東京都尖閣諸島現地調査 調査報告書
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2.環境 魚釣島においてヤギを目視で10頭ほど確認できました。また、南側斜面に顕著な崩落が確認できました。これらは多くの識者等から危惧されていた環境に対する懸念事項です。アホウドリについては確認できませんでしたが、これまでには北小島で繁殖行動が行われているとの情報があります。あわせて、カツオドリ等の海鳥が数多く確認できました。過去に行われた高良学術調査団の報告書や新聞記事などから考えた場合、特別天然記念物であるアホウドリの生息地、センカクモグラ等の固有の動物、ビロウなど植物の群落、自然に富んだ地として名勝としての価値も高いものと予測されます。これら海鳥の生息調査及び保護対策と同時に環境保全及び絶滅危惧種などの動植物の調査及び保全対策について必要性を強く感じました。 また各島々の岸辺に漂着ごみが確認できました。これについても早急な対応が必要であると感じました。 3.漁業以外における利活用に関すること 近い将来から中期的な将来に向けての実行性として尖閣諸島への遊覧観光の可能性を感じました。この尖閣諸島の島々は、日常で我々が目にすることのない非常に特異的かつ神秘的な景観でした。遊覧飛行や遊覧船等の観光資源として十分通用する要素を持っていると感じました。 そして、長期的な実行性として海洋エネルギーなどの海洋資源の活用があります。これは本市で現在策定作業中である海洋基本計画にて検討を進めているところであり、分野や内容によっては国、県及び企業等への要請・調査依頼が必要なものであると考えています。 4.その他 尖閣諸島には、古賀辰四郎氏が行ったカツオ節生産に関わる施設群などもあり、これらは本市の歴史や自然を理解するうえで貴重なものと考えております。このことについては、尖閣諸島の詳細な学術調査を行うことによって、文化財としての価値判断をしていく必要があると考えます。 同時に、尖閣諸島戦時遭難事件に関する碑が風化などにより元の姿を維持していないようであることから、これを再建し現地において慰霊祭を執り行い御霊を慰めることも、本市の役割として必要であると考えます。 以上が、これら島々の観察から大きく4つにまとめさせていただいた所感です。 現地調査の日程としては、16時頃全ての調査を終え尖閣諸島を後にし、22時頃無事石垣港に帰港しました。 文末ではありますが、今回このような機会を設けていただいた東京都には深く感謝申し上げます。 ― 32 ―

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