(Sterna fuscata)(高良 1969) は全く出現しなかった。おそらく繁殖後は営巣地を速やか(Calonectris leucomelas)、ウミツバメ科海鳥(Hydrobatidae sp.)は全く観察されなか 魚釣島の周航調査 出現海鳥種と個体数は表1に示した。観察種数が僅か9種で、合計50羽という信じら れない少なさであった。殆ど全ての海鳥類の繁殖期は終了しているものの、海岸に面した崖や岩礁地帯に海鳥類が集団で羽を休めているといった場面が皆無であった。このことも驚きであった。調査時前の一週の間に台風15号と14号が尖閣諸島を通過したことの影響なのであろうか。 表1 魚釣島周航で観察された海鳥種と個体数 和 名 学 名 個 体 数 アオツラカツオドリ Sula dactylatra 4 オオアジサシ Sterna bergii 12 マミジロアジサシ Sterna anathetus 4 クロアジサシ Anous stolidus 5 アマサギ Bublcus ibis 5 コサギ Egretta garzetta 6 チュウサギ Egretta intermedia 1 クロサギ Egretta sacra 4 合 計 50 特に尖閣諸島の南小島や北小島で多く繁殖しているといわれているセグロアジサシに離れるのではないだろうか。同様にマミジロアジサシ(Sterna anathetus)は僅か4羽観察されただけであった。また、アナドリ(Bulweria bulwerii)、オオミズナギドリった。 魚釣島で繁殖する巣穴営巣性のオオミズナギドリやウミツバメ類については繁殖の可能性が極めて強いと考えられるものの現地調査ができない状態にある。それは、野生ヤギだけが原因の土砂流出では考えられない、凹凸のある形状の裸地斜面がビロウ樹林の中に観察されたからである。このような場所ではオオミズナギドリの繁殖の可能性がある。これらの海鳥種は全て夜行性であるので上陸して調査する以外に確認の方法がない。 なお、ウミガメ類が2頭出現した。海面近くに浮上した際の甲羅の形状から、おそらく カツオドリ Sula leucogaster 9 調査結果 海 鳥 ― 40 ―
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