また、尖閣諸島のある八重山地方の気象は次のとおりである(参考:気象庁の公表情報)。 (1)気候の特徴 八重山地方は亜熱帯海洋性気候に属し、四季の変化は明確でないが、夏と冬の季節風の交替ははっきりしている。夏は太平洋高気圧に覆われるため南寄りの風が吹き、発達した雷雲が現れたり蒸し暑い晴れの日が多くなり、一方、冬は大陸高気圧が張り出してくるため北東の季節風が吹き出し、小雨まじりの肌寒い天気が多くなる。 春と秋は、大陸高気圧と太平洋高気圧の影響を交互に受けることが多く、その境界に梅雨前線や秋雨前線が現れると曇りや雨の天気が多くなる。この梅雨前線は5月中旬から6月下旬にかけて石垣島付近に発生し、秋雨前線は9月中旬から10月中旬にかけて石垣島の北の海上付近に発生する。 また、八重山地方は石垣島や竹富町の各離島を含む石垣島地方と、より大陸に近い与那国島地方に分けられ、与那国島地方の天候は石垣島地方よりも雨が多くて風が強い一方、真夏日や熱帯夜の日数が少ないという特徴がある。 これは、150km西に存在する台湾山脈や近海を流れる黒潮の影響を受けているためではないかと考えられている(以上、石垣地方気象台HPより)。 (2)気温・降水量・日照時間・風向風速・湿度 地方気象台のある石垣島及び与那国島について、8月、9月及び年間の平均気温、総降水量、総日照時間、最多風向、平均風速、相対湿度の平年値を表2に示した。なお、気象庁によると、平年値は昭和56(1981)年から平成22(2010)年の30年間の観測値の平均をもとに算出したもので、気候の平均的な状態を表す。 表2の中で、石垣島と与那国島における平年値(年間)の差が10%以内であったのは、平均気温と相対湿度であった。また、最多風向は石垣島と与那国島で同じであった。このことから、気温、湿度及び風向については地域差が比較的小さく、尖閣諸島でも同様の観測値を示すと推測できた。 東京の平年値(平均気温16.3℃、相対湿度62%)と比較したところ、八重山地方の方が年間を通じて気温も湿度も高かった。また、夏は南風が、秋から冬にかけては北風が卓越する傾向がみられた。 表2 八重山地方(石垣島・与那国島)の気象状況(平年値) -6-
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