東京都尖閣諸島現地調査 調査報告書
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東京都尖閣諸島現地調査報告 尖閣諸島での89小型船上よりの調査報告、特に海鳥類と野生ヤギについて 東海大学教授 山田 吉彦 東京都尖閣諸島現地調査は、東京都知事本局が企画し、平成24(2012)年9月1日~9月2日に行われた。調査の目的は、「都が尖閣諸島を購入する、その後の活用策を検討するにあたり、基礎的調査を行う」というものである。調査は、第一に尖閣諸島沿岸の観測調査、そして第二に尖閣諸島周辺海域の海洋調査・水質調査である。 本調査報告は、小型船(89号艇)に乗船して「生物相観察」を行った結果である。 調査は平成24(2012)年9月2日に全長9.7mの小型船上より、10倍の双眼鏡、および肉眼で観察した。また島の景観、遠方の海鳥類の種同定、および野生ヤギの生息状況等については400mmの望遠レンズを装着したデジタルカメラで撮影した。出現した海鳥については種を同定し、出現個体数を発見時ごとに野帖に記入した。 魚釣島の周航調査は、島の北西端にあるカツオブシ工場跡のある船着き場より時計回りに行った。海鳥観察と同時に野生ヤギの発見と植生の破壊の程度を写真撮影した。 北小島と南小島には野生ヤギは生息しないので海鳥類の発見に集中した。各島の周航は海岸線より概ね200m以内であるが、場所によっては10m程にまで近づいた。海鳥目視は小型船より常に島の海岸線方向だけに限定した。島に接近した場合には島の海崖や緩斜面も含めた。観察範囲は常に小型船より島側200~300mまでの範囲内である。 調査時間は魚釣島が6:45~10:50の4時間5分で、北小島と南小島が13:13~15:25の2時間12分であった。天候は、全調査行程で、快晴、風力はCalm~1で、ほぼべた凪ぎであった。 (2012年9月2日調査) 調査目的 調査方法 ― 39 ―北海道大学名誉教授 小城 春雄

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