
スイス連邦(ローザンヌ市)出張の概要と成果
2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致活動の一環として、スイス・ローザンヌ市で開催されたIOC主催テクニカルブリーフィングに出席しました。
テクニカルブリーフィングは、2020大会招致を目指している3つの立候補都市が、プレゼンテーションやブース展示を行うことにより、9月のIOC総会前に全IOC委員に対して直接、開催計画の詳細を説明できる非常に重要な機会でした。
知事は、プレゼンテーションや記者会見において、東京の安全性、強固な財政力、世界最高水準の輸送システムなど大会運営能力の高さを改めて強く訴えました。また、ブース展示においては、最新鋭の機器を用いて訪れたIOC委員一人ひとりに開催計画をわかりやすく説明し、東京の魅力をアピールしました。
出張概要
○期間 平成25年7月1日(月曜)~5日(金曜)
○出張人数 9名
○総経費 25,548千円
出張先での主な行動と成果
7月1日(月曜)
猪瀬知事は7月1日未明に羽田空港を出発し、現地時間の同日午前中にローザンヌに到着しました。
ホテル到着後、ホテル周辺のレマン湖畔を、一緒にプレゼンターを務めるフェンシングの太田雄貴選手、パラリンピアンで走り幅跳びの佐藤真海選手と共に約3キロメートルジョギングし、長旅の疲れを癒すとともに、テクニカルブリーフィングに向けて体調を整えました。
午後からは、プレゼンテーションの個人リハーサル及び全体リハーサル、そして記者会見に向けたリハーサルなどを念入りに行いました。
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レマン湖畔をジョギング |
7月2日(火曜)
午前中は、公式リハーサルに関して関係者全員で打ち合わせをした後、登壇者全員でプレゼンテーション会場であるボーリュー・カンファレンス・センターへ移動。さっそくフォトセッションを行い、東京チームの意気込みを示しました。
その後、公式リハーサルに臨みました。実際のプレゼンテーション会場で本番と同じ機材を使用し、翌日のプレゼンテーションに向けて、通しリハーサルや細部にわたる確認を行いました。
公式リハーサル後は、海外コンサルタントを含めてリハーサルを振り返り、本番での改善を目指して更に個人リハーサル及び全体リハーサルを重ねました。
夕刻には、招致委員会の竹田理事長とともに、主要なスポーツ関係の海外メディア等15社を招いて、記者らと懇談し、明日のプレゼン本番を控え、東京の強みを熱心に訴えました。
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東京2020チーム |
7月3日(水曜)
午前は、プレゼンテーションと記者会見に臨む直前のリハーサルや打ち合わせを行いました。その後、登壇者全員でプレゼンテーション会場であるボーリュー・カンファレンス・センターに移動し、改めてフォトセッションを行いました。
2020大会の招致都市として立候補している3都市のプレゼンテーションは、イスタンブール、東京、マドリードの順で行われ、各都市にプレゼンテーション45分、質疑応答45分の計90分間が割り当てられました。今回は、メディアにも非公開で行われ、現地入りしたIOC委員86名を前に、直接、各都市が大会の開催理念や計画の詳細などを説明し、自らの長所を熱心にアピールしました。
東京は、2番目にプレゼンテーションを行いました。竹田理事長、麻生副総理に続いて登壇した猪瀬知事は、ユーモアを交えながら英語でプレゼンテーションを行い、東京が世界で最も安心・安全で確実に大会を実施できる都市であること、磐石な財政基盤を有すること、迅速かつ信頼性の高い輸送システムが大会成功を支えることなど、東京の強みを熱意をもって訴えました。
東京のプレゼンテーションは、IOC委員からも非常に好意的に受け止められました。また、プレゼンテーション後の質疑応答では、5問の質問が出され、各質問に対して真摯に答え、委員に良い印象を与えることができました。
なお、プレゼンテーションの概要は次のとおりです。
プレゼンテーション概要
■日時(現地):2013年7月3日(水曜)11時15分~12時45分(日本時間18時15分~19時45分)
■場所:ボーリュー・カンファレンス・センター
■プレゼンター
- 猪瀬直樹(東京都知事/招致委員会会長)
- 麻生太郎(副総理)
- 竹田恆和(招致委員会理事長)
- 水野正人(招致委員会副理事長/専務理事)
- 太田雄貴(オリンピアン/招致アンバサダー)
- 滝川クリステル(招致“Cool Tokyo”アンバサダー)
■内容
- 竹田恆和 招致委員会理事長
- 国際招致PRフィルム「Tomorrow Begins」上映
- 麻生太郎 副総理
- 猪瀬直樹 東京都知事
- 滝川クリステル 招致“Cool Tokyo”アンバサダー
- 「IS JAPAN COOL?」上映
- 水野正人 招致委員会副理事長/専務理事
- 競技会場紹介映像 上映
- 水野正人 招致委員会副理事長/専務理事
- 太田雄貴 オリンピアン/招致アンバサダー
- 竹田恆和 招致委員会理事長
猪瀬知事(招致委員会会長)プレゼンテーション要旨
- 東京は昨年、75,000人の旅行者に対して行われた調査により、世界で最も安全な都市であると評価された。昼夜を問わず誰もが安心して街を歩くことができる。また、この調査で、東京は、公共交通機関、清潔な街路、友好的なタクシードライバーの項目でも1位に選ばれている。
- 東京は世界最大の経済規模を有する都市である。この強い財政力によって、45億ドルの大会開催準備基金の積立を可能にした。この基金は銀行に預金されている。新設の恒久施設やインフラ整備に必要な資金は全額準備されている。
- 世界トップクラスの優れた輸送システムは大会計画を支えるもので、全てのアスリートや大会関係者は、常に、時間通りに目的地へ到着することができる。
プレゼンテーションの後、IOC委員との公式昼食会が催され、猪瀬知事も出席し、IOC委員との交流を深めました。その後、麻生副首相、水野副理事長、太田雄貴選手、荒木田裕子スポーツディレクターらとともに、20分間の公式記者会見に臨みました。
夕刻、知事は翌日の展示ブースでのIOC委員への説明に備えて、IOC委員の宿泊するパレスホテル内に設置された東京の展示ブースを視察し、しつらえの確認や打ち合わせ等を行いました。その後、委員と各立候補都市のプレゼンターを招いて同じホテルで開催されたローザンヌ市長主催のレセプションに出席しました。
引き続いて、IOC主催の同じパレスホテルで開催された夕食会にプレゼンターとともに出席し、IOC委員との交流を積極的に行いました。
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東京のプレゼンテーション | 公式記者会見 |
7月4日(木曜)
午前中は、パレス・ホテルに設置した展示ブースにおいて、訪れたIOC委員に対して個別に詳しく計画の説明をしました。ロゲ会長をはじめ、現地入りしたIOC委員の約7割のメンバーが来場し、猪瀬知事、麻生副総理、竹田理事長をはじめとする招致リーダーや招致アンバサダーの小谷実可子さんらが、日本ならではのおもてなしの心で温かくお迎えし、熱心に開催計画や競技会場を説明しました。
東京ブースの目玉は、3月のIOC評価委員会訪問でも使用したスーパーハイビジョン対応の8Kディスプレイを駆使して、東京で行われているスポーツ大会などを紹介したことです。これは、2020年の放送開始を目指してNHKが開発している技術で、日本がオリンピックとともに放送技術を発展させてきたことを示すものでもあります。このほか、マルチディスプレイを使った競技会場計画やPR映像を使った視覚的な説明に、多くのIOC委員が感銘を受けた様子でした。
その後引き続き、ブース内でメディアに対する説明を行った後、知事はIOC委員との昼食会に臨みました。ここでも、大勢のIOC委員と交流を重ね、東京への招致を積極的に呼びかけました。
午後には、全日程を終えてローザンヌを発ち、翌7月5日の午後に成田空港に到着しました。
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東京ブースでIOCのロゲ会長に開催計画を説明 |