
舛添知事定例記者会見
平成26年3月28日(金曜)
16時00分~16時48分
知事冒頭発言
1 国家戦略特区タスクフォース提案について
【知事】 まず最初のテーマですけれども、国家戦略特区タスクフォースによる提案について、お話を申し上げます。
国家戦略特区につきましては、この3週間、タスクフォースで検討を重ねてまいりましたが、このたび、東京発グローバルイノベーション特区という形で、本日、取りまとめをいたしました。これは国家戦略特区の議論が始まりましたときに、政府のアイデア募集に対しまして、昨年9月に都が提案しました内容を、私のほうに直接総理からの要請がございましたので、それを受けて見直したものでございます。
この新しい提案書は、先ほど総理官邸のほうにもお届けしたところであります。
今回の提案では、特区制度の活用によりまして、世界に開かれたグローバルビジネス都市・東京の創造を目指しまして、「国際的ビジネス環境の整備」「医療・創薬イノベーションの拠点形成」「おもてなしの国際都市づくり」この3つのテーマで10のプロジェクトに取り組んでまいります。
本日はですね、その中から6つのプロジェクトについて、ご紹介したいと思います。
まず最初は、スピーディーな法人設立支援プロジェクトであります。この提案は外国企業が早く簡単に起業、業を起こすですね、できる環境をつくるものであります。
世界銀行がビジネスのしやすさランキングというものを出しておりますけど、残念ながら日本は起業の分野で120位と大きく低迷をしております。これはなぜかというと、事業が始められるようになるまでに、よその国に比べて約2倍も日数がかかると、そこに書いてあるように、そういうことが問題でありますので、そこで法人設立に係るワンストップ窓口を創設すると、それから、英語でも申請を受け付けると、それから在留資格取得の手続きの簡素化、こういうのを行いまして、その悪名高い、期間がかかるという、法人設立までの期間を短縮すると。これによりまして起業に必要な期間を3日間で完了しているシンガポールや香港並みにしていきたいと、そういうふうに思っております。これで、シンガポール、香港と戦えるということです。
次に国際標準のビジネス空間づくりプロジェクトであります。この提案は容積率の緩和など、都市計画制度を柔軟に運用して、東京の町並みを外国企業が活動しやすいビジネス空間へと改造するものであります。複数の民間開発プロジェクトに対して、容積率を緩和することで、公共施設整備への協力を促し、エリア全体をリニューアルしてまいります。
例えば虎ノ門エリアにおきまして、日比谷線新駅やバスターミナル、地下通路などの公共施設の整備を、民間の力を使って、周辺開発と一体的に進めてまいります。
同様に大手町、丸の内、有楽町の大丸有地区、竹芝地区、品川駅周辺、それから六本木・虎ノ門地区、さらに次は渋谷ですね、渋谷駅周辺、さらに新宿駅周辺といった地域でも、民間主体の都市開発プロジェクトを誘導してまいりたいと思っております。
次のプロジェクトですけども、薬をつくる、創薬のメッカをつくりたいと思っております。
この提案は、東京を創薬ビジネスのメッカとするための第一歩となるものでございます。日本には薬を開発するために多くのすぐれた基礎研究が行われている一方で、製品化までのハードルが高くて、本当にこれ、時間がかかると言われております。
そこで日本橋に創薬ビジネスの拠点を整備し、プロの目利きによりまして、薬のシーズ、種を発掘、選定し、短期間で効率的に製品化が可能なようにしたいと思っております。
また治験にかかる時間を短縮するために、高度先進医療を行う病院をネットワーク化しまして、治験を共同で行うと。そして、こうした取り組みに参画する病院について病床数の規制の適用除外を国に対して求めていきたいと思います。このプロジェクトは、私自身が厚生労働大臣をやってまして、国の規制が何であるかというのはよくわかっておりますので、逆に都知事の立場で国に要求しやすいという面があると思います。
次のプロジェクト参ります。これも医療関係ですけども、東京都版のPMDAプロジェクト。PMDAってのは、これは薬の審査機関であります。私が厚労大臣のときに、これを単なる厚生労働省の天下り先のような形になっていたのを完全に人を入れかえて、かなり今、よくするところまでいっておりますけれども、東京版のPMDAをつくるということはですね、ジェネリック、後発医薬品ですね、ジェネリック医薬品が保険適用可能となるような製品になるまでに時間がかかっちゃうもんですから、この期間の大幅な短縮をしようということであります。
先ほど申し上げました、私は相当改革のメスを大臣のとき入れたんですけど、国の審査機関でありますPMDAが行う、ジェネリック医薬品の承認審査、大体16カ月から22カ月かかります。で、この審査業務について、東京都には既に審査実績がある機関がございます。これに権限を付与させてもらえば、16カ月から22カ月を最短6カ月で可能になると。で、これによってジェネリック医薬品の普及が促進されるということですから、国民の健康のために非常にうれしいと。それからPMDAの負担も低減されるということで、新しい薬をつくるのにスピードアップされて、みんな、その便益を享受できるということであります。
続きまして、東京シャンゼリゼプロジェクトについて申し上げます。
この提案は道路占用基準の緩和によりまして、国際都市・東京にふさわしい都市空間を創出しようというものであります。
具体的には、エリアマネジメント団体が道路占用物を活用して得る利益を、道路の美化など管理に還元してもらうことによりまして、低コストでにぎわいの空間を創出していきたいというふうに思っております。
今回は、こうした団体を公的活動主体と位置付けて、団体への寄付金控除等の税制優遇を認めるように国に提案しております。
これによりまして、美しさと風格を備えた町並みににぎわいを誘導して、東京の道路空間を魅力的に変身させていきたいと思っております。
このプロジェクトの第1号として、明日開通します、環状2号線、新橋-虎ノ門地区を予定しております。
今、ずっと都費でやった通りで、すばらしい町並みに変わることを期待しております。
次のプロジェクト、これは外国人向けの、安心医療・教育提供プロジェクトであります。
この提案は、グローバルな医療環境や教育環境を整備するものであります。特に医療につきましては、外国人医療スタッフが自由診療で、外国人患者専用に診療する施設や診療科を想定しております。
この際に、外国人医療スタッフにつきましては、自国の医師免許等を有していれば、医療行為を容認し、外国人専用病床は基準病床数の適用から除外するということを提案しております。また、同様の場合に株式会社による病院設立も容認して、メディカルツーリズムに対応できるように提案をしております。
以上、まとめますと、今回説明しました内容は、民間事業者からのヒアリングの際に頂いた提案も含めまして、この前ずっとやったのも皆さんにも全部公開してやりましたから聞いてると思いますけども、そういう提案も含めて、国家戦略特区タスクフォースにおいて取りまとめたものでございます。
提案書全体では、昨年9月に提案してました規制緩和のメニューに対して、およそ2倍の追加提案をしております。時間の制約がある中で、今回の提案ではヒアリングした民間事業者の提案も一部生かすことができたと思っております。今後とも、さまざまな民間の事業者からの意見を聞いて、特区の取り組みをさらに充実させていきたいと思っております。これによりまして、世界中から資金、人材、企業を東京に集めまして、世界に開かれたグローバルビジネス都市へと東京を改造していきたいと思っております。
時間の制約ありますから、私のほうから簡単に骨子をお話しいたしましたけれども、まず、私のほうからの説明は終わりまして、あとは細かい点につきましては、知事本局に聞いていただければと思っております。
(プレス発表資料は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】日本経済新聞の細川と申します。これまでのですね、都のアジアヘッドクォーター特区では、主に外国企業の集積というのに軸足を置いてきたかと思うんですが、今回の提案では、それ以外に医療産業の振興だとか、それからベンチャー企業の支援などを盛り込んでいますが、改めてその狙い、幅を広げた理由について教えていただけますでしょうか。
【知事】まずですね、私たちの大きな目標は東京を世界一の都市にすると。特に、2020年のオリンピック、パラリンピックを1つの中間地点としてというのがございますけれども、経済を世界一にするということも大きな目標であるわけです。じゃあ、どうすれば経済活性化できるかというときに、もちろん優秀な外国の企業の皆さん、優秀な外国の人材が来る、そのときに邪魔になるものを規制緩和して取り除いていくという観点もありますけれども、富を生み出す、そして、日本が稼ぐと、東京が稼ぐということがないといけないので、そういう大きな視点で東京全体の経済を活性化する、そして、それがさらに新しいリーディング産業を日本に根づかせることによって、日本経済全体を活性化させると、そういう狙いがあるものですから、まだこれからどんどん新しいアイデアが出てくると思いますけれども、そこにありますように、医療・創薬イノベーションということも含めてやってるわけなんで、ある意味で、東京発グローバルイノベーション特区というのは、東京を世界一の街にするための1つの手段にしかすぎないと思っていますから、いろんなほかの手を使ってやるんですけど、たまたま昨年、法律が12月に通りまして、この国家戦略特区が法的に整備されたんで、指定を受けるべく提案をすると。最終的な決定は今晩、内閣のほうで行われる、そういうことです。
【記者】産経新聞の福田と言います。すいません。今、新しいリーディング産業をということだったんですが、ちょっと先ほどと重複してしまうかもしれませんが、この10個のプロジェクトのうち、2つが医薬品の関係、効率化とかですね、医薬品の関係になったというのは、何か思い入れとか、単に今おっしゃったようなリーディング産業をということなのか。
【知事】実を言うと、思い入れというよりも創薬をどうするか、実は私は厚生労働大臣のときに、経産大臣、文科大臣、科学技術担当大臣、消費者担当大臣、4大臣集めて、あと、日本にいる内外の製薬会社を集めて、官民対話を始めることによって、いろんな問題を解決しようということをやりました。そういうことがきっかけにあります。
しかし、例えばシンガポール見てもわかりますけれども、空港で言うとですね、成田じゃなくて韓国の仁川がハブ空港になってしまってる。同じように、これだけ優秀な製薬企業が日本企業にありながら、シンガポールがメッカになってしまってる。なぜ東京に持ってこれないんですか、ちょうどなぜ成田がハブにならないのかと同じなので、そういう意味合いも含めてますし、それから、要するに、投資した金額に比べて、上がる利益の比率が薬ってものすごく大きいわけです。そういうバイオテクノロジー、最近、さまざまな細胞の分野でちょっといろんな問題起こってることもありますけれども、一生懸命日本が新しいバイオテクノロジーをやってますので、そういう意味でも、これからの成長産業だということはあります。
それと、難病の人たちを救う、それから都民の健康、国民の健康を守るために、せっかくいい薬が開発されたのに、ドラッグラグといいますけれども、私が大臣になったときに、アメリカが1年半で承認できるのを日本は4年半かかるというのをどんどんどんどん縮めるように、そのためにPMDAを改組、改革したんですけれども、さらにこのジェネリック医薬品を含めて、一部分を東京がやることによって、さらに進んだ形で持っていけるということなんで、ほかの分野もこれからやりますけれども、国に対して要求する。国の規制がどうなってて、どこを突破すれば実現できるか、実現できなきゃ話にならないんで。そうすると、私は国の立場でやってましたから、敵の土俵を全部知ってますから。言葉は悪いですけど、相手の土俵を。そういう意味で、一番実現可能性が高いということで、フィージビリティーというんでここで挙げましたけど、もちろんこれだけじゃありません。
【記者】NHKの本間です。政府がですね、正式にエリア指定する見通しになりましたけれども、改めて期待というか所見をお伺いしたいのと、あと、規制緩和への壁は高いように思うんですけれども、それについてですね、今後どのような姿勢で協議していくかお聞かせください。
【知事】最終的には政府の決定を待たないといけませんけれども、まず、東京だけではなくて、横浜であっても川崎でもあっても、県で言うと、神奈川であっても千葉であっても埼玉であっても、このエリア全体がよくならないといけません。だから、創薬だと、例えば川崎市も大田区もありますね。それから日本橋ということもあるんで、もうそういう東京だけとか、神奈川がやるならうちは嫌だというような、そんな感じではありません。
ですから、神奈川県の黒岩知事、埼玉県の上田知事、千葉県の森田知事とも、この4人で連携を組みながら、いろんなことを協力してやる中に特区構想も入ってます。そして、もちろんオリンピック・パラリンピックの成功も入ってます。先般申し上げた成田空港と羽田空港の話も、これは千葉県知事と話をしないといけないと。そういうことで、我々はぜひ指定してもらいたいということで、ここまでの提案をやりましたから、どうぞ指定してくださいということで、きょう午後、官邸に改めてこの提案を持っていって、お願いしてると。きょうの夜になると思いますけど、指定されることを期待しております。
そして、それがやはり霞が関の省庁の壁ということで、なかなか規制緩和ができない。本来はこれは、総理のリーダーシップで、各省庁の壁を打ち破らないといけない、官邸がやらないといけないですけれども、いいことであれば、東京都としても一緒に共同戦線を組んでやっていくということで、特に6番目の東京都版PMDAの創設というようなことは、具体的に、これはですね、東京都健康安全研究センター、ここが具体的に仕事がやれますから、提案できるということで、着実に東京をよくする、そして、東京が牽引力となって日本を変えていくと。そういう歩みをやっていきたいという抱負を持っております。
【記者】東京MXテレビの朝倉と申します。その東京版PMDAの件でお伺いしたいんですが、22カ月で国が行っていた審査というのを、都ならば6カ月でできると。普通に考えると、国ってそんなに遅いのかということになるんですが、一方で安全性というのがほんとに担保されるのかというところもあるんですが、その辺どういうふうに担保されるのか、厚労相の経験から……。
【知事】それは、細かいのは、また担当部局にでも聞いていただきたいんですけれども、先ほど申し上げました、この東京都健康安全研究センターで、それまでの実績が積んであります。そういう意味で、治験を含めて極めて早く。ジェネリックについて、特にそれがやれるというのは、要するに、新薬じゃないわけですよ。新薬ならば、治験含めて大変なんですけど、ジェネリックって古い薬で、後発医薬品なんで、そういう意味で、過去の実績があって、今までも一部分はやっていたということの実績を踏まえてですから、安全性も問題ないし、厚生労働大臣経験者として見て、これならやれるということなんで、具体的にそこのセンターを使うということまで決まっておりますんで、当然、元厚生労働大臣ですから、厚生労働省との話もきちんとできると思ってます。安全性について、問題ありません。
【記者】日本経済新聞の舘野です。今回、この提案に向けてですね、先ほど3週間という極めて短い時間で、しかも議会もある中で、タスクフォースという形で、都庁横断的に総力というか、知恵を絞ったっていう面があると思うんですけども、それで、これだけの提案が出てきたと。その作業の過程というか、自己評価というかですね、都庁、知事就任以来、情報共有を徹底するとかいろいろおっしゃってますけども、そういう面での手応えとかですね、その評価をお聞かせいただけますでしょうか。
【知事】私たちは、相当みんな、これまでの職員も自分の仕事に誇りを持っておりますから、自分たちが今までやってきたこと、これを花開かせるんだと、そういう気持ちで頑張ってくれました。職員によっては、中央官庁から出向している者もいれば、そういう意味で中央官庁との、私も含めて、もともと国政の場で大臣やった人間ですから、いろんな国のパイプ、官邸とのパイプもありますし、特に厚生労働省についてはよく知ってますから、そういうことも生かしながら、徹底的に議論をしました。そして、やっぱり井の中の蛙じゃだめなんで、ディベロッパーの方々、時間短かったですけど、できるだけ多くの民間業者を呼んで、聞き取りをやった。そして、私も含めて、ああいう公開でやる時間がなくても、もう電話ででも、それから直接お会いしても、ここどうなんですかっていうのを細かく民間のニーズも聞いてまいりました。
そういう中で、しかし、法律があって、その法律の枠内でやるにはどうすればいいかってまず考えざるを得ない。で、どうしてもこの法律が邪魔なら、それは国会の場で変えてもらおうというとこ行くんですけど、今回そこまで行かないんで、法律の枠内でやれることで最大限やったと思うんです。
具体的に言うと、さっき言った、外国人向けの安心医療というのは、これはだから、全部外国人に特定して集中的にやったからできることで、日本人の患者とかまざっちゃうとできない面がいっぱいあるんです。それは今後の課題ですけれども、いずれにしても、これまで職員が培ってきた仕事の結果というものを最大限引き出して、ここまでやれるんだということをやったと思いますんで、あとは国が応えてくれる。そして、まあ、それに尽きますね。
それで、理不尽なことを言ってくれば、それはちょっと無理ですよということは、それは当然申し上げるんで、これから議論が始まるんで、きょうで終わりじゃありません。うまく指定されれば、これからどんどんどんどんこれが10になり、20になりとやっていくと思いますんで、今、おっしゃってくださったように、短期間で、しかも議会中で、みんなの負担も相当重くなりましたけども、要するに、知事と職員が力を合わせりゃここまでできるんだということをちゃんと示せたと思って、大変誇りに思っています。
【記者】毎日新聞の清水です。この提案は、提案した上でですね、この規制緩和が認められなかったら、絵に描いた餅になってしまうわけで、その点、こういう内容であれば、ある程度認められるんではないかという、そういうような、例えば政府側からのサジェスチョンなりですね、あとは都からの打診なり、そういったものは今まではあったんでしょうか。それとも、まるっきり都のほうから、ゼロから全部示しているものなんでしょうか。
【知事】昨年の9月来、事務的にもそういう作業を続けてきておりますし、それから、しょっちゅう、1日に1回ぐらい、極端に言うと、官房長官と私と電話で話をしながら、こういうことをやるからどうだと。向こうも、国もこういうことを考えているということを、官房長官というのは、事実上、総理と、総理の意を受けて官房長官と私とでやってるんで、それを事務方に落としてます。で、事務方も、私はこう思うけど、官邸はこう思う、じゃあ事務方で議論しなさい、ものすごい頻度で官邸と都庁の職員との間でのキャッチボールがありますから、今、おっしゃったことについて言うと、実現可能であるからやって、要するに例えばですよ、国の法律がこうなってるっていうのは、知らないで提案したって、絶対可能じゃないんですよ。で、誰よりも先に、都庁の職員より私がそれに気づいたテーマもあります。国政の場にいましたから。逆に、都庁の職員のほうが、いや、知事そういうこと言うけど、こういう法律あるんですよと。それはまさに、職員と一緒に共同作業をやったからできるし、官邸とも実は共同作業をこれまで積み重ねてるんで、ほとんどできると思ってます。
【記者】あと、すいません、もう1つ。東京都版PMDAなんですけれども、PMDAは薬の審査という部分だけでなくてですね、例えば流通している薬の安全性のチェックですとか、そういったブレーキの部分も担ってると思うんです。この東京都版PMDAというのは、薬の承認という、どちらかといえばアクセルの部分だけを担うのか、それとも流通後の安全性チェック等の部分までやろうというお考えなんでしょうか。
【知事】もうわかっててご質問なさってるんだと思いますけども、製品化する過程において、製品化するっていうことは、要するにチェックしてやらないといけないんで、特に新薬の場合そうですね。治験をやってるっていうのはそうですから、だから、同時に両方足をブレーキとアクセルの上を踏んでやっているということなんで、それは全く変わりません。
ただ、後発医薬品、ジェネリックについてやるっていう点で、逆に言うとジェネリックというのは、安全性については一応終わってる話ですから、むしろそこから入ってくるのがやさしいという、そういう位置付けです。
【記者】文化放送の高橋民夫です。今、シャンゼリゼ通りの計画とかですね、1つ具体的にいいますと、そうすると、東京都民の皆さんたちの協力というものもここに存在は十分必要だと思うんですね。民間とか企業とはこうやって協力体制を組んでいくわけなんですが、その都民の皆さんたちは、例えば町の中で道路をですね、開通したりします。そこを道路を新しく開通したり、いい環境をつくっていくためには、そこに住んでいらした方たちのやっぱり住まいというものもですね、時代とともにそれを新しくつくっていくためには、協力を得なければいけないこともあり得る。そうすると、都民の皆さんたちに、この計画を実行に移すためには、こういう協力もやっぱりいただかなければいけないんですよというような、やっぱり努力もされていかれるわけですね。
【知事】具体的に、それも当然なんです。具体的なことを言うと、このあした開通するところで、ぜひごらんになっていただきたいんですけど、やはりマッカーサー道路、環状2号線は下を通りますね。その上の開発を今からやると。明日開通するのは、こういうふうになっているわけです。まず、その前提として、再開発事業ですから、住んでいる人の問題は片づいています。つまり、外に出る人は出ている。再開発のビルの中に住む人は住んでいるんで、地権者が全部オーケーして初めて動く話ですから、そこの部分は解決しています。
ただ問題は、こういうふうにやるときに、むしろ都民がこう歩くときに、例えばせっかくここでオープンカフェのようなものをやるのに、酔っ払って狼藉をやるような人がいたらぶち壊しになりますね。パリのシャンゼリゼはそういうことをやっている人はいませんから、都民のモラルもしっかりやってもらわないといけない。そして規制について言うと、警察や消防、そういうこととの間ともきちんとなっていますんで、今おっしゃるように、自分の住む町、自分が散歩する町、自分が楽しむ町ですから、みんなで協力してよくやらないといけないんで、もうどんどんごみを好きなように捨てるってことであってはいけないんで、せめてごみの始末ぐらいやりましょうよということだと思います。
また今のようなご意見もまた皆さんからいただきながら、さらによくしていきたいというんで、あしたの段階でこうですけど、2年たったらこういうすばらしい場所にしたいと。もうシャンゼリゼになるように、そして、ゆくゆくはオリンピックの会場まで行くわけですから、これ、本当にオリンピック道路的につながるということを期待してます。
【記者】フリーの横田一ですけれども、PMDA改革が必要だというのは、現役の医師の方からも聞いててですね、デバイスラグだけじゃなくてドラッグラグも引き起こしてると。内外価格差が非常に大きくて。ペースメーカーなんかは、台湾の、日本は4倍ぐらいして、このままだとですね、メディカルツーリズムが絵に描いた餅になると。わざわざ4倍もするペースメーカーをつけにですね、日本に来るはずがないという声も聞いてるんですが、内外価格差が解消される見通しはあるんでしょうか。PMDA改革も同時にもっと進めないと絵に描いた餅になるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
【知事】今のは逆だったと思うんで、薬のほうじゃなくて、今、医療機器のほうをおっしゃったと思うんですね。だから、デバイスの医療機器のほう。
これね、なかなか私も今おっしゃったことをメーカーに言うんですけども、薬だと大量に売れるから開発費のコストがとれるわけですよ。ところが、ほんとに何人かの難病の方々のためだけっていうのは、もう採算取れないんでなかなかやれない。だから、そこは、しかしそう言わずに輸出して世界中の困ってる方にやればいいでしょうということでやってるんですけど、とりあえずはね、一番大事なのは命を救うということがまずありますから、アメリカで使ってて、医療機器で、ほんとにかわいそうな子供たちいるんですよ。それ、私は輸入オーケーして保険適用したために、もうみんな命助かったって、こんなちっちゃな子供が喜んでくれたのはほんとにうれしく思ったんで、まず輸入品が簡単に入れるようにして承認をする、その上で日本のメーカーさんにも頑張ってもらう。
そうするとですね、先ほど創薬のメッカ形成プロジェクトって、これ、東京がメッカになれば、そういうところに世界中の知恵やノウハウが集まって、別に日本の企業、創薬の対話やったときも、日本の企業じゃなくても、どこの医療メーカーでも、医療機器メーカーでも構わないから、東京に来なければそういう商売できないぐらいにしてしまう、ハブ空港と同じで。そうすることによったほうが解決早いような気もしてるもんですから、おっしゃるとおりだと思います。また頑張っていきたいと思います。
2 伊豆大島における今後の土砂災害対策について 「伊豆大島土砂災害対策検討委員会」報告
【知事】次はですね、伊豆大島における今後の土砂災害対策についてお話し申し上げます。
私も最近2回ほど視察参りましたけど、昨年10月、台風26号によりまして伊豆大島で大規模な土砂災害が発生したことを受けまして、都では学識経験者や国、町などで構成する伊豆大島土砂災害対策検討委員会を設置しまして、元町地区を中心とした土砂災害対策について検討を行ってまいりましたんで、このたび、その検討結果について報告がありましたんで、皆さんにお示ししたいと思います。
初めにですね、今回の土砂災害では、強い雨が短時間に集中して、特に上の大金沢、上流の急斜面が、これが大規模に崩落したと。また、斜面の崩壊によりまして発生した大量の土砂や流木が低い尾根を乗り越えて流下して、流れ落ちてですね、この市街地に、神達地区、大きな被害を与えたわけであります。
これらの状況を踏まえた上で、整備を優先すべき箇所を整理した上で実施時期を3つに区分して段階的に対策を実施すべきだと報告書はしております。まず第1段階、とりあえず応急対策をやらないといけません。斜面に残る不安定な土砂に対する安全性を緊急に確保するために、堆積工のかさ上げ、これ、ほんとにこの堆積工、砂防ダムという言い方も言うんですけど、ここで土砂を埋めたおかげでほかのところ大丈夫。これを乗り越えたところがだめだったんで、これのかさを上げる。それから、仮設導流堤の整備などを行う。流れる道をですね、こういうほかのところに向けるような導流堤の整備などを行って、もう既にこれ、着手しておりますけど、ことしの梅雨までには完了したいと思っております、完了させます。
次に第2段階の、短期対策としまして、既存の砂防施設がない神達地区上部ですね、神達地区上部において急斜面に残る土砂の崩壊や、緩やかな斜面の新たな侵食に対する安全性を確保するため、斜面対策工事とか導流堤などの整備を3カ年で、ここでとめることによって、流れがさっき言ったようにとまりますから、こういうことをやっていくということで、斜面対策をやって、ワイヤーロープをロックボルトによってこれが流れ落ちないようにするということであります。
次に第3段階の中長期の対策としましては、火山灰など今後堆積する土砂に対しても安全性を確保するために、砂防堰堤の整備や斜面対策工事などを大金沢全体でやっていくということで、とにかく今まで過去にないだけの大雨が集中的に降っちゃいましたんで、歴史上初めてぐらいの、それで全部根こそぎ、火山灰の上のところがやられちゃったということです。
これらのハード対策の整備には、一定の時間を要することからですね、土砂災害に対して警戒すべき区域の指定などのソフト対策も早急に実施すべきだと報告書は言っております。
今後、都ではこの報告に基づきまして、大島町と調整して速やかに対策に着手するとともに、町の復興計画策定を支援して、復興に向けた対策を加速化させたいと思います。
私はエンジニアじゃないんで、これ以上の細かいことは説明できませんから、詳細な技術的なことは建設局のほうに尋ねていただきたいと思います。
2番目の、この大きなテーマであります大島における土砂災害対策の報告書について、ご説明申し上げました。
まずこの点についてご意見あればいただいた上で、あと残り時間はほかの質問に参りたいと思います。感想言うと、2回参りましたけど、この直近でももう大変な状況で、こういう砂防堰堤はこれほど有効だったのかなというのを思いました。そして、その特に流木でせきとめられて、この辺の元町のところ、だーっと来て、もう一気に流れ落ちたということで、ああいう何人もの方が亡くなるという悲劇が起こったわけです。
この点はよろしゅうございますか。あと、細かい技術的なことを聞いていただいて、大島町と協力しながら、都として全力を挙げて復興・復旧をやりたいと思っております。
(プレス発表資料は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】東京新聞永山です。今、中国大使、この後お会いになりますけど、そのこと伺いたいと思います。青島知事以来だと伺いました。
【知事】あ、そうですか。
【記者】それで、その久々なんですけれども、実現するに至った経緯と、お会いするに当たって、アジネットの北京の再加盟を知事求められてましたけども、その辺を要望されるかどうかを含めて、ちょっと伺います。
【知事】私は昨日、香港の経済団体の方々が来られたときにも申し上げましたけども、今の中国、これは台湾も含めてなんですけども、建国の父であります孫文の研究をやっておりましたんで、そういう関係で中国の書籍もたくさん読むし、中国の歴史もよく勉強してきたんで、それから大学について言うと、ちょうど3年前の3・11の日は上海の復旦大学で授業をやって、孫文と日中関係という話をしてました。それから、昨年になりますか、その後は北京の清華大学で、その1年後ぐらい、同じような日中関係や孫文について話をして、台湾の台湾国立大学でも同じような授業をやってきたんで、学者の仲間も昔からたくさんいるし、台北も北京も上海も、つまり中華民国も中華人民共和国もいろんな方々を知っておりますし、今の程永華さんともよく存じ上げております。
それで、知事になって、やっぱりこの都市外交をしっかりやらないといけない、そういう意味で、北京について言うと、北京オリンピックをやった町ですから、ぜひその教訓含めて教えていただきたい。特にバードネットという、鳥の巣っていうあの建物が、後利用がうまくいっていないという例だというのを聞いてるんで、そのことを聞く。
それからPM2.5、今、私も花粉症で悩んでいるんで、これにPM2.5来られたらもっと悪くなるなと思ってるんで、そういう環境保全対策も一緒にやれるし、社会保障の協力もやれるんで、外交や安全保障っていうのは、国の専管事項でありますけれども、都市は都市でできることがあるんで、北京市と東京、姉妹友好都市、この関係をさらに進めたいというふうに思っております。
それに当たりましては、中国大使のご協力も、いろんな連絡なんかで会わないといけないということでありまして、程永華大使は、つい先般まで全人代に参加なさってたので、今日まで、帰ってこられたばかりで、今日まで遅れましたと。それで、今申し上げた、北京と東京との友好関係をさらに進めるという中で、アジネットから北京が脱退してるっていうのは、極めて私は残念だと思うんで、これはぜひ帰ってきてもらいたいと。帰ってくるに当たっては、どういうような事務的、政治的な問題を解決しないといけないかっていうことも、それは虚心坦懐に、今日、時間限られてますけど、話ができればと思ってます。
【記者】知事のほうから大使のほうに、何らかのルートで、都庁のほうにお見えになってくださいみたいに要望されたんでしょうか。
【知事】まずですね、知事はじめ、中国の要人から、当選おめでとうっていう電報や何か来て、ぜひ近いうちに表敬訪問したいと、これはもう、たくさんの大使館から来る中に、中国の大使も当然入ってましたと、そういうことです。
【記者】テレビ東京の森本と申します。東京オリンピックについて伺いたいんですが、全体計画の大きな柱の中に、自然との共生っていうのを掲げていらっしゃいますよね。ただ、今出されている施設の候補地の中の1つ、ちょっと細かくて申しわけないんですが、葛西臨海公園っていうところがあると思うんですが、例えばそういったところというのは、明らかに生態系に影響を及ぼす可能性があるという、そういった場所に関しては、今後のアセスメントの中で、例えば場所見直していくみたいなことっていうのは考えていらっしゃいますか。
【知事】そのことも含めまして、今日、何とか予算が通りましたから、よく見て、よくいろんな方の意見も聞いた上で、自分でちょっとよく見て、どうだろうかという上で判断をしたいと思いますから、基本的にはIOCと、この東京ないし日本国との間で決めてるルールがあって、それが変えられるかどうかとか、いろんな難しい問題もあると思います。そういうことも含めて、しかし、まだ時間がありますので、いろんな可能性は今おっしゃったことも含めて探っていきたいと思ってます。
【記者】ちょっと細かくて申しわけないんですが、私も今日、ちょっと番組の取材でそこに行ってきたんですが、同じく都の所有、その葛西臨海公園の隣に大きな駐車場があって、そこに予定してらっしゃるカヌーの施設っていうのが、そのままそっくり入るぐらいの余裕がある場所があるんですが、そういった代替地があるのであれば、そこへ、こう、移動するみたいな選択肢っていうのも、もちろんあるということで……。
【知事】そのことも含めて、今日で議会が終わりましたから、明日からっていうか、4月になって、精力的に考えていきたいと思ってます。
【記者】実際に足を運ばれて。
【知事】ええ、その可能性も含めて、いろんな可能性を探ってみたいと思います。4月2日に調整委員長、つまり東京オリンピック担当の、IOCの副委員長であるジョン・コーツさんが、あと数日で参りますから、そこでもコーツさんといろんなそういう話を、IOC側からもいろんな意見があると思いますんで、そういうことを積み重ねた上でですね、あと、もちろん、森さんがトップをやってる組織委員会があります、先般、理事会開かれた。こういう方々が、全体どうするかっていう話があって、私たちは、東京都として、主催都市として、いろんなハード、ソフトを整備しないといけないんで、そういう関係機関とも議論をし、IOCとも議論をしながら、一番いい方向を探っていきたいと思ってます。
【記者】読売新聞の木下です。議会お疲れ様でした。まさにその議会のですね、ちょっと抽象的な質問になっちゃうんですけど、終えてみての感想をまずお聞きしたいのと、あと、かねてからの、4月になったら現場に行かれるとおっしゃっていて、具体的な優先順位をつけてく作業に入っていくと思うんですけども、どこからまず見ていきたいのかっていうあたりの話をお聞かせください。
【知事】議会はほんとに無理で、異常な状況でやって、本来はこういう、予算を通すような議会っていうのは、何カ月か仕事をして、自分の手で予算を組んでやるべきでしたけども、暫定、それから補正っていう短期間でやったんで、私自身も十分な対応できなかったと思いますけども、職員も一生懸命頑張って知事をサポートしてくれましたんで、そういうことで、また真摯な議論、各党の皆さん方が議論していただいたんで、私は充実した審議ができたというふうに思ってますんで、さまざまな意見を今後とも都政に反映させていきたいと。
選挙のときも各地を回ったんで、現場ずっと見てきて、相当いろんなことも勉強しました。しかし、また、この議会での審議を通じて、ああ、立川ってまだこういう問題があったんだなと、江東区どうだったんだなと、野党の方々の目から見たらこう見えてんだなと、そういうことも含めてありましたんで、今後の都政に十分生かしていけるということを思いましたし、それで、やっぱり、16万人以上いる都庁の職員としっかりスクラムを組んでやればですね、短期間でも大きな仕事ができると、この前のタスクフォースもそうですから、そういう思いでありますから、今後とも都民のための仕事ができるという感想を抱きました。
それから、まず、ほんとに、体が幾つかあれば、いろんなとこを全部見て回りたいというのはあるんですけども、優先順位つけないといけないんで、やっぱり防災っていうのを感じますんで、防災で、そういうところから見ていく。それから、先ほどご質問あったように、オリンピックの施設も、これはIOCの委員が来られたときに一緒に見るとか、そういうこともやってみたいと思います。多摩地域もありますから、多摩も見る、23区も見るということで、できるだけ精力的に動いていきたいと思います。とりあえずは、まずは防災のほうから始めたいなっていうのが私の感想ですが、今、事務方に投げて予定を組ませてます。
【記者】フジテレビ江藤ですけれども、質問2点あります。シャンゼリゼ通りって先ほどおっしゃってます新虎通りですけれども、あそこ、いずれ歩行者天国にする考えがあるのかということと、あと、もう1個は、環状2号線は東京都にとって今後どのような役割、どういうことを期待していますかということですね、この2点です。
【知事】最初の質問は、要するに歩行者天国しなくても、両サイドの通りが歩行者天国的な役割を持ってますんで、それでいいと思いますが、これはまた、あと2年かけて、いろいろ検討したいと。それから、とりあえずはですね、2020年のオリンピック、ずっと上の、地図で言うと、上のほうからずっと有明のとこまで一気につながりますから、私の感じだと、あそこは新虎、新虎通りなんですけど、新橋、虎ノ門、全体見たときにオリンピック道路みたいな感じなんで、私、全体見て、環状2号線っていうのはオリンピック道路と呼ぶのも1つかなと、そんな感じもしてます。
【記者】日本テレビの鈴木です。前の知事が、5000万円の問題でやめて、今日、略式起訴されましたけれども、それについてご所見を伺いたい。
【知事】それは捜査当局がやってる話ですから、捜査当局の動きを静かに見てるということで、私は都政を前に動かすことに全力を挙げたいと思ってます。
以上
(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)