東京都尖閣諸島現地調査 調査報告書(抜粋版)
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対象不動産である尖閣諸島3島の現地調査の結果として、次のとおり報告する。価格評価における現地調査では、正確な内容、数量を意識し観察するも、概況の調査として事前資料との照合を中心に行った。評価担当として、尖閣諸島の概況の把握を目指し確認、把握、探求に努めた。物的確認としては、本船から島全体の概観、小型船から沿岸調査をしたが、島の地形、形状等に大きな変化は認められなかった。自然的、社会的及びその他の条件の把握としては、事前資料と照合、現地状況の観察からより実践的に行った。価格に影響を与える将来可能性は専門家の意見を聴取し、過去の調査資料も併 せて参考とし探求した。 (1)魚釣島、北小島、南小島の現況と物的確認 (2)魚釣島、北小島、南小島の自然的、社会的及びその他条件の把握 ① 魚釣島は、地形図等と現況を目視により照合し確認したが、地形等に 特に顕著な相違箇所は認められなかった。南部はほとんどが断崖絶壁で 崩落箇所も多く、海岸に至るほどの規模の大きいものは島の面積にも影 響する懸念がある。平坦地は既存図面とほぼ一致していると思料される。 北西部は開拓当時から利用された平坦地として残置された旧工作物が見 られ、東部は最も広い平坦地が確認された。海岸線に近い海底は遠浅の 箇所、ある程度水深のある箇所があるものの、岩盤と付着したサンゴで 覆われた状況であり、島の形状に影響するほどの変化があるとは認めら れなかった。 ② 北小島は、地形図等を基に目視により観察したが、地形等に顕著な変 化は認められなかった。北部は切り立った岩山が連なり、南部の岩山の 山頂部は平坦な草地になっている模様である。 ③ 南小島は、地形図等と現況を目視により調査したが、島の形状等に大 きな変化は認められなかった。西部は鰹節工場があったと言われ、石積 跡も見られ比較的なだらかな土地である。東部はほとんどが平坦地であ り、波の影響も懸念されるほどの低地と見られる。 ① 魚釣島は、石垣島から170kmに位置し定期航路はない。諸資料、 文献による調査結果を基に自然的条件を目視により観察したが、特徴的 な変化は確認できなかった。特に地勢は、北西部はなだらかな傾斜で平 坦地もあるが、南部はほとんど断崖絶壁、北東部は北向き傾斜で数箇所 の小さな渓流、湧水が見られた。植生はクバで覆われているが、野生ヤ ギが北部で見られ、食害の影響なのか表層土の流出も見られた。海鳥類 はほとんど見られなかった。 6 調査結果 -49-

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