本年4月17日、石原都知事が尖閣諸島(魚釣島、北小島及び南小島のこと。以下、同じ。)を購入し、活用する方針を打ち出した後、都は、5月1日に専管組織を立上げ、尖閣諸島の購入・活用のための検討を始めました。 いわゆる国境離島の尖閣諸島を個人から公の所有に移すことにより領土と排他的経済水域を守るとともに、尖閣諸島の有する特長を活かして都民に資する活用を図るため、購入に向けた調整や、伊豆諸島や小笠原諸島を擁する都と海を通じて隣接する地元自治体と連携した活用策の検討を進めました。 平成24(2012)年10月 現地調査団 団長 知事本局 尖閣諸島調整担当部長 坂 巻 政 一 郎 こうした調整や検討をより具体的に行う上で現地調査が必要であったことから、6月12日、東京都議会第二回定例会代表質問の場において、石原知事が「東京みずからが船を仕立てて、必要な調査を行う」ことを表明すると同時に、調査方法等の詳細を調整してきました。 現地調査にあたって、調査団は専門家、都庁各局職員、地元関係者などから成る25人程度により構成し、実施時期は台風の影響を特に受ける可能性の高い9月中旬以降を避け、かつ、立入りに関する調整期間を考慮し、8月下旬から9月上旬とすることとしました。 都が強く要求した尖閣諸島への立入りを国が認めなかったことは極めて残念でしたが、本調査の目的である基礎的調査を着実かつ平穏に行うため、用船した海難救助船を「本船」として、沖合の海流等の基礎データを収集しつつ調査全体を統括するとともに、機動性の高い「ラバーボート」によって可能な限り陸地に迫り詳細を把握し、さらには「小型船」がラバーボートの外周を並走し、水深等の基礎的データを計測する、という3つの船の特性を活かした活動を展開しました。 調査結果の詳細は、後述のとおりですが、天候や海面などの条件に恵まれ、調査員全員が体調を崩すことなく、予定通りの調査を実施することができました。 その中で、野生ヤギによる食害等の被害から貴重な動植物を守るなど自然環境の保全を図ることや、漁業者のための船溜りや無線中継基地、気象観測施設とい った、地元石垣市も強く要望している施設を設置することが、この島々の有効活用に結びつく可能性があることを確認しました。 9月11日、尖閣諸島は国の所有となりましたが、現在のところ、国はこの島々の活用について何ら明らかにしていません。今回はあくまでも基礎的な調査の位置付けですが、島々の全体像を明らかにし、具体的活用を図る上での次のステップにつながる調査になったと考えています。国に対しては、今回の調査も踏まえ、島々の活用を図るよう、強く求めていきます。 最後になりますが、今回の調査にご協力いただきました、地元石垣市や八重山漁業協同組合、第十一管区海上保安本部をはじめ、各自治体、関係機関の皆様に対し、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 東京都尖閣諸島現地調査について
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