないといけないようなことになると困るので、12月14日に持ってきた。21日ではなく14日というのは、本予算を年度内で組めるということだと思いますので、大きなしわ寄せはないと思いますので、私の方は知事査定を含めて、予定どおり粛々と進めていきたいと思っています。
ただ、一番問題なのは、国から地方へお金を回すのではなく、財政力のある東京から財政力の乏しい地域にお金をばら撒けば良いと、こういう流れを作ってしまったので、とてもではないけれど地方交付税の財源にしないでください、ちゃんと国から出しなさいということを、今まで官邸に行ったり、自民党の税調に行ったりして、毎日のように文句を言いに行っていたつもりです。だから、それができない、そして向こうも年度内ぎりぎりで本予算を組むということになると、最悪の場合、全く我々が言っていることに対して、何ら改革の手もつけられないで、もう時間がありませんということで、去年のままでずるずるときてしまう、この危険性が非常に高くなっているのです。
これは選挙期間中に言っても仕様がありませんから、選挙終わってから引き続き、声を大にしてそういう主張を言いたいと思いますけれども、如何せん3月31日という日にちが決まっている訳ですから、そこが非常に頭が痛い。ただ、予算編成のスケジュールに変更はなく、粛々とやっていくということであります。
小笠原に前の週から船に乗って行かれた方がおられれば、大変申し訳ない。しかし、前の日の夜中に、翌朝早いから寝ようと思ったら連絡があって、飛行機のトラブルで飛べないというので、これは致し方ありませんので、是非次の機会を期したいので、現地に行かれた記者の皆さん方にお詫びを申し上げますけれど、是非、次の機会はきちんと一緒に小笠原を見たいと思っています。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)