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令和元年(2019年)9月5日更新
〔別紙〕
2)会社は、一旦、X4の苦情申告を却下したものの、地本からの団体交渉申入れを受け、幹事間折衝において、改めて苦情処理会議の開催を提案し、これに応ずるよう組合及び地本に促しているが、地本はこれに応じていない。しかし、地本は、上記苦情申告の手続における会社の対応を踏まえ、X4個人の苦情処理会議のやり直しではなく、労働組合として団体交渉開催を求めるという判断に至ったものであり、このような地本の対応には無理からぬ理由があるといえる。
したがって、会社が、地本との幹事間折衝で、改めて、地本に苦情処理会議の開催を提案したことをもって、団体交渉応諾義務を免れるものではない。
3)従前の解説書によれば、勤務割指定後の年休申請による休暇付与も欠勤にはならないという理解が文理解釈としてはかなっており、組合が解説書の交付を受けた当時は、基本協約について、少なくとも、勤務割指定前に申請した年休は欠勤に含まれないとする解釈が労使共通の認識であったと考えるのが自然である。したがって、勤務割指定前に申請した年休を、会社が欠勤扱いとして診断書の提出を求めたことに対し、組合が、会社が一方的に基本協約の解釈、運用を変更したのではないかとの疑念を抱くのは当然であるが、それにもかかわらず、会社は、幹事間折衝や本件申立て後の団体交渉において、組合らが基本協約や就業規則の条文解釈や運用について当然に抱く疑問に対し十分な説明を行わない姿勢に終始していたのであるから、会社の対応をもって、組合の団体交渉権を担保するに足りるだけの実質的な交渉が行われたものとみることはできない。
4)結局、会社は、苦情申告、幹事間折衝及び本件申立て後の定例の団体交渉という手続の全体にわたり、個別の団体交渉義務を免れる程度にまで誠実に対応したということはできず、実質的な団体交渉が行われたものと評価することはできないから、会社が組合らからの団体交渉申入れに応じなかったことは、いずれも正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
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