
舛添知事定例記者会見
平成26年10月17日(金曜)
14時00分~14時34分
知事冒頭発言
1 ミャンマーにおける東京水道の無収水対策事業について
【知事】まず、ミャンマーのヤンゴンで東京水道の技術を活用しました事業を始めます。週明けの20日に契約を締結いたしますので、お知らせいたします。
アジア諸国では、経済成長や人口増加に伴い、水不足や水質悪化が深刻な問題となっております。ヤンゴンも同様でありまして、特に漏水や盗水、メーター誤差などの料金収入につながらない、いわゆる無収水率が66%となっています。水漏れや何かで無駄になっている水ですね。
東京水道には、高度浄水や震災対策など、素晴らしい技術がございます。中でも、都の無収水率3%というのは世界最高でありまして、海外からも注目されておりまして、ヤンゴンから、東京に手を差し伸べてほしいとの依頼を受けまして、この度の無収水対策の事業化となった次第であります。アドバイザリー業務を超えて本格的な事業を手掛けますのは、全国自治体で初めての取組であります。
今回の事業の特色は、まず、公民の連携による取組。それから、日本製機材の調達とODAの活用、この3点であります。まず最初の特色、公民連携による事業スキームでありますけれども、東京水道と民間が一体となって協力チームを立ち上げております。都は、外務省に支援を要請し、外務省はODAによって財政支援をする。こういう流れになっております。一方、都の監理団体である東京水道サービスと民間企業が設立したジャパンコンソーシアム合同会社が、ヤンゴン市と事業契約を締結いたします。2つ目の特色ですけれども、こうした公民連携による取組に加えまして、漏水発見器、それから水道メーター、水道管、この辺の優れた技術を、この日本製の優れた機材を積極的に使おうということであります。3番目の特色は、先ほど申し上げましたけれど、国と協力してODAを活用する。途上国は、財政基盤が非常に脆弱なものですから、こういう財政支援が不可欠であり、このODAの支援をかませるということであります。今後は、この新しい事業モデルを活かして、途上国の都市問題解決に向けて貢献してまいりたいと思っております。
先週は、東京下水道の方で、我が国で初めての官民連携による下水道システム全体に渡る海外プロジェクトをマレーシアでやるということを申し上げましたけれども、今回は上水道の面で東京の技術とノウハウを活用して、海外諸都市の問題解決に協力して、世界の中での東京のプレゼンスを高める、そういう取組であります。
細かい点につきましては、水道局に聞いていただきたいと思います。
2 多摩産材製の演台について
【知事】第2点目ですけども、お気付きのように、この新しい演台でありますけども、これは東京の多摩地域の森林で育ちました「多摩産材」製のものに変えました。檜原村で伐採されたヒノキで製作いたしました。
実は、この火曜日に奥多摩町、檜原村へ視察に行く予定だったのですけれど、今回も残念ながら、台風19号の影響で中止せざるを得ませんでしたけれども、機会を見て、参りたいと思ってます。
東京というのは、海があり、山があり、食材があるということをいつも申し上げていますけれども、大都市なのですけれども、総面積の4割は森林であります。自然に恵まれた都市でもありますし、森林は、木材の供給をはじめ、水源のかん養、災害の防止、それからCO2の吸収、その他、多面的な機能により都民生活に貢献しております貴重な財産であります。森林を健全な状態にするには、樹木を伐採して、利用した後に苗木を植えて育てるという森林循環の継続が不可欠であります。そこで、都は率先して多摩産材を利用するとともに、この6月には、多摩産材情報センターを開設しまして、広く都民に「東京の木『多摩産材』」をPRするなど、利用拡大を推進しております。
今後とも、より多くの都民の皆さんに、「多摩産材」の良さを知ってもらって、利用していただけるように、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
質疑応答
【記者】冒頭、幹事社から幾つか質問させていただきます。共同通信の馬場です。知事がおっしゃったとおり、先週、マレーシアとの下水道契約がありました。都が支援する企業連合とかはですね、上下水道で海外展開する意義を改めてちょっとお願いできたらと思うんですけれども。
【知事】地球が抱えている大きな問題の中でも、水の問題というのはものすごく大きな問題であります。人口がここまで爆発的に拡大する。そして、発展途上国にとって、人間の生命を維持する最も大事なものは水なので、その管理、上水道、下水道がいろいろな意味で整備されていない。いろいろな有害な細菌が入っていたりするし、今度は下水の処理、これがきちんとできないと、疫病の発生にもつながるということなので、人道上もこういう支援をするということは、非常に優れたアイデアだと思います。
それで、幸い我々の東京の水道、下水道の技術が進んでいますので、こういう形で発展途上国を支援していく。そして、それにODAを使うということは、発展途上国、そして地球全体の環境を守るために良いことなので、一石二鳥、三鳥にもなる。
今はとにかく、事業としてやっていくことが第一歩ですけれど、やがてこれが、場合によっては大きなビジネスに発展する可能性もあるので、そうすると財政的にも、東京の技術が東京都民に還元されるということになると思います。
【記者】ありがとうございます。もう1問お願いします。「多摩産材」の演台ということですが、多分、補助金の制度とかもあると思うんですが、今後の振興策とか具体的にありましたらお願いします。
【知事】実は、私のボランティア活動というのは、ずっと、木こりというか、森林をやっていたもので、自分で山に入って下草刈りとか枝打ちとか間伐も全部やりましたし、チェーンソーもいろいろな機材、機具も使えるのですけれども。要するに、国産材を使うということを言うと、WTO違反ということで国際的に問題なのですね。しかし、その地域で育った木で作った家が一番良いのです。だから、九州の人は九州、そこに作りたいと思っている所で育った森林を使うのが、実は一番最適なのですけれども、法的に強制する、例えば「多摩産材」を絶対東京の人間は使えなどということになると、WTO違反になる。だけど、努めてそういうことをやってくださいと補助金を出すこともWTO違反になると思います。
基本的には、自由な貿易ですから、そこに補助金を出すというのはそういうことになるので、そこは難しいところがあると思いますけれども、例えば、輸入した木材、ラワンか何か安いのを使えば、コストは安いかもしれない。しかし、やはり、後で触ってみられれば良いのですけれど、本当に手触りが良いし、おそらくヒノキの持っているアロマというか、そういうのもあるので、適切な答弁ができるのではないかと。適切な質問も来るのではないかと。このヒノキのオーラで皆さん、あまり変な質問をしないことになるのではないかと思ったり。それは冗談ですけれども。
ですから、本当に木の効用というのはいろいろな意味で、法隆寺を見ればわかりますように、木は燃えると言うけれど、本当はそれほど簡単に燃えないし、非常に耐震性も強いので、是非利用していただきたいから。何を申し上げたいかというのは、若干コストが高くても、例えば、「多摩産材」を使いますと、そのことによって多摩の森林が守れる。守れるということは、東京の大洪水を防ぐことができる。それから、緑も守ることができるので、それは自分たちの環境を守るための一つのコストだと思って、皆さんにやっていただくという。この前視察した時に、幼稚園がありました。全部、多摩の産材を使っていて、子供たちもそういう環境の中でやるというのは非常に良いと思いますので、是非皆さんにお薦めしたいということを、WTOに引っかからない範囲でやりたいと思っています。
【記者】時事通信の鈴木です。JR東海が2027年に東京、名古屋間で開業を目指しているリニア中央新幹線の件ですけれども、今日、太田国交大臣がJR東海に対して工事実施計画を認可しました。これは建設に向けた一つの節目ではあるんですけれども、そのことの受けとめと、少し開業は先ではありますけども、期待すること、あわせて、国とJRに何か求めていきたいこととか、そういった点がありましたらお願いいたします。
【知事】災害の多いこの日本の国土ですから、例えば東海道新幹線が縦断されるというような時に第2、第3のルートがあるというのは大変良いですし、東名高速と中央高速、第二東名という、こういうフェイルセーフの発想というのは絶対に必要だと思うのです。そういう観点からもそれは評価して良いだろうと。それから、非常に時間が短縮されます。やはり地方創生というようなことを言いますけれど、例えば、これからは北陸新幹線のおかげで、北陸、金沢もすぐ近くになりますね。そうすると、完全に観光のルートが一変する可能性がある。ですから、交通機関というのはそういう意味を持っているので、これは着実に進めていただきたい。
それと、品川にも駅ができます。それから、我々の地域ですと橋本の辺りにもできると思いますから、そういう意味で、東京を世界一にすると、すぐにはできないにしろですね、そういう流れの中にあるので。これは日本の技術力をしっかりとそこに反映させた形で、やはり安全第一ということで、着実、慎重に、しかし精力的に進めていただきたいと、それは国にもJRにもお願いしたいと思っています。
【記者】日本経済新聞の櫻井と申します。再生可能エネルギーについてなんですけれども、電力会社の固定価格買い取りが状況が不透明になってきているわけなんですけれども、その都政とか都内企業への影響をどんなふうにお考えか、教えていただけますでしょうか。
【知事】もう少し情報をきちんと開示して議論してからやってくれれば良かったのになあと思っております。今、6%という数字が出ている再生可能エネルギーを20%に上げようという時に、こういう固定価格の買い取り制度を一つの前提としてやっていたわけですけれども、完全に決まったわけではないですけれども、それをやめる方向で動かれると、我々としても目標達成が難しくなるなということを今の段階では危惧をしております。例えば送電線へのシャットアウトをしないように、電力会社がやる。それから国としてもエネルギー政策というのは大体どういう方向を向いてやるのですかということで、どうも情報開示ということがなくて唐突な感がしますね。ですから、まだ最終決定ということではないと思いますから、もう少し議論をしてよくよく検討していただかないと、福島の原発事故を受けてどうするのかと。基本的には脱原発という方向で何とかしたいと皆が努力をしている。それで、少し高くても再生エネルギーを使用しようという方々が増えている時に、ちょっとこれは説明不足、議論不足ではないかなと。6%を20%にするという私の公約達成に関しても甚だ残念だと思っています。
【記者】東京MXテレビの風戸と申します。すいません。伊豆大島の観光の面で伺いたいと思います。土砂災害から1年が経ちまして、東京都としては砂防ダムの建設ですとか、ハード面を充実させていると思うんですけども、ソフト面でも、椿まつりの期間中にですね、利用者に運賃補助をしたりとか宿泊費の割引などをしておりますが、ただ、まだ効果が出てきてなくて、去年よりは観光客が落ちているという段階で、観光についてはどのように今後、やっていきたいと思いますか。
【知事】島フェスタアイランドというのをこの前、夏にやりましたし、いろいろな形でPRをしていきたいし、できる限り運賃の補助、宿泊費の補助ということをやっていきたい。是非、都民ないし国民の皆さんに大島へ来ていただいて観光を楽しんでいただきたいと思いますので、都としても全力でそういうPRをしていきたいと思っています。御嶽山もそうですけれど、本当に各地で災害が起こっているので、そのことによって、今、おっしゃったように、甚大なる人命の被害とか、いろいろなものがありますけれど、それに加えて、その後、こういう観光についてマイナスになってくるというのはいろいろな方に影響を及ぼすので、行政としてもできるだけの努力はしていきたいと思っています。
【記者】時事通信の中平と申します。よろしくお願いします。風営法に関してお伺いします。今月の24日に、クラブの深夜営業を可能にする風営法の改正案が閣議決定することになりました。で、以前にもお伺いしましたけれども、知事の深夜営業解禁に対しての考え方、それからこれまで問題になってきた近隣住民へのトラブルとか危険ドラッグをはじめとした対策をどう進めるべきかというのについてお考えをお聞かせいただきたいのと、あと、細かい部分は条例で定めるようになっていて、都の条例によっては営業時間だとかクラブ設置場所とかも縛れるようになるんですが、それに関して法律以上に何か独自の規制を加えるお考えがあるかどうかについて、よろしくお願いします。
【知事】常識的というか、国民の良識が大体一致するところでまとめれば良いと思っています。というのは、今、IR法案を巡って様々な議論がありますけれども、IRの絡みで言えば、要するにアフターディナーというか、晩ご飯を食べた後の楽しむ所がないというのが東京の街の一つの、世界の都市ランキングでの弱点になっている。だから、ご飯食べて、時計見たら9時だと、今からコンサート行こうかと、全部、終わっている。今から絵を観に行こう、美術館も全部、閉まっている。どこに行くのですか。一杯飲み屋しかないねという、そういう感じで、しゃれたところが、ある意味で、ない。諸外国ですと、良い雰囲気で行けるような所がたくさんあるので、例えば軽く夕ご飯食べて、8時ぐらいからコンサートとかオペラが始まって10時半ぐらいに終わるという、こういうパターンがパリなどはあるわけです。そういう形にやっていかないと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでお客さんが来て、昼間、競技見て、ちょっと夜、どこかに行こうかなと言っても、全部閉まっているというのではしようがありませんね。そういう大きな流れの中で、クラブと言われているようなものについて、あまり暗くしないとか、いろいろな一定の要件を認めて、やるというのは、そういう方向は良いと思いますけれど、ただ、弊害はもちろんある。今、おっしゃったような様々な弊害があったり、近隣の住民が迷惑したりということのないように、それは条例できちんとできるわけですから。そこはやはり常識の範囲内で、この地域はまずいよねとか、住宅地の真ん中で、そんな夜遅く音が出るのはまずいよねというのはあると思いますので。それはもう本当に良識の範囲内でやれることだろうと思っていますから、特別に何らかの措置をとるということよりも、今、言った形でコンセンサスをとっていけば問題なくやれると思っています。
【記者】文化放送の高橋民夫です。ありがとうございます。エボラ出血熱についてなんですが、以前、厚生労働大臣もご担当されました舛添知事としては、世界中に今、もしかすると伝染するかもしれない、感染者が出るかもしれない、こういうことについて、世界一の都市東京に、やはり守らなければいけない部分というのはおありかと思うんです。東京で守っていきたいこと、あるいは都民、あるいは国民にこういうふうにしてもらいたいという、それを発信していただきたいんですが、知事、いかがでしょうか。
【知事】まず、外務省の方で、この地域は危険ですよという危険情報を出します。ですから、不要不急の方がわざわざそこに行くというようなことはやめていただきたい。
それから、成田空港でも羽田空港でも、帰ってきた時に検疫がありますから、ここで体調が悪い方はおっしゃってくださいと。それから、体温が幾らかと測るものもあるので、やはり水際作戦というのはある程度必要だと思っています。だから、自分の体を守るためでもあるので、ちょっと下痢したり、エボラはそうでないにしても、熱が出たりとか、そういう症状、おかしければ、必ず申告してもらって、そして、きちんと検査をしてもらう。アメリカやスペインがそうですが、仮に入ってきた場合にどう抑えるかというのは非常に大切なので。アメリカで看護師さんがなったというのは、おそらくマニュアルがちゃんとできてなかったのだと思うのです。防護服着た時の脱ぎ方のルールがあって、どういう形で破棄するかという。結局、防護服を着ていても、そこに付いているのをまた触わったら、ウイルスは絶対目に見えませんから。だから、厚労省を中心にそういうマニュアルをつくっておくということが非常に必要だと。新型インフルエンザの時も、非常に怖い鳥型が来て、何百万人死ぬという想定のもとで、かなり厳しいことをつくって、豚インフルだったので、そこまでいかないで有難かったのですけれど。しかし、つくってみて、実際やったら、発熱外来というのは、このようなものはない方が良かったということもあるのです。だから、ある程度シミュレーションをやって、訓練をしておくということが絶対に必要ですし、あとは、国民全体が非常にそこにセンシティブになって、あの新型インフルの時は、皆さんが手洗い励行してくれた。うがいを励行してくれた。それだけでも相当に防げたと思うのです。エボラはそんなに簡単ではないので、国際協力をしながら、アメリカのCDC、これがいろいろな情報を持っていますから、こちらも感染症の研究所がありますので、そういうことでやっていく。
それから、もう一つは、やはり新薬。新薬を創る。開発する。だから、東京に創薬のセンターを日本橋辺りにつくりたいというのは実はそういうことがあって。日本のどこかの会社がつくった薬がフランスの患者に効いていますね。そういうことがある。確かアメリカは、原理的に言うと、抗体ができれば、抗体を使ってやることはできるので、それはもうパスツール以来の基本原則なので、それで看護師さんは非常に良くなったということを言っている。ですから、是非、東京をアジアにおける創薬、新しい薬をつくるメッカにしたいなと思っているので、日本も素晴らしい製薬会社があると思いますから、そういうことを思っています。
【記者】毎日新聞の武本です。今、小渕経済産業大臣の政治団体を巡ってですね、政治と金をめぐる問題がまた改めてクローズアップされていますが、政治家としてですね、知事、この問題をどうごらんになっているか、率直なところ、お聞かせいただきたいんですが。
【知事】小渕大臣が今、いろいろお調べになって、ご説明なさるということなので、まあ、説明を聞いてからではないと憶測で話すことはできないのですが、報道されている内容から見ると、要するに、少なくともきちんと記載はされてなかったということは確かですし、それから、収支のつじつまが合わないということは、やはり説明をする必要はあると思っています。だんだん政治資金の規制についても厳しくなっているので、やはりそこは着実にやっていく必要があるのだろうと思います。ですから、今、昔の帳簿含めてご検討なさっているので、その上で政治家として説明がつくのだったら、それは良いと思いますけれど、説明がつかないと、これは閣僚ですから、非常に重いなという感じが、その責任は重いなという感じがしています。
【記者】朝日新聞の南と申します。統一選まで半年を切ったので、地方政治全体についてちょっとお伺いしたいんですが、最近、首長との議論を避けて、役人の方からの答弁だけを求める議会というのが出てきているんですが。大阪での事例になるんですが、舛添知事としても、今、答弁者側ですが、かつては国会で、時の小泉総理とかと論戦をしたりされたお立場としてですね、公選職同士が議論を交わす意味、もしくは公選職同士が議論を交わさないデメリット、その点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
【知事】これは大阪のことではなくて一般論で申し上げないといけないので、それぞれの町はそれぞれやり方があるでしょうから。一般的に申し上げますと、やはりきちんと公選で選ばれた者同士が議論するというのは当然必要なので、私は基本的に、都議会においても、都民から直接選ばれた都議会の議員の方々と丁々発止やるということをやってきていますので、それがないというのは、むしろ奇異に感じますね。民主主義としては成り立たないのではないかなと感じます。
それで、捻じれ国会というのは、ずっと経験をいたしましたから、必ずしも、首長とか内閣と議会とが同じ政治会派であるとは限らないのです。だから、同じ政治会派の場合は、どうしても馴れ合いになってしまうと、もう嫌なことがある。そのために、実は野党がいるので、野党、頑張ってもらわないといけない。だけど、私の時はほとんど捻じれでしたけれど、小泉内閣のように捻じれではない時もありました。あの時は、少なくとも参議院はその役割を果たしてやろうと。だから、与党なのですけれど、野党よりもっと厳しい質問を総理に対しても参議院議員としてやったという思いがありますので、やはり選ばれた両方の公選職というのが緊張感を持って厳しく議論をし合うということは、有権者のためになると思いますので、私はそれ、基本だろうと思うので。自分と考えが違う首長だから来ないでよろしいとか、自分と考えが違う議会だから、そのような所に行って答弁しないなどということはあり得ないので。少なくとも都議会の名誉のために言うと、都知事が来ないで都議会開きません。あり得ないと思います。絶対にそういう見識のない議会ではありません。私が行かない限り、絶対に議会を開きません。それぐらいしっかりとした議会ですから。真似てくださいというわけではないので、他の町について言う話ではありませんけれども、私はそう確信しております。
今のところ、東京都について言うと、知事と議会、たまたま今は、知事と議会の多数派が同じ政策を出している政治勢力でありますけれども、しかしながら、全て100%にしているわけではありません。議会の中でも、例えば、最大与党の自民党の中でも、右から左まで、いろいろな考えの方がおられますから、そういう中できちんと議論をすることがありますので。是非、私は少なくとも、公選職自身は堂々と公開の場で議論すべきだと思っています。
【記者】読売新聞の山村と申します。すいません。新国立競技場の景観のことで、ちょっとお伺いします。JSCさんから東京都に提出されているですね、景観予測図、モンタージュと言われるものなんですけれども、それが一部の方々から、ちょっと過小になっているんじゃないか、おかしいんじゃないかという指摘がございまして、都としては、景観を審査する立場なんですけれども、1回出された資料をどういうふうに扱うのか、考え方を教えてください。
【知事】私も、それを見ましたけれども、もう全く違う形で、嘘の絵を使ったというのなら、それはわかるのですが、信号機の位置がちょっと上か下かぐらいは、写真の撮り方とかモデルのつくり方で変わるので、そんなに目くじらを立てることではないし、それがこの問題の判断に影響を与えるということはないと思います。
例えば、新国立できました、もう周りが全部、緑のきれいになっていますと。ところが、それは嘘であって、周りはそうではかった。それは、ちょっと酷いよとなるけれど、あれを見て、そりゃ酷いよ、これは剽窃だと、普通の人は言わないと思いますから、私は、そういう判断をしています。
【記者】東京新聞の松村です。昨日、IPCの会長さんが来られて、知事はその場で、ハードだけじゃなくて、心のソフトのほうのバリアフリーも進めたいということを言われていましたが、具体的には、どういうことをやっていきたいと思われているんでしょうか。ちょうど去年、国体、スポーツ祭東京をやって1年になりますけども、スポーツ祭東京というのは、障害者と健常者と大会をごっちゃまぜにした形で、新しい試みを提案したと思うんですけども、そういう精神というのは、この後、活用される予定があるんでしょうか。
【知事】昨日、IPCの会長さんが言われたことで、一番大事だったこと。是非皆さんにもどこかで告知してほしいのですけれど、ノーマライゼーションの考え方をおっしゃったのですね。ノーマライゼーションというのは、幾つか柱があるのですけれども、一つは、障害を持っていても健常者と同じように生活できる。それから、失われた機能、例えば、左足を失った時に、そちらを注目するのではなくて、残された右足、残っているわけです。残された機能に着目して、これで頑張るということなのです。
それから、もう一つは自己決定の原則ということで、今日、映画を観に行きたい。だけども、私、車椅子だと、あの映画館はバリアフリーになっていないから行けないなと。これはノーマライゼーションではないのです。私たちは今日行きたい。今日どこかに遊びに行きたい。そこに、皆行くでしょう。なぜ、車椅子になったらそこに行けないのか。それはバリアフリーになっていないから。そのノーマライゼーションの中で、自分は残された機能、障害者は残された機能を大事にするのだということをおっしゃったので、これが非常に良いと思います。
今のご質問ですけれど、例えば、都バスもノンステップバスを作っていますね。こういう試みは、ハードでいくらでもやれるのです。だけど、スウェーデンに行ってみたらわかりますけれど、このようなノンステップバスではなくても、バギーで赤ちゃんを連れているお母さんが乗ろうとした時に、バーッと周りから人が集まってきて、上に上げてくれるのです。だから、それが心のバリアフリーであってですね、だって、点字ブロックにしても、やはり困っている人がいれば、助ければ良いではないですか。それを、日本人というのは、どうも恥ずかしがって、私、やるの恥ずかしいなと。恥ずかしさを取り払ってそういうことをやってもらったほうが遥かに良いので。私は、心のバリアフリーというのはそういうことだろうと思いますから、これからボランティアの養成も、2020年を目指してやらないといけない。だから、言葉のボランティアというのは、言葉がバリアになっている人に対して、日本語がバリアになっている人に対してボランティアをやるわけです。そして、心身機能でバリアになっている人には、健常者ができるだけ助けるということで、実は、皆がそういう意味でのボランティアにならないといけない。これが、心のバリアフリーということだと思っていますので、これは全都民、国民のご協力をいただいて。だから、本当のおもてなしというのは、ただおいしいものを食べさせてくれるということではなくて、自分がやってもらいたい、自分が困った時に助けてくれる「Friend in need is a friend indeed」というように、困った時の人が本当の友達なのですよ。だから、ハードもやりますけれど、バギーを持った赤ちゃん連れのお母さんが、もう1人手をつないで困っている時に、皆が助けてくれる。それが非常に大事だということでございますので、それを強調して、次の予定が迫っていますので終わります。
どうぞヒノキに触ってお帰りください。きっと、良いことがあると思います。ありがとうございました。
(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)