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舛添前知事「知事の部屋」

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記者会見

平成26年4月11日更新

舛添知事定例記者会見
平成26年4月11日(金曜)
15時00分~15時43分


知事冒頭発言

1 首都直下地震等対処要領の策定と防災訓練について

【知事】今日は幾つか案件がございます。まず冒頭、首都直下地震等対処要領の策定と防災訓練について申し上げます。
 本日、首都直下地震等対処要領を策定いたしましたので、そのポイントおよび今後の訓練についてお知らせいたします。今回策定しました対処要領は、発災後72時間を中心に、都と警察、消防、自衛隊など、各機関の応急対策活動における基本的な連携の内容と手順を示すマニュアルであります。首都直下地震が発生した際は、一人でも多くの命を救うため、発災から72時間の間、救出救助活動に全力を尽くすことが必要であります。この72時間がポイントです。そのためには、各救出救助機関の活動拠点の立ち上げやルートの確保などの対策を重層的に行わなければなりません。工程表のイメージでありますように、主な応急対策活動につきまして、誰が、いつごろ、どのような活動を行うのかあらかじめ想定して整理をいたしました。また、都内各地域の被害想定の特性も踏まえた初動時の活動の方向性についても示しております。
 例えば、荒川沿いを中心に大規模な火災や建物倒壊の発生が危惧される地域におきましては、近接する大規模な公園などに、各救出救助機関の活動拠点を設置し、都外から部隊が集結できるようにいたします。負傷者が多数発生する中、人命救助のためのルートを確保し、緊急車両を使い、陸路でこれら負傷者を搬送いたします。道路の閉塞が続く事態では、活動拠点での臨時ヘリポートを活用したヘリコプター搬送を行い、荒川などの河川も緊急輸送ルートとして最大限活用いたします。この対処要領は、今後の防災訓練を通じて内容を検証し、継続的な改定を行ってまいります。
 あわせまして、住民が参加する訓練をさらに充実したいと思っております。9月1日を中心とした防災訓練だけでなく、さらに増やすことを総務局に指示いたしまして、季節ごとに年4回の訓練を実施することといたしました。
 内容は、今後、関係機関や専門家からの具体的な意見も踏まえまして固めていくことになりますけれども、まず、台風シーズン前の風水害対策訓練を行います。それから、首都直下地震を想定した防災訓練、さらに、南海トラフ地震を想定した津波警報発令時の避難訓練、そして、企業と連携した帰宅困難者対策訓練などを考えております。多様な訓練を実施することによりまして、各家庭や企業における備蓄の重要性を再認識してもらうなど、これまで以上に都民の防災に対する意識啓発を図ってまいります。
 詳細につきましては総務局に聞いていただきたいと思います。
(プレス発表資料は、こちらをご覧ください。)

2 パラリンピックメダリストへの都民スポーツ大賞の贈呈について

【知事】第2点目は、パラリンピックメダリストへの都民スポーツ大賞の贈呈についてでございます。先月、ロシアのソチで開催されました冬季パラリンピックにおきまして、アルペンスキーのスーパー大回転で銀メダルを獲得した日本選手団主将の森井大輝選手に対しまして、その功績を称え、都民スポーツ大賞を贈呈いたしますので、お知らせいたします。森井選手はあきる野市在住で、高校2年生のときに交通事故により脊髄を損傷し、病室で長野パラリンピックを観戦したのをきっかけにチェアスキーを始めたそうであります。みずからの障害と向かい合い、鍛練を続ける強い意思がメダルの獲得という大きな功績に結実したものでありまして、心から敬意を表したいと思います。
 この都民スポーツ大賞は、これまでオリンピックやパラリンピックなどで活躍した東京ゆかりのメダリストに贈呈してまいりました。この賞では、オリンピック、パラリンピックにかかわらず、同額の副賞を贈呈しておりまして、森井選手のような銀メダリストには20万円を贈っております。
 しかし、以前からお話し申し上げてます報奨金につきまして、JOCが贈呈しているオリンピックメダリストへの報奨金は、金メダリストは300万円ですけれども、パラリンピックの場合は100万円と、現状では開きがございます。パラリンピックメダリストへの報奨金は、日本障害者スポーツ協会が贈呈しておりまして、この額を現行の1.5倍程度となるよう調整を行ってまいりましたが、このたび、日本障害者スポーツ協会のご努力によりまして、その方向で動いていただくことになりました。報奨金の主な財源は、現状では東京マラソンのチャリティーを通じて寄せられました寄付金となっております。更なる増額のためには、今後、国のバックアップが必要でございまして、国に対して働きかけをしていきたいと思っております。

3 旧立川政府倉庫の活用について

【知事】3番目のテーマに参ります。今週から現地視察を始めております。4月9日、第一弾として多摩地域を視察しまして、皆さん方にもご同行願いました。防災関連では自衛隊、警察、消防などを視察しまして、首都直下地震などの大災害時に一人でも多くの都民の命を救うべく、厳しい訓練をしている姿に大変感銘を受けました。立川広域防災基地を視察している中で、農水省が所管している旧立川政府倉庫が使われずに放置されているということがわかりました。この倉庫は、かつては政府米の保管を行うことに加え、南関東地域の災害時における備蓄倉庫として位置付けられておりましたが、現在は、私が現地で申し上げましたように使われておりません。私は、直ちにこの立川政府倉庫の防災面での活用につきまして指示を行いまして、来週中にも立川市と共同で国に対して緊急要望を行う予定であります。国民の生命、財産を守る国の責務として、政府の災害備蓄倉庫として使用することなど、防災面での活用を検討するように、国に強く求めていきたいと思っております。

4 区部の現場視察について

【知事】次に、来週の現場視察についてお知らせいたします。来週16日に、今度は23区部の現場を1日かけて視察いたします。多摩地区を見まして、やはり現場第一だということを改めて痛感しましたので、世界一安全・安心な都市をどうしてつくるかと、そういう観点から現場を選びました。
 具体的には、高潮や津波から首都東京を守る水門、水門の運転を統括する高潮対策センターといった防災上重要な施設、水害対策のため、水位に差を生じさせた河川において船の通行を可能にする閘門、それから、大規模な避難広場を整備した白髭西地区市街地再開発事業、さらには、首都直下地震等の災害時に大きな被害が想定される木造住宅密集地域のうち、特に改善を必要とする荒川区内の不燃化特区であります。ぜひ、記者の皆さん方もご同行いただいて、一緒に見ていただいて、私が気づかない点、都民の代表として、記者の目で見てこうだということを、ぜひまた率直におっしゃっていただければ大変ありがたいと思います。

5 国家戦略特区における雇用に係る取組について

【知事】私の用意した中で最後になりますけれども、国家戦略特区に関する件であります。昨夜、安倍総理、菅官房長官、私と三者で会談しまして、さまざまな点にわたりまして意見交換を行いました。その中で、東京が提案しております国家戦略特区について、正しく理解されていなかったり、誤解されている点があったりしましたので、私のほうから、東京が取り組んでいる内容について、しっかりとお伝えいたしました。基本的にはご理解いただけたと、官房長官、総理にご理解いただけたと思ってますが、1点だけ強調しておきたいのは雇用についてであります。今回、東京都はプロジェクトの1つとして、外国企業の人材確保支援プロジェクトを提案しておりますが、そのメニューの1つに雇用労働相談センターの設置を盛り込んでおります。これは特区にそういうものを置くということで、雇用労働相談センターは、外国企業や外国人に情報提供や助言を行ったり、相談を受けることを主たる目的としておりますが、それに加えて日本企業や日本人にもこのセンターを利用できるようにしてまいります。この点につきまして、官邸に対して明確にお答えをしておきました。あくまでも労働規制の緩和の対象は外国企業による高度外国人に限定しておりますけれども、今回設立いたします特区における雇用労働相談センターにつきましては、広く日本企業にも門戸を開放してまいります。そういう意味で、多くの人に利用していただきたいと。
 日本人の雇用について、守るべきものは守っていきますが、高度なスキルを持った外国人については規制緩和していこうと。これが都の方針であります。さらに、近々グローバル企業の経営者から日本の労働環境や雇用などの諸問題につきまして、ヒアリングを前回のデベロッパーの皆さんたちと行ったのと同じように、皆さん方にもフルにオープンにして、公開のもとでヒアリングを行いたいと思っております。
 こうした取り組みを通じて、どうすれば世界一のビジネス環境を東京が保てる、整備できるかということを考えていかないといけないと思います。現場第一主義ということは、私は常に申し上げて多摩に行った。来週は23区に、経営の現場を一番知っているのは経営者でありまして、学者や評論家ではありません。都市再開発の現場を一番知っているのはデベロッパーであって、学者や評論家ではありません。従って現場を重視するということは、実際にグローバル企業を経営している方々に話を聞くと、そういう方針で、万機公論に決すべしという方針を貫きたいと思っております。

質疑応答

【記者】日本経済新聞の舘野です。最後の国家戦略特区についてですね、国のほうで正しく理解されていなかったり、誤解されていた点というのは、具体的に雇用のほかでも何か意思疎通の食い違いがあったのかということが1点とですね、もう1つ、昨夜の会談で、知事から金融特区というようなお話も出たと聞いておりますけれども、何かその具体的なイメージがあればお聞かせください。

【知事】雇用については、私は厚生労働大臣を務めた男ですから、少なくとも労働法制がどうしている、どうなっているかというのは、そういう大臣を務めたことがない方よりは知っているつもりです。従って、そういうことも含めて、きちんと日本の法制はこうなっている。その上でどうするんだと。多様な選択肢があっていいと思うんですね。日本人、外国人が生き生きと仕事ができるために。そういう意味で、複数の選択肢をつくりたいというふうに思っております。
 それから、例えば家事手伝いを外国の方々、とりわけ、非常に世界的に有名なのはフィリピンの女性、こういう方々にお任せするというのも手かもしれませんが、私は日本に、もっともっと家事手伝い、家事サービスができる人材がたくさん残っている。例えば子育てが終わって、家事の能力はたくさんある女性が、今、平均寿命が延びまして、60で仮に子育てが終わっても、80まで生きますから、20年間お元気な、とてもじゃないけど、高齢者なんて呼ぶのが失礼なぐらいに若々しい女性がたくさんいて、それは、もう、あらゆる、料理を含めたあらゆる家事ができる方がおられるので、例えばこういう方々が、本当に家事代行サービスを、自分の時間を使ってやっていけるような条件を整える。そういうことを促進する。そういうことをやることが、非常に私は都民、国民のためになると思っていますので、私は、どちらかというとそちらに都が全力を挙げることによって、社会進出したい女性が、家事手伝いの方がおられないためにそれができないと。じゃあ、たくさんそういう方を要請するために東京都は頑張りますよと。そうすると、日本語のしゃべれる日本人のお手伝いの方がたくさん来られるわけですから、いちいち英語で意思疎通する必要もないので。
 つまり、私が申し上げたかったのは、いろんなアイデアがあっていいので、複数の選択肢をしっかりやっていく中で、厚生労働大臣を務めた人間が知事をやっている東京都において、何をやれば一番いいかというのは、私の考えはこうですということは、それは申し上げておきました。
 それから、そういう意味で、国がどういう規制をやっているか、国のどこが問題なのかというのは、まさに厚生労働大臣をやりましたから、この分野は一番よく知っているので、医療特区とか、創薬の特区をやろうということを言ったわけです。その中で、私も金融の勉強もしてきましたので、金融の面での特区も、これはつくっていくというのは、非常に日本経済にとっても、東京にとってもよろしいと。ニューヨークというのはウォールストリートがあります。ロンドン、ザ・シティがある。こういうのがあるから、やっぱり世界一、世界第二と、こういう都市になるんです。じゃあ、東京はどうですかと。バブル崩壊以来、極めて国際金融における東京の地位が低下している。このままだと、円の価値はお隣の国の人民元に負けてしまうという、非常に危機感を持っています。そういう中で、金融における思い切った規制緩和をやって、東京に来なければ金融の商売、株でも、取引でも何でもいいですけど、できませんよと、そういう状況に持っていく。ニューヨーク、ロンドン、東京という、世界を3つの拠点で結ぶというのは、もともとずっと昔からそういうアイデアがあったんですけれども、誰も今、東京の話を言わなくなった。ハブ空港として成田と言わなくなった。仁川になったというのと同じですね。従って、空港も、それはよくしていきますけれども、羽田、成田、両方ね。だけど、やっぱり金融の面でそういう特区を、特区というのは、どんどん新しいのをつけ加えて構いませんから。これを私のほうから提案して、総理、官房長官のほうから、それは大変に心強いということですから、これは国と協力しながら前に進めたいと。それに当たりましては、5月半ばをめどに具体的な提案を取りまとめをしたいと、これまたこの前と同じように、金融の専門家のヒアリングをやりながら、皆さん方にも公開いたします。そういう議論を通じて金融でもニューヨーク、ウォールストリート、ロンドン、ザ・シティに負けない東京のセンターをつくっていきたいと思っています。

【記者】金融のところで、現時点で具体的に東京のですね、その地位を上げるために、障壁、阻害になっていると知事が、具体的に……。

【知事】それはね、だから、先ほど現場第一主義って言いましたけど、日本の証券マン、外国の証券マン、バンカー、こういう方たちに徹底的にヒアリングをやってみたいと思います。彼らのことをまず聞くことが第一であって、24時間時差なくて働いている人ですから、時差がある中で働いている人と感覚違うし、今の最先端のIT技術なんかを駆使してやっていますね。それから、ヘッジファンドを含めて、極めて高度な金融テクノロジーがあります。これ、非常に日本が遅れているので、そこなんかについて何をやればいいんだと。これは極端に言うと、学校教育から始まって、変えないといけないところはたくさんありますけれども、先ほど言った雇用なんかの問題についても、金融業界の人たちがどういうアシスタントが必要なのか、そういうので何が阻害要因になっているのか、現場第一主義、まずは聞いた上で、大体私の構想はありますけど、それより万機公論に決すべしなので、まず聞いて、謙虚に皆さんの意見を聞いて、賛否両論をいただいた上で、早急に取りまとめたいと、そういうふうに思っています。

【記者】フランスジスの及川と申します。先週の都版迎賓館の構想を伺いまして、浜離宮に行ってまいりました。お昼なのに、大変すばらしいエリアだと思うんですが、なかなか都民の方、少なくて残念に思いました。舛添さんとしては、ここにどういった感じの東京版迎賓館を今のところ構想をしていらっしゃいますか。まず、その1点お伺いしたいと思います。

【知事】これは文化財ですから、勝手に好きなものをつくることは不可能です。法律で禁じられています。従って、かつてあった建物の復元ということなら可能なので、かつてあそこに、明治時代にありました。今、図面をリサーチしているところで、その図面に基づきまして、ほぼあると思います。それで、きちんと忠実に復元しないと復元と認められないんで、そこに、浜離宮につくろうとすれば、それはそういう制限があります。
 これから、検討チームを立ち上げる方向で、今、作業を進めていまして、六義園であるとか、小石川の庭園であるとか、東京都が持っている日本的な庭園、たくさんあります。私自身も、全部ちょっと公園歩いてみようかと思っています。その中で、既存のもので、今すぐ使えるものも実はある。しかし、こう変えたほうがいいものがある。変えられるかどうか、そういうことを考えています。
 ただ、オリンピック会場に近いし、水辺に近いという、非常に、今おっしゃったようにいいロケーションでありますから、浜離宮何とかならないかなというのが最初のアイデアだったので、フランスの方もたくさん、あそこにお見えになりますんで。ただ、それ以外のアイデアも、今、模索中と、そういうことです。

【記者】もう1点、確認ですが、そうすると、浜離宮に大きな建物とかを建てるというよりは、あの自然、美しいロケーションを生かした建物、そうすると、かなりわびさびがきいたというか、そういう海外の方から受けるような、そういう建物になると考えてよろしいんでしょうか。

【知事】ならざるを得ないです、明治時代の建物ですから。それから、お茶屋を見たと思いますけども、ごらんになったらわかりますけど、非常に、まさに日本的なんで。ああいうことをイメージなさって結構だと思います。

【記者】東京MXテレビの風戸と申します。小中高一貫教育について伺いたいと思います。昨日、都の教育委員会がですね、小中高一貫教育について検討を進めている有識者の委員会の設置期間を、12月末まで延長することを発表しました。
4・4・4制は、前の猪瀬知事が発案したということなんですけれども、今は開校予定も白紙ということなんですが、この4・4・4制の学校制度について、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】6・3・3がいいか、4・4・4がいいか、そのほかのがいいか、これはそれぞれ、こっちが完璧で、こっちがだめということじゃなくて、メリット、デメリットがあると思います。
 大きな制度変更をやるときには、まさにそれを正当化するだけのきちんとした裏づけが必要なんで、それは6・3・3で、ずっと今まできた。それこそ、第二次大戦の敗戦とかですね、幕末、明治維新とか、ああいう激動のときに大きく変わるというのはそうなんですけども、幾つか試験的にやってみて、それで、その結果を検証して、本当に全体に広めていいのかどうなのか、そういう慎重な検討が必要だと思いますんで、先ほど来申し上げていますように、さまざまな方々の意見を聞いて、教育現場の意見を聞いて、子供たちも意見があるかもしれない。そのお母さん方の意見があるかもしれない。こういうことは、やっぱり国家百年の大計ですから、一気にというよりも、私は実験して、結果を見て、さらに進めるのかどうなのかと、そういう作業が必要だと思いますから、その意味で、非常に慎重に取り組みたいと思っています。

【記者】新宿区新聞です。喜田です。1つはですね、この今、防災対策の話が出ましたんですが、帰宅困難者問題につきましてのことなんですけれども、この対策訓練で手順としましてね、確認していくということが書いてあるんですけども、例えば、その受け入れ先というものにですね、前々から懸案になっております超高層ビル街の建物というものが、受け入れ先に想定できないものなんでしょうか。
 それと、舛添都知事は、そういうところに現地視察をですね、実際に行う用意があるんでしょうか。

【知事】これもですね、手順確認で、今確実にできるところからやっていって、これは訓練というのは1回で終わりませんから、やりながら、検討しながら、現地視察も見ながら、喜田さんのご提案なさっていることが本当に実現可能なのか、どういう手順が必要なのか、まさにこういうことをやりながら、それで検証していきたいと思っておりますんで、私が独裁者的に、こうしろということは、やる前に、もう何度も言いますけど、万機公論に決して、現場を見てからにしたいと思っています。

【記者】ちょっと今、そのことなんですどもね、非常にいろいろ、万機公論に決して決めていきたいという気持ちはよくわかるんですけれども、1つは、危機管理という問題を考えたときにはですね、あるときには、やはり命令的にですね、指令を出さなくてはならない、こういう問題が、まさにこの帰宅困難者も危機管理の1つではないかと思うわけですね。そのあたりはどういうふうにお考え……。

【知事】それは必要に応じてやりたいと思っていますけども、今のところは、先ほどの答えの繰り返しになります。それは、リーダーシップのあり方はよくわかっているつもりですんで、いろいろと検討していきたいと思っております。

【記者】東京新聞の安藤と申します。すいません。1点、先ほどの小中高一貫校についてなんですけれども、そうしますと、その区切りの問題とか、選抜の問題とか、今、いろいろ言われてはおりますが、基本的にはそういう教育モデルとした学校は、知事としてはつくりたいというふうに考えていらっしゃるのかどうか、ちょっとそれをまず1点。

【知事】まだ知事に就任して2カ月です。それで、優先順位をつけて、視察なんかも、その優先順位でやって、やっぱり直下型地震というのは一番大きい。子供たちの命も守らないといけないです。だから、耐震のシステムがきちんとなっていない、すぐ壊れちゃうような校舎があれば、そこから、それやることのほうが、私は優先だと実は思っているんで、全てのことを一気にできません。
 だから、制度をいじるというのは、例えばものすごい弊害が6・3・3制で起こっていて、もうこの制度のおかげで、日本の子供たちの学力が世界最低になったと。それはすぐやらないといけないけれども、私は、いずれこういう教育制度を見直さないといけない。東京都だけで考える話じゃありません。これは日本国、国民全体で考えないといけないことなんで、そういう意味で、国家百年の計という教育については、極めて慎重でありたいし、いろんな意見が、現場からですよ、現場から、こんな6・3・3制じゃとてもやっていけないよという声が燎原の火の手のように上がって、すぐやれというならやります。
 だから、政治の仕事というのは、政策優先順位をつくるのが政治のリーダーシップですから、私はそれより先に優先順位をつけるべきものがある、子供の命を守ることのほうが先だというふうに思っていますんで、少し順番は遅れることになると思います。
 そういう過程において、そしてまた、今年は、この予算編成過程を見てわかりますように、暫定暫定で来たような話ですから、私自身の政治のカラーが当然、十分反映されないというのは、皆さんご承知のとおりですから、おそらく来年度以降の予算編成過程において、こういうことをしっかり考えたいと思っております。

【記者】もう1点いいですか。千葉市が、昨日、待機児童ゼロの実現しましたということで発表されました。いろいろ、独自にやっているメニューなんかも複数活用して実現されたということなんですけれども、率直にその取り組みについて、どういうふうにお感じになったか伺えますでしょうか。

【知事】例えばコンシェルジュ制なんていうのは、横浜でやっていたようなことなんで、いい政策はどなたがやろうと、こっちが採用できればやっていきたいと思います。それは、きちんと参考になるやつは見させていただいて、周辺の自治体で頑張っておやりになっているというのは大変結構だと思います。
 私たちも、そういうことが言えるように、全力を挙げたいと思っています。

【記者】朝日新聞の別宮と申します。よろしくお願いします。昨日、知事がおっしゃられていた金融、特区の関係なんですけれども、東京金融国際ビレッジ、これはどんなアイデアで、どんなことをやるためのものになるんでしょうか。

【知事】先ほど既に日経新聞の方のご質問にお答えしたとおりなんですけども、まず、世界一の都市を目指したい、都市ランキングでロンドン、ニューヨーク、パリ、そして東京。やっぱりですね、この順番とは言わないけど、少なくともロンドンのシティー、ニューヨークのウォールストリート、負けてることは確かです。フランスのブルスに、むしろヨーロッパはフランクフルト、ユーロになりましたから、若干状況違います。だけど、少なくとも東京の金融市場における地位の低下は、ちょっともう嘆かわしいものがある。例えば証券にしてもそうですけれども。
 なぜそれがだめなのかっていうと、人材がいないんですかと。人材は山ほどおります。あのバブルのとき、一番優秀な人材はみんなそっちに入った。給料100万なんて、初任給が100万ですから、それはみんなそこに、その人材がバブル崩壊とともに、能力は引き出せないで置いてある。そうすると、例えばハードの側面でいいますと、今、すばらしいインテリジェンスビルができてます。そういうことを備えることもですね、金融業界において、世界に冠たる地位を得る道になるわけですから、そうすると、この建物の規制とか、さまざまな規制緩和、この前、マッカーサー道路の後のオリンピック道路にしようって言ってた、こういうところで見て、今、虎ノ門ヒルズができてますね。まさにああいう建物つくることも、これは金融ビレッジの1つなるだろう。
 それから、当たり前のことですけど、そこでちょっとWi-Fiも通じませんっていうんじゃ、それは話になりません。それから、携帯電話がプツプツ、プツプツ切れる。皆さん方も経験あるでしょう。大事な電話してるときにそうで、私の自宅からこの都庁に出勤する20分くらいで3回切れるんです。それはなぜかっていうのは今検討させてますけど、それで世界一と言えますかということを思ってるんで、ハードでいうとそういうことです。
 そうすると、ソフトでいうと、今、優秀な日本人が外国に証券マンなんか出ていっちゃってると。こういう人がどうすれば帰ってくるかというときに、先ほど家事手伝いの話をしましたけども、そういうことを含めての生活関連で、そのビレッジの中では非常に、例えばウォールストリートやシティーと同じような働き方ができる。
 メイヤーという制度がロンドンにはありますけど、要するに金融を取り仕切るようなリーダーのようなものをつくるとかですね、諸外国の金融センターでさまざまな取り組みがありますから、そういうものの集積基地として、場所をどこにするかですけど、当然、今のところは丸の内とか大手町とか、あの辺のビジネスセンターが中心になると思います。ハード・ソフトの両面で、そういうところができて、そこに特区構想を、それにはめ込むことによって、さまざまな規制を緩和していくと。そのことによって、ザ・シティーに負けないような地位を東京のこの金融センターも獲得していくと。それ、名前はどうでもいいんですけども、そういう構想です。
 あとは第一線の方々の意見をもうちょっと取り入れてヒアリングして、一月から一月半後ぐらいには取りまとめをしたいというふうに思っておりまして、既にキックオフは始めました。そのヒアリング、具体的に決まりましたらまたご案内しますので、ぜひいらしていただければと思ってます。

【記者】特区の話の続きなんですけど、産業競争力会議の中では、例えば外国人の家事手伝いの話、東京にまず手を挙げてほしいという考え方もあるようですが、先ほど知事は、おっしゃったの見ると、手を挙げるつもりはないというふうな判断でいいんですか。

【知事】手を挙げるつもりはないというよりも、まずですね、外国のCEO、例えば女性を考えましょう、外国のすばらしいCEOの方が日本に来る。
 この方たちは自由に、東京都においてはどこの国のメイドさんであれ、どうぞご自由にお使いくださいと。もうそれはクリアしてるんです。そこから先なんですけども、日本人の女性がなぜ社会進出しないかと。さまざまな理由があって待機児童の、つまり、保育所が足りないのがあるから、これもやりますよ。だけど、じゃあ、そのほかにどんな理由があるんですかといったときに、家事を誰かやってくれませんかねという話があって、そうすると、ここに女性の記者の皆さん方おられますけど、皆さん方だったらどの国のお手伝いさんを雇用なさいますか。
 じゃあ、どれぐらいのコストだったらやりますかと。これも間違っていれば訂正していただきたいんですけども、私の感覚だと、私が女性で働いているとしますね。20万給料得ていて、20万全部お手伝いさんに払っちゃうんだったら、何のために働いているのか、財政的には意味がありません。じゃあ、20万のうちの15万払うというのも、ちょっと待てよと。5万しか残らない。そうすると、極論すれば、20万のうちの10万円家事代行サービスに払っても半分ですね。それでも自分は働けてるからいいと、私だったら半分でもいいなと思う。だけども、上限は私だったら半分ですね。
 今度、できたらね、20万の方だったら5万ぐらい、15万残りますから。それに加えて、子供の保育料とかいっぱいかかるから、もっと複雑な計算になるんですけど、そういうことを考えたときに、舛添さん、あなたはそう思ってるけども、日本人のお手伝いさんだったらとてもじゃない、20万どころか50万かかりますよっていうんなら、それはもう外国のメイドさんに頼らないといけないけども、実態はそうじゃありません。
 だから、それと、やっぱり家事について言うと、家事に関するサービス業が栄えてないんです、この国は。だから、私がビジネスマンだったら、こんなビジネスチャンスはないですから、即座にベンチャー企業を、きちんと信用がある会社をつくって、いろんなニーズに合わせて、それで派遣しますね。だから、例えばそういうすばらしい家事代行のサービスを提供できるような会社を頑張ってつくってくださいと。それに際しては、いろんな面で東京都は支援しましょうと。
 私はそっちをやったほうが、外国人の働き手を入れることによるさまざまな問題があります。一番簡単なのは、外国人が低賃金で入ってきたときに、日本人の労働者まで低賃金に引っ張られるという問題に対して、あなたはどう答えるんですかということに答えられないといけません。60以上の女性で、元気でいくらでも家事代行できるようなすばらしい女性が山ほどいると思いますよ。この方たちの力をお借りすることがオールジャパンでよくなる道だと思ってますから。私はそういう方向でやっていったほうがよろしいと思うから、その主張はその主張で申し上げております。
 ですから、都の取り組みはそういうことで、外国人に対しては、それはもう、外国人の人に対しては、もうご自由にどうぞと。しかし、そのことが、外国のメイドさんを入れることが日本人女性の社会的進出をぐっとさらに進めるという考え方は、私はあまりとらないと、率直にそういうことは申し上げております。
 そのことをもって、何だ、東京都というのは非常にリラクタントで、本当にやる気があるのかねということを批判なさる論者もたくさんおられますけども、私は、じゃあ、今言ったようなことを堂々と論争しましょうかと。そして、現実に外国のビジネスマン、皆さん方は女性何人かおられますけど、私の意見に賛成ですか、どうですかということをむしろ問いたいと。問題提起です。これは私が決めるんではなくて、東京都民の皆さんがどちらの意見にくみしてくれるのかと。
 私は現実に、私の妻も働いてますから、私は現実に日本のお手伝いの女性に、毎日ではありませんけど来ていただいて大変快適であって、しかもそんなに高価ではありませんという事実もきちんとお知らせしてあります。

【記者】霞ヶ関通信社の稲村と申します。港区に住んでおりまして、同地でタワー・アンド・ポートタウンみなとニュースというのを出しております。この震災発災後、72時間ということでこのマニュアルの手順が出てますが、応急対策活動は、例えば日中の勤務時間帯と、それから夜の時間と、それから出勤とか退社の時間帯で大幅に違ってくると思いますが、そういう区別で対策、対応、応急対策は出されておるんでしょうか。それが1つと、23区の夜間と昼間の人口というのは大幅に違うと思いますが、そういう概算の数字というのはお持ちなんでしょうか。

【知事】両方ともきちんと検討をしております。ですから、その前段階、いつも9月1日というのは暑いですから、夏用の訓練しかしてない。真冬もやりましょう。春夏秋冬、4季節においてやるというのはそういう意味であって、細かく書いてありませんですけども、時間帯によっても考えております。
 数字出せと言ったら、すぐ数字調べてくれば事務方が出すと思いますけども、埼玉、千葉、神奈川からたくさんの方が働きに昼間出て、夜は帰られるから、おっしゃるように人口の差があります。だから、むしろ昼間、東京の人口が膨張してるときにこういうことが起こったときにどうするかという対処方法は対処方法でやっとかないといけないので、危機管理ですから、一番大変なことを想定してやってる。
それから、夜やる。夜で夜なりの、電気が切れて光がなかったらどうするか、そういうこともあると思いますので、あらゆるケースを想定して危機管理をやるということのまず第一歩として、今回の対処要領を出しまして、しかも、最後に申し上げましたように、これからどんどん訓練や見直しを行っていって、常にアップ・ツー・デートなものにして、常にいいものにしていくというのが私たちの立場です。よろしいでしょうか。
 今度23区の防災拠点を見てまいりますので、木造密集地域含めて、来週、ぜひご同行願えればありがたいと思います。

以上
(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)


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