南小島の周航調査 調査結果は表3に示した。この島は地質学的にはイソナノ瀬戸に面した西側には礫質砂岩の最高地点が148mに達する岩山がある。島の中ほどは隆起サンゴ礁の平地あるいは台地状を呈し、東端には新田立石(ニッタタテイシ)と呼ばれる安山岩と礫質砂岩の突岩(標高89m)が見事である。なお表3には伊沢泊(イサワドマリ)にある2つの小岩礁も含めた。 カツオドリは海崖の頂上に小さな群れで休んでいる場合が多かったが(写真9)、多くの崖が海に直接面していないので、小型船よりの発見数は思ったより少なかった。また、海岸の低い岩礁上でも休んでいた(写真10)。 表3 南小島周航で観察された海鳥種と個体数 和 名 学 名 個 体 数 カツオドリ Sula leucogaster 312 アオツラカツオドリ Sula dactylatra 125 オオアジサシ Sterna bergii 340 クロアジサシ Anous stolidus 200 アマサギ Bublcus ibis 1 コサギ Egretta garzetta 1 アオサギ Egretta intermedia 4 合 計 983 注目すべきは、カツオドリが小岩の混じった草地斜面に、多くの場合1羽でじっとしている場面が結構散見された(写真11)。この写真11を良く見ると、カツオドリが左隅下端に1羽、右隅の岩の陰に2羽見える。この2羽は親子で雛は約9週目くらいと考えられる。右端の上端にカツオドリ1羽、さらに真ん中上端にカツオドリ1羽が識別できた。さらには、はっきりしないが、真ん中上端のカツオドリの右斜め下に雛と思われる個体がいるように見える。何と合計カツオドリ6羽が認められた。このような個体は背景に溶け込んでいるので望遠レンズで撮影した写真でなければ探し出せなかった。このような単独でじっとしている個体は、まだ育雛中の雛を抱えている個体なのであろう。どうもそのように解釈した方が理屈に合うように感じられるものの詳細は不明である。 アオツラカツオドリは、北小島と同様に飛翔個体は殆ど無く、少数の個体が高所の岩上に休んでいる場合が多かったが、このような小集団は望遠レンズでも撮影できなかった。平地上や緩斜面の草地で一羽でじっとしている個体が結構多かった。飛翔個体は数例しか観察できなかった。本種は崖際で営巣しない種として知られているので(Nelson 1978)、このような個体は営巣場所に残存している個体とも考えられた。写真12は緩斜面の草地、― 43 ―
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